廃校以来放置されていた教室の一つ。
隅の方に椅子や机が乱雑に積まれ、山となっている。

ふああ……ねっむ。

はあ……どうせ飛ばすんだったら免許取った後にしろよな……。マジどうしよ。いや、つーかそもそも金ないからバイク買えないじゃん……

君、バイク乗りなのかい。
あぁ、とゆかごめんね。ここ勝手に入ってきて、よかった？
（いつのまにか適当な机に腰かけた彼女。へらり、ご迷惑なら出ていくよと笑った）

乗れるけど乗れないっつーか……免許がねえ。
（頬杖をついて溜息を吐きつつ、目線だけ声の元へと向かせると）
気にしないでいいよ、別に俺の家じゃないし。勝手に住んではいるけど。
……アンタもイレギュラーズ？

免許…あぁ、バイクに乗るのに必要なやつ？
（ふぅん、色々手間なんだなと呟いて。こちらへむいた瞳に、へらりと笑いを向けた）
住んでいるなら、今は君の家なんじゃないかい？
一応、端くれではあるねぇ。君も？

そう？じゃ、ここは俺の家ってことで……それはそれでイヤだな。
（整えても居ない廃墟をマイホームと呼ぶのは流石に抵抗があった）
まあお察しの通り俺もね。新参だけど。アンタは長いの？

ふふ、お家には寝床や家具が必要だよねぇ。
住み心地がいいように飾ったりするのもさ、自分で作る感じで楽しくない？
（秘密基地みたい！とにこにこ笑って。）
いる時間は長いけれどね、最近までサボっていたから。新参とかわりはしないさ。

悪くないけど、まずはこのぼろっちい廃墟をどうにか手直ししなきゃな。
（荒れ放題な教室をぐるっと見回して）……先が長げえ。

へえ、いいじゃん、たまにサボろうが長い目で見て続いてるんだし？
俺飽きっぽいからあんま長く続いたコトってなくてさ。
そういうの出来るヤツは普通に尊敬するよ。