ラド・バウ
『D級闘士ペッコ』挑戦結果
-
D級闘士ペッコ現在報酬:基礎EXP16%、ファイトマネー系アイテム×2
壮麗なファンファーレが鳴り響く。
重く響いてくるのは、空砲の雄たけびか。
イーリン・ジョーンズは一人。遠く明かりが見える石造りの通路、その向こうを睨んでいた。
――闘士入場!
石壁に反響するアナウンサーの声は、否が応でも闘いの刻を告げに来る。
光へ向かい歩き続けると、一気に視界が開けた。
土煙が晴れ、歓声が沸き上がる。
ペッコ・ペカッコが生まれたのは鉄帝北部に位置する雪深い山中の村であった。
村の男たちはみなブリザードベアを狩るマタギであり、彼も例外なくマタギとなった。
だが、しかし。
「ペッコは俺たちの中ではズバ抜けていた。山の声が聞こえるっつーのかな、どこに熊がいるのか、熊がどんな気持ちでいるのか、あいつはすぐにわかっちまうんだ」
村の男数人が何日もかけて雪山から熊を一頭仕留められるところを、ペッコはたった一人で山へ入り、その日のうちに一人で熊を抱えて村へ戻ってきたという。
「ペッコは山で熊をとるだけで人生を終わらせるような奴じゃねえ。立派な闘士になるべきだ。俺たちはそうやってアイツを送り出した。その日の記念にアイツが狩ってきたのが、この熊さ」
そういってマタギの男が指さしたのは、部屋一面を埋めるほど巨大な熊の毛皮絨毯であった。
「ボクはペッコ。キミがイーリン・ジョーンズか。いい狩りになりそうだ」
ペッコはイレギュラーズに柔和な笑みを浮かべ、白く神々しい弓をとった。
さあ――試合開始だ!
戦闘ログ
挑戦結果
「見事だよ……」
ペッコの手から弓が落ちる。
イーリン・ジョーンズはその様子を前に、既に構えを解いていた。
勝負あったと、誰の目にも明らかだったからだ。
ペッコは額の汗と手に付いた血をぬぐい、イーリンへと握手を求めるように差し出した。
「君ならDクラスの中でも充分戦っていけるだろう。それに見てごらん、観客もこんなに喜んでる」
言われるままに観客席を見れば、ポップコーンをまき散らしながら叫ぶ若者や旗をふる女性、『イーリン』と書かれた応援Tシャツを誇らしげに見せつける者まであった。
「こんな光景は、雪山のなかじゃ見られなかった。君のおかげ、かな?」