クエスト
闘技場設定は『練習場』から!
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再現性東京2010街・希望ヶ浜学園現在報酬:基礎EXP24%、最新闇市アイテム×1
練達の街希望ヶ浜でアデプト・フォンを手に入れよう!
そこはまるで――《東京》であった。
練達の一区画に存在する再現性東京。さらにその一区画には希望ヶ浜と呼ばれる地域が存在する。
それは嘗て異世界『地球』よりこの世界に召喚され、変化を受け入れなかった――受け入れられなかった――者達の聖域である。科学文明の中に生き、神や魔――怪異を遠ざけ生きてきた人々にとって、急転直下、運命が流転するが如く小説よりも尚も奇抜で奇特で奇怪な環境変化には適応できなかったのだ。
帰り道さえ示されぬ行き止まりの様な人生に、息の詰まった環境に、悍ましくも目を向ければ微笑を返してくる魔に、彼らは背を向けた。そうして作り上げられたのは高層建築物に囲まれ、迷路のように入り組んだ路地の向こうに存在する聖域だ。
コンクリートに囲まれ、目を閉じ、耳を覆って――有り得やしない。有り得やしない。世界と言うのは不変だ。澱みもなく、単調な毎日をルーティンのように繰り返す。それが何だというのか。在り来たりな平凡こそが自身らにとっての一番の事であるなどと、変化を得てから気付くなど愚かと呼ぶ他にはない――だが、そうでもしなければ心は、安定する事さえできない。だからこそ、街は今日も偽りの安寧を享受しているのだった。
Pi――――
「月原君、鳴ってますよ」
そう、単調に口にしたのは音呂木・ひよのと名乗る少女であった。純然たる日本人ですというような顔をして彼女は平然とポケットの中からスマートフォンを取り出す。それは、名を呼ばれた月原・亮とて同じであった。
「……ああ。カフェからの呼び出しだよ。新しい『学園生』が増えるんだって」
「へえ。良いじゃないですか。私もお役御免でしょうか? ……夜妖<ヨル>は日々、増加傾向。おかげでブラック企業さもありなんな労働状況なのですから」
二人が手にしたのは『aPhone<アデプト・フォン>』――再現性東京<アデプト・トーキョー>希望ヶ浜のみで使用できる携帯端末だ。現代科学を利用して練達の科学者が作成したAnet<アデプト・ネットワーク>を手軽に利用できるこの端末は希望ヶ浜で生きる上では必要不可欠の品となっている。
通話や連絡、仲間との思い出を撮影記録、日常の情報である最寄りのハンバーガーショップの検索や『どこで事件が起きたかの事後確認』も行える其れは小さなコンピュータと呼ぶべきアーティファクトである。怪異出現時にもこの端末は鳴り響き――おっと、これは明言していなくてはならない。場によっては着信音が鬱陶しいだろう。そうした時はマナーモードと呼ばれる振動のみに変更することが出来る。諸君らで必要ならばきちんと設定してくれ給え――学園からの指令と事件の内容を教えてくれるのだ。
今日は、といえば――『カフェ・ローレットに新たな学園生が到着した』という情報であった。
「どんな方でしょうか? 怪異然とした方? それとも『日本人』でしょうか。
ふふ、文化の違いと言うのは儘ありますが、希望ヶ浜程違っていれば旅人の皆さんは大層驚き、腰を抜かし、そして泣き喚くのでしょうね。私はそれを見るのが楽しみで楽しみで仕方ないのです」
「音呂木……」
「月原君、私は嘘吐きですから。信用しないでください。どうぞ、水に流してください」
饒舌な少女と共に量が辿り着いたのは学園のほど近い場所にあるカフェ――『カフェ・ローレット』であった。
「まずは、再現性東京<アデプト・トーキョー>希望ヶ浜にようこそ。イレギュラーズ。
あんまりにも雰囲気が違ったから驚いただろう? まあ……此処については追々、学園からのパンフレットもあるから必要なら確認してみてくれ。
早速で悪いけど、『怪異』――モンスターの様なモノをこの地域の住民は酷く恐れる。だから、これから起こる事も俺達だけの秘密だ。後片付けは……まあ、カフェの『掃除屋』が何とかしてくれるだろ」
亮の言葉にカフェのカウンターに立っていた人物がげんなりとした表情を見せた――気がした。
あなたは音呂木・ひよのと亮と共に希望ヶ浜の中央図書館へと向かうこととなる。時刻はAM01:00。街頭に蛾がぶつかり、奇妙な音を立てる他、コンビニエンスストアに買い出しに行くもの以外は大して外を練り歩いていない時間である。
「それでは、説明しますね。特異運命座標さん。
この街には『怪異』が存在しています。希望ヶ浜は誰かにとっての安寧の地。それはそれは継ぎ接ぎだらけ。時代考証さえ適当に大人子供たちが好き勝手にピースを組み合わせた積み木の街です。複雑怪奇、奇々怪々、こんな都市の陰には怪異が潜むのですよ。
例えば――路地裏の瞳。猫でなかったら?
例えば――コンビニエンスストアの袋を揺らして歩く会社帰りのビジネスマンは人ではないかもしれない。
例えば――学園で隣に座った女の子が怪異である可能性だってある。
それに……インターネット越しに会話をしている相手が人間ではないかも。ええ? 人間だって? あら、そんな確証、何処にあるのですか?」
ひよのは楽し気に目を細め――そして、指さした。
「私達はそれを悪性怪異:夜妖<ヨル>、と。そう呼んでいます。
さあ、街が寝静まったその間に『ちょっとした秘密』を共有しましょう。
貴方の編入を皆、歓迎していますよ。学生証を確認できるaPhone<アデプト・フォン>はお忘れなく。
それがないと――あなたのことまで怪異として疑わなくてはいけなくなる」
- シナリオ詳細
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「希望ヶ浜学園へようこそ。編入志望者の皆さん!
ここは再現性東京<アデプト・トーキョー>の一区画――怪異と共に共存する『日常』です。
貴方は希望ヶ浜学園の臨時講師になっても良い、学園生になってもいい。
貴方が希望ヶ浜に家を構えたいというならば、それも許してくれるでしょう。
ああ、けれど、一つだけ約束を守ってくださいね。
怪異の事は決して口外してはいけませんよ。何故ならば、此処は日常を求めた者の辿り着く場所なのですから。
さて、それでは悪性怪異:夜妖<ヨル>を斃しましょう。
本日のオーダーは悪性怪異:夜妖<ヨル>『図書館の怪』です」
by 音呂木・ひよの