PandoraPartyProject

特設イベント

ドキドキ☆ケイオスハイスクールデイズ

●今日も楽しい学園生活!
「私立PPP学園生徒会長、レオパル・ド・ティゲールである!」
 だだっぴろい体育館に生徒会長の重低ボイスが響き渡る。
 ステージに置かれた壇。手を突いて生徒会長は身を乗り出す。
「栄光ある我が私立PPP学園へやってきた新入生諸君を歓迎する!
 諸君らの前には無限の未来が広がっている。
 諸君らには正しく輝かんばかりの学園生活が待っているだろう!
 楽ばかりではなく苦もあろう。様々な誘惑もあるだろう。
 だが、敢えて言おう。それら邪悪な誘いはカスであると!
 軟弱、軟派、無知蒙昧の輩に学園生徒の看板を背負う事は出来ない。
 我が校の名誉と秩序は、生徒会の正しい指導によってのみ永遠に保たれるのである!
 諸君には本校生徒の自覚をもって、決して気を抜くこと無く全力で学業に勤しんで貰いたい!」

 ――ラーシア・フェリル!

 と宣言し言葉を結ぶ生徒会長。純白正義的絶対教導主義(ラーシア・フェリル)を標榜する彼(その証拠に巨乳、紛う事なき巨乳)は右から左へ君達の顔を見つめ、見回す。
 学園生活に不道徳等持ち込もうものならば、一事が万事粛清の嵐でも吹き付けそうな程の眼力である。
 生徒会長が圧倒的カリスマにより――一部のヤバい人達から――支持を集めているのは事実だが、ギャルゲーみたいな設定の学園を背負って不純異性交遊がうんたら、マジでバチに学業やらばかりでは夢が無い。
 フレッシュな新入生たちの未来は様々だ。
 部活動に精を出そうとしているもの。学年主席を目指すもの。ラドバウ道場で無敗を誇りたいもの。練達保健室に通ってサボりたがるもの。番長争いに参加しようとするもの。風紀委員となって学園の規律を守ろうとするもの、キャッキャウフフにパステルカラーの学園生活を夢見るもの。勿論、生徒会長の言いつけを守って模範的生活をしてもいい。
 人の数だけ未来があって、人の数だけ夢があり、ドラマ(ゲツクではない)がある――
「今一度言おう……私立PPP学園へようこそ!」
 無限の可能性を持つ混沌学園生活は、まさに今日から始まるのだ!



「ところで」
 ――うん?
「『ラーシア・フェリル』の使い方、本当に何とかして欲しいのですが……!」
 エルフは火の中に投げ込むものって決まっているだろう?

GMコメント

 OP墨筆墨汁feat.YAMIDEITEI。画、桃タイIL。
 本シナリオのリプレイ執筆は『墨筆墨汁GM』が担当します。
 プレイングの募集は4/1一杯となります。
 どんなにアレなプレイングでもOKなのでお早めに。
 以下、力強いお言葉。全力で殴ってやりましょう。

※これは24時間限定の無料シナリオです! かかってこいやあ!

【君は学園の……何だ!?】
 あなたは私立PPP学園に入学した生徒、もしくは既に在学している先輩生徒です。
 ごくごく普通の生徒として自由な学園生活を送るのもいいですが、特定のポジションについて学園みを味わいまくるのも良いでしょう。

・ポジションへのつきかた
 プレイング冒頭に『騎士道部部長』とか『生徒会書記』とか『ゴリラ飼育係』とか『裏パンツ購買部』とか書きましょう。書いたらなります。
 競合があった場合等は理不尽に決闘が始まったりご都合主義が起きたりしますが、どーせこんなシナリオなのであまり気にしないで下さい。

【学園で青春を送るのだ!】
 ポジションを決めたなら、日頃の学園生活を謳歌しましょう。
 あなたはどんな日常を送っていますか。ゴリラ係ならゴリラへの餌やりとしてバナナ星人をとっ捕まえているかもしれませんし、サキュバス部の部員なら健全部の部員と性的な死闘を繰り広げているかもしれません。
 裏パンツ購買部では金貨とパンツを取引する密売を行なうでしょうし、風紀委員たちとの死闘に巻き込まれるかもしれません。
 なにがあるか分からない。けれどいつもなにかがある。それがPPP学園なのです。
 また配役が決まっているNPCは以下です。

 学園理事長:死牡丹梅泉
 先生の皆さん:七罪+イノリ
 新入生:ユリーカ、アルエット、ざんげ
 子犬系後輩:ジャコビニ
 クラスメイト:キング・スコルピオ
 蒼薔薇の君(高嶺の花):リーゼロッテ
 生徒会長:ぼくらのレオパル
 純白正義的絶対教導主義:ラーシア・フェリル(概念)

 特に規定されていないNPCは呼べば適当に登場するかも知れません。
 上記も含めてNPCは必要そうな場合のみ登場します。

※このシナリオは嘘シナリオです。混沌世界とはまーったく違う一切の関係が無いIF世界で繰り広げられる学園ドラマを好き放題お楽しみください。

リプレイ

●燃えろ! 図書室!
「話しはわかりましたっ! つまり学園は破滅しますっ!」
「帰れェ!」
 教室の扉をガラッてして出てきたヨハナを追い出して、サンディは振り返った。
 腕には生徒会の腕章。ヘッドフォンを首にかけた彼は生徒会切り込み隊長である。
「今日俺が来たのは他でもない。この図書室で不審火が目撃されたからだ。容疑者はここにいる四人!」
 さあ右から紹介していこう。
 リコリス。なんかずっと火ぃ持ってる。『学校の怪談部』所属の鬼火担当。
 サイズ。ずっと火ぃ扱ってる。鍛冶部部長。校章バッジを千個作って購買部に並べろと指令をうけて三日寝ていない。
 ドラマ(ゲツクの方)。
「…………」
「…………」
「……え、なんですか」
 全員の視線がドラマ(ゲツクの方)に集中した。
「話しはわかりましたっ! つまり学園は破滅し――」
「帰れェ!」
 窓をガラッてして入ってきたヨハナを追い返し、サンディは証言者のアレックスを前に出した。
「……ん。そうだ。私は確かに見た。入ると呪われるという第三図書室で揺れる火が……その翌日様子を見ると、部屋は全焼していた。……何者かの放火にちがいない……」
「「…………」」
 全員が一斉にドラマ(信頼と実績)を見た。
 が、次の瞬間。
「助けて!」
 文化保存倶楽部(部室は第三図書室)のイーリンがマントを燃やしながら飛び込んできた。
「今日は文化保存倶楽部の引き継ぎのための準備をしてたんだけど。火の中に投げ込まれて逃げ出したエルフのせいで倶楽部に火が燃え移ったのよ!」
「「……」」
 全員は一旦ドラマ(濡れ衣)を見て、もう一度イーリンを見て、ぽんと手を打った。
 ガラッと開く天井。
「話しはわかりましたっ! つま――」
「帰れェ! あと消火ァ!」

●部費のためなら孤児院も燃やす
「先日図書室が燃える騒ぎがあった。騒ぎの原因は本のインクに代えたが……そのために部が一つ潰れて部費が余ったらしい。この部費をかけて」
 図書委員大地が暗黒微笑で振り返った。
「第八八八回――部費争奪選手権! 優勝者には部費相当のアイテムが進呈される。存分に争ってくれ。ルールは無用」
 さあ、イカれた出場者たちを紹介するぜ!
「フフ……おもしろいことになったわね」
 リノ。意味深な呟きと微笑だけをして去って行くことを主な活動とするセクシーアニマル部の部長! それ以外の活動はお昼寝!
「フハハハハ!!! そう!! 私こそが!! ライム・ウェルバーだ!」
 ライム。魔王部部長。主な活動は高笑いをしながら派手に登場すること。それ以外の活動はテレビゲーム!
「廃部の危機を乗り越えるため……私は負けない!」
 イリス。魔法少女研究部部長。主な活動は夢を夢で終わらせないために日夜魔法少女を研究すること。それ以外の活動はアニメ視聴!
「えへへぇ、とにもかくにもネタには困らない学校だよねぇ。毎日やりがいありすぎて困っちゃうよぉ」
 政宗。新聞部幽霊部員。ネタはメモするが新聞にはならない。どこに消えてるんだそのネタ。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛果ての迷宮う゛う゛う゛う゛う゛!!」
 アト。ダンジョン観光部部長。ダンジョンに行く日になると運命的にタイミングを逃す。
「この銃? やだなー実弾ダヨじゃない間違えたモデルガンダヨー」
 ジェック。サバゲー部部長。部員も顧問もいないし主な活動は校内での自主サバイバルゲーム。それって銃乱射事件とどう違うん?
「この学園の全てをぬいぐるみに変えてやろうじゃないか!」
 イーハトーヴ。『ぬいぐるみもふもふきゃっきゃうふふ部部長。ぬいぐるみを愛で理解しない者をぬいぐるみにしていく部。
「例の会社もうないって本当か?」
 ラノール。PPPブレイク工業部顧問。不要になった大型備品や古くなった校舎などを解体する便利な部活だ! ただし用いる機材はマトックのみだ!
「お前の顔面をオレンジジュースで染め上げるでゲルゲ!」  フニクリ。クラブ『遥か夏のカプリチオ』部長。新入生に謎の台詞をなげかけて去る部。
「君ももふもふに癒しを求めているのかい?」  妖樹。もふもふ部部長。その名の通りもふもふしたものを愛でる部。しっぽ九本のしゃべれるきつねさんだぞ。
「今日のオモチャはこちらですか?」
 メルトアイ。不純異性同性交友部部長。日々生徒を触手で縛ったりみだらなデイズを過ごしている部。誰だこの部を承認したやつは(多分色欲先生だな)。
 そんな彼らに、大地は『優勝賞品』と書かれた台を指さした。
「そういえば賞品を見せていなかったな」
「お肉です。お肉なので分裂したり破裂したり膨張したり食されたりします。だけれど生徒です。何故ってお肉だから。生徒に貪り尽くされても問題ありません。お肉は無敵なので半永久的に生えます。再生します」
 オラボナ。肉。優勝賞品。
 それを見た一同は、一斉に背を向けた。
「「解散ッッッッッッ!!!!」」

●スクールワンデイズ
「オラァ!!!新入生ども!!!ハンマー殴打健康診断を始めるぞ!!!」
 ハンマーの匠、保険医のハロルドせんせいが箱に詰まったハンマーをジャグリングしながらすげー顔で叫んだ。
 ゴッという鈍い音と共にスキルや能力をリセットされて強制的に健康になっていくハンマー殴打健康診断は春の風物詩である。
 男の部、女の部、どっちかわかんない部に分かれて行なわれるこのイベントに、『他校からのスパイ』公は全部通しで参加していた。目を細めるエディ。
「なんでおまえ全部に参加してんだ……?」
「ぜんぶ? なんのことかな?」
 性別チェンジしてコンプリートした『他校からのスパイ』公は首を振った。
 小首を傾げるエディ。
 そこへ――!
「ぱらりらぱらりら! オレは学園一のガキ大将だ! 健康診断なんてサボるぜ! ぱらりら!」
 口でぱらりらって言いながら洸汰が廊下を自慢のマシン(セグ○ェイ)で駆け抜けていく。
(自分の才、淡い恋心、やりたくない宿題……それらに見切りを付けようとするも、諦めきれずに今日も溜息)
 そんな様子をガン無視してモノローグを脳内で語るオリーブ。
「やっと青春を謳歌出来るぞ! って言った奴は誰だよ! 僕だね!」
 とか言いながら麗が生クリーム泡立てながら家庭科室の扉を開けた。
「バイトのシフトは増えるのに金銭は常に金欠! どうなってるの世の中!」 「あっケーキできました? いただきまーす」
 できたそばから吸い込むように食べていくアイリス。料理部試食係。
「おいしい。今日のご飯はなんだろう」
「ケーキをワンホール食べながらなぜ夕飯のことを考えられるんだ……?」
 同じく生クリームを泡立てながら食べっぷりを眺めるリチャード。
 隣では晴明が魅惑のアロマを作り上げていた。
「おいおい、こいつは冗談キツいぜ。何だこのラフレシアとタイヤを煮詰めたみたいな悪臭は!? おいペッツェ無事か」
「おとうさん、パパ、こんなところに」
 扉をガラッとやって入ってきたアルト。
「おっと今は入るな。ここは危険だ」
「ケーキ作るから隣の部屋行こうな」
 人がぶっ倒れても構わず進める。それがこの学園の日常。
 家庭科室を出ると、ジル(ゴリラ)がのっしのっしと廊下を横切っていった。
「ウホ。ウホホ。ウホオオオオオオオオオオオオウっす!」
 輝くクリスタルゴリラのドライミング。うん日常だね。
「ほらみてビューティーちゃん、今日もゴリラ先輩がドライミングしてる」
「ですわねー」
 ジェイクとビューティーが手を繋いで廊下をすれ違っていくくらいには日常である。
 そして明日行なわれるあのイベントも……そう、学園の日常なのだ。その名も――。

●春のパンツ祭り
「美しいものをより美しく。きれいなーれーーーー!!」
 美化委員エフェクト係舞香がパンツをばらまくこの季節。PPP学園生徒たちは窓に積もるパンツを見て『ああもう春だな』と想うものである。
 季節は春のパンツ祭り。
「”スピード”を”ナメ”るんじゃねーゾ……”レオパル”ゥ……!」
 裏パンツ番アルプスローダーは闇パンツでパチモンつかまされた恨みで校内を爆走しレオパルさんのパンツを燃やす。
 闇市で乙女のパンツを買ったらレオパルのパンツだった憎しみは消えないのだ!
「お金たくさんくれるなら、ボクのぱんつ、今ここで脱いで渡そっか?」
 一方で裏パンツ購買部のミュールは遊ぶ金ほしさにくまさんパンツやらなにさんパンツやらを売りさばく。
 彼らにとって風紀委員なんて恐くない。風紀が恐くてパンツを売れるか!
 そんなもんだから風紀委員たちは年度末の税理士くらいにどちゃくそ働くのだ。
「パンツは白……白以外認めない……」
 気だるげに女子生徒のスカートをめくって回る暁蕾も勿論風紀のため!
 白以外は再教育施設送りだ。むろん暁蕾自身も……白だ!
「ただちょっとドジなだけよっ。今日こそ汚名返上するんだから!」
 といって滑って転んだ拍子に数十人のパンツをひっぺがすアルテミアも勿論風紀のために活動しているのだ!
 歩くラッキースケベとか幸せの青いパンツとか呼ばれてるけどいたって真面目に活動している! のだ!
「わ、私はお色気枠ではありませんよ!? 本当なんでsひゃああああ!?」
 そこへバナナパンツに滑って転んで数十人のパンツを乱舞させて自らもスカートをアレする弥恵も……勿論真面目な風紀委員である!
 風紀委員が風紀を乱している? ハハッ(裏声)、そんなばかな!
「さぁそこの君、指導室でみっちり身体検査よぉ?」
 いかがわしい風紀委員アーリアがロリババア登校する生徒を指導室に牽引していったのは……多分真面目な理由である!
「そしていつからおねーさんがこの学園にいるかはトップシークレットよぉ?」
「ただ口頭で指導するのでは意味が無い。、時に(胸で)甘やかし、時に(頭ぽんぽんで)叱責するバブみを兼ね備えた指導方法が生徒の心を動かすんじゃ」
 ヴェッラが生徒をオギャらせるのも……た、たぶん真面目な風紀維持活動である!
 風紀委員たちがここまで熱心に活動しているのに校内のパンツ風紀は乱れるばかり。一体なぜなのか。なぜなのか!?(自明の理)
「おれの名前は(σロ-ロ)ゞ・(.?ω?.)、探偵さ。ひょんなことからパンツの密売現場を見かけてしまった俺たちは――」
「色々でごぜーますよ……」
 背後から忍び寄る闇パンツのコレクター、ウィートラントに気づかなかった。
 いきなり睡眠パンツを呑まされて倒れる探偵。気がついたら子供になってそうなこのシチュエーション。そんな現場へ現われる美少女闇市部員シオン。
「闇市はいいよね。パンツが出たらもっと回せる……あっゴールド足りない。金貨買わなきゃ。とりあえずいちごみるく飲み終えたら木の上でお昼寝でもしよーかな……でももう一回闇市を……!」
 闇市チケットを手にハーハー言ってるシオン。闇市ジャンキーを取り締まるのも、闇のコレクターを取り締まるのも風紀委員のお仕事だ。
「わ、なんですかこの不正義は」
「今『風紀』を乱していませんでしたか?」
 校舎裏に風紀委員のアマリリスと九鬼が乗り込んでいく。
 そして突然の突風によって自ら風紀を乱してしまう悲しき定めの九鬼(スカート的な意味で)。
 逃げだそうにも風紀委員参謀総長のシグと風紀委員特攻隊長のレイチェルに挟まれればもはや逃げ場は無し。
 二人が反目しあっているという二人だが実は裏で支援し合っているというのは誰も知らない秘密だ。けどタイミングばっちりやなこの人ら。裏から手を回してお互い助け合っているっていうのはヒミツだぞ☆
「誰だ、今。どーみても学生に見えんババァって言った奴は? 学園の平和を乱す奴は片っ端から火炙りにして歩いてるぜ。特に! 人前でいちゃいちゃしてる奴は赦さん!」
「構わん。捕まえろ」
「我が目の黒い内は学園の風紀乱す事許すまじ。
 規律を重んじ、学園の秩序を維持するのが我ら風紀委員の務めなのだ!  不健全? 密売? 全て断罪すべし。――今宵の不知火は血に餓えておるわ!」
 すずながポン刀翳して一人の男を引きずってきた。
「こいつがパンツを売っていたと報告が」
「ちがうんです! パンを売っていただけなんです!」
 フランスパンを翳す零。
「青薔薇の君に毎日フランスパンを食べさせればもっと売れると思って毎朝張ってただけなんです!」
「つれていけ」
 顎をきゅってやるシグ。
 そうこうしている間にもあちこちではパンツトラブルが巻き起こる。
「委員長! ないない部のカイトがパンツをないないしたそうです!」
「委員長! パンツハンター部の鈴鹿が職員のパンツを盗んだそうです!」
「委員長! ぱんつ脱がし聖奈が校内のパンツを脱がしまくっています!」
「ええい、いくつあるんだパンツを盗む系の集団!」
「ここはわたしたちに任せて!」
 風紀委員のメルティスが同じく風紀委員のシフォリィをつれてシュバッと現われた。
「逆にパンツ奪われて売られる未来が見えませんか」
「ちょっと!?」
「そんなことないよ! わたしたちがパンツテロリストたちをつかまえるんだから、見ててよね!」
 しゅばっと駆け出す風紀委員特別パンツ対策係。
「こらー! ぱんつは売っちゃダメなんだからね!」
「『風紀乱し委員』や『へっち委員長』と呼ばれた汚名、返上してみせます!」
 とびかかられた鈴鹿、カイト、聖奈が一斉に振り返り、ギュイーンと目を光らせた。
 ――その十秒くらい後に二人はソッコーでパンツを奪われて売られていた。一枚8000Gくらいで。

 君は知っているか。
 パンツ購買部の鴉忍者。奴の手にかかれば何者のパンツでも奪われてしまうという。神出鬼没、正体不明の怪盗だ!  ある時は鴉の姿で!  ある時は仮面の美女で!  パンツを収奪し去っていく!
 だがパンツテロリストに立ち向かうのは風紀委員だけではない。
「やっぱり……こんなにぱ、パンツ……!が飛び、交ってる……のはおかしい、と思います……!」
 パンツ被った『パンツ☆粛清戦士』ブランシュ(正体はヒミツだぞ☆)が屋上に現われ忍者へと飛びかかる。
 顔をパンツで隠しちょっと大胆に参戦する本人はいたって真面目な対パンツテロリスト戦士である。
 走れパンツ☆粛清戦士!
「え? パンツが欲しいの? 私、裏購買部じゃないんだけど……いくら? 先に言っておくけど、私のじゃないから安心して」
 その裏では闇パンツバイヤー衣がパンツを売りさばき……!
「教えて……あなたに恋する気持ちを。ほら、そこの体育倉庫なら人来ないから……」  そのまた裏では逆風紀委員ココロが風紀を積極的に乱す……!
 衣に至っては煙の出るペロキャン(校則違反なのそれ?)を校舎裏で吸うわ非売品パンツを売るわ、ココロは体育倉庫に男を呼び込んではイケナイスクールデイズを満喫している。風紀はめっちゃ、乱れて居るぞ!

「今日も平和じゃ……フレイムタン先輩また通らないかのう」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
 飼育委員エシュカと用務員のオッターが校舎裏で珍妙なロリババアやサメやウサギたちに餌をやったりお掃除したりしていた。このウサギやサメはもう少しあとに深く触れるから待っててね。
 オッターには……どうしようこれ以上ふれようがない。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア!?」
 そんなときである。
「裏パンツ購買部や学園の風紀――全力で取り締まっ、うわあパンツが!」
 風紀委員補佐アンドロイド丞先生がソッコーで闇パンツバイヤーをとっつかまえては引きずっていく。引きずっていく過程でひらひら待ったパンツに大慌てしていく。高性能アンドロイドは慌てたりするんだぞ。
 一方で鈴音は粛々とパンツポイント(PP)シールを生徒の手帳にぺったんぺったんと生徒たちの手帳に貼っていった。
 闇市パンツについてるシールを集めると素敵な絵パンツと交換できるゾ☆
「今年は闇パンツも少ないネー」
 平和平和。
 とか言ってると、学園屋上にスカーフをバサらせたセティアが現われた。
「学園の風紀を乱す者とはパンツで語り合うまで。あなたは何色派? どんな柄や形がすき?
 わたしの声がきこえますか?  そう、わたしは、あなたに問うている……ほんとは誰のパンツが好き!?」
 とう! と言って屋上から飛ぶセティア。
 全力ダッシュで捕まえにかかる風紀委員の皆さん。
 鈴音はシールをぺったんと貼りながら空を見上げた。
「今日も平和だネー」

●青薔薇の君
「学園の闇を突き止め……影ながら平和を守るの……。ハンマー殴打健康診断。これはミア達の低身長化を望む陰謀に違いない…の」
「そもそもなぜハンマーが健康診断に必要なのか……蒼薔薇の君なら何か知ってるかな?」
 ミアとティアがカメラを片手に学園を探索していた。
 PPP学園七不思議探索部のミアとティアはなかよし。学園の闇を今日も突き止めるゾ。
 といった具合に学園の廊下を歩いていると、突如青いバラの風が吹いた。
 『青薔薇の君よ!』という歓声に振り向いてみれば、割れた人垣の間を青薔薇の君ことリーゼロッテが歩いているではないか。あと下から斜めに飛んでいく鳩。
 その斜め後ろにずらっと並ぶ親衛隊のみなさん。
「オーホッホッホ!私は蒼薔薇の君親衛隊が一人、リーゼロッテ様ファンクラブ7番、ガーベラ・キルロードですわ!  さあ、私のこの扇でぺちぺちされたくなければリーゼロッテ様に恭順を示すのですわ!」
「私も私も(いやぶっちゃけリーゼロッテちゃんでコクるのもYABUSAKAじゃないけど! フラれたときのダメージがでっかいので! いっしょにいたいので!)」
 道行く人らを扇子でぺちぺちしていくガーベラと秋奈。
 そのまた後ろではシャルロットが影武者にゃんこを抱えてお日様を浴び、シズカは学食の食券を売りながらリーゼロッテ鑑賞を楽しんでいた。
「ふにゃーゴロゴロ……おひさま気持ちいいにゃ……」
「本日のオススメはパンケーキとアメリカンドッグ、サツマイモ蒸しパンですよ!」
「世の中お金よ!沢山稼いで闇市に突撃するのよ!そしていつか私も億万長者!」
 そのまた一方でリディアが青薔薇の君へ送る専門の薔薇をあちこちに売りつけたりしていた。
 んでそのまた後ろでは零(さっき連れてかれてなかった?)が『パンを食べませんかお嬢様!』と熱烈に宣伝している。
「ふう、少し歩き疲れましたね」
「応!」
『椅子になる』
 そしてちょっと疲れたとか言えばMeltingとグリモーが椅子の座をかけてバトルをし、勝者がリーゼロッテの椅子になるというなんかよくわからないやりとりをする。この学園の日常である。
「芳しく芳醇な香り柔く玉の如き肌そしてそれを包む漆黒の聖嬢布それを受け止めるこそ真に太古の叡智たる吾輩に相応しい役回りであ~るハフハフハフ!」
 黙って顎をくいっとやるリーゼロッテ。
『リーゼロッテをいじめるのはダメなの』
 するとMeltingが即座にグリモーを抱えて窓から投げ捨てた。
「あ、蒼薔薇さん、お手紙ですよ! そう嫌そうな顔しないでくださいって、これも郵便配達部の俺の仕事なんですから」
 そういってエフが持ってきたのは大量の手紙だった。
 『オレはオマエを倒してガクエン最強のショウゴウを手に入れる! ――イグナート』
 『一目見た時から運命の人だと思いました。桜の木の下で待っています。 ――善と悪を敷く 天鍵の 女王』
 『シーナさんがお嬢様のぱんつを売っています』
 三枚目だけをピックアップすると、再び顎をクイってやった。忍者みたいにヌッと姿を現わしたことほぎがひとつ頷くと、ナイフを手にどこかへ駆けていく。
 その様子を柱の陰から見つめるアリシア。
「私はお姉様の姿が見られればそれで良いの」  とか言っていると、Aliciaが颯爽と現われて髪をかき上げた。
「私は3年生のアリシアだ。警護役員会長をしている。このぱんつはキミのものだろう?」
 といって、頭に被っていたパンツを脱ぎ――顎をクイってしたお嬢様の一存で窓から投げられた。
 さあここからサービスタイムだ。
 リーゼロッテお嬢様はまずミアティアコンビに『ハロルドのせいよ』と教えMelting・Emma・Loveちゃんをなでなでしエフの持ってきた手紙に秒で返事を書いて渡しシズカのメニューに『よくってよ』とコメントをつけイグナートの果たし状に『行けたら行く』と返し善と悪を敷く 天鍵の 女王ことレジーナにあのなんか詩的でそこはかとなくお上品な文句でつかずはなれずのいい具合な返し方をし、リディアからバラを百本買ってグリモーに投げつけことほぎとガーベラと秋奈とシャルロットの頭を高速でよしよししてやり、シーナとAliciaには後日謎の小包が送られるようにし、そしてかげてみていたアリシアに瞬間移動でそばに寄ると。
「タイが曲がっていてよ」
 直してあげるのだった。
 オーケーたぎってきた。こんな具合に今日もおぜうさまの人気はウナギのノボリだぜ!

●学園に図書室は三つくらいある
「どうだ? 部活は決まったか? 今年度の部活人気投票の結果と学内情報誌を配っている。迷ったら新聞部だ」
 今日も図書室前では新聞部の朧が新入生を勧誘している。七不思議のひとつ『新聞部のやり手部員・朧先輩』である。
「…………」
 その隣でコピー用紙をもふもふ食べるメイル。
 万年腹ペコやぎさんで、教科書ノートも割りと早い段階で食べてしまった、らしい。お昼ご飯は生け垣の葉っぱで凌いでいるが、それも最近限界なのだとか。だからって紙くわんでも。
 横ではデイジーが紙を喰われないように理事長に関する記事を書きまくっていた。
「土地買収にかかる問題についてあばくのじゃー! 理事長に突撃インタビューをして文書改ざんや何か偉い人の忖度とかが無かったか徹底的に調べるのじゃー!」
 一方の図書室では、教育実習生の創がユリーカにわーいといってもふもふされていた。
「あっちょっユリーカ君、まだ仕事の途中なんだからもふるのはやめなさい!めっ!」
「あのユリーカって子、アイドル部にぜひ欲しいわ……」  すごい身長してるコレットが図書室の窓から中をじっとのぞいている。
 銀河いちのアイドルになるのをめざして歌と踊りを磨くアイドル部の部員である。
 このあたりまでがセットで、図書室の日常である。
「…………」
 アイラは貸し出しカウンターの内側で静かに本を読んでいる。
 この図書室はアイラさんの庭だ。
 どこにどんな本があるか、今日の本の貸出数は何冊か、本の返却遅延者は何人で何日か。図書室に関わることはすべて彼女の頭の中だという。
 室内の机では半不登校児の黒金と銀が向かい合って、そして静かに本を読んでいる。銀に至っては本を読む格好のまま眠っていた。
 黒金は不登校児だが、銀にひっぱられてなら学校にくるようになったらしい。
 しかし当の銀は居眠り王子。なんだかんだで一番いるのは図書室と保健室、らしい。ちなみにお昼はいちごミルクと菓子パンがお決まり。
「僕も、この学校に来てもう1年……経つのか……早い……ですね……」
 同じく図書委員の副部長をしているルーフェルはのんびりと静かな時間を過ごしている。
 ついさっきまで魔王部の部長が『肉が!』とかいいながら駆け込んではそのまま窓から飛び出していったが、なんだったのだろう……。
 どういうわけか図書委員は彼らだけに留まらず、四人ほどごっそりカウンターの内側に座っていた。
「また…今日も……勝手に…持っていかれる……私が…ここにいる…意味って…」
 図書委員だけど誰も図書カードを置いていかないことに疑問をもつ幽魅。
 疑問をもつついでにスヤァする。
「どうせ…いても…いなくても…いい……なら…少しだけ…居眠りしても…いい……よね…?」
「ここはいい、SAN値が削れそうな外とは隔絶されて静かなのだ」
 とか言いながら自分はSAN値が削れそうな本を読むマカライト。
「一応ここは普通の図書館だが怪奇事件とか七不思議的な物とか出るらしい。気を付けることだ」
 誰にともなく解説するアイス。
 騒動がおこらないように人避けをしているが、ついさっきの騒動くらいしかさわがしいことはおきていない。平和なもんである。
「何か御用でしょうか?」
 その誰かに静かなリアクションをするシェリー。
 いつも図書館の奥の方で本を読んでいる眼鏡属性の図書委員だ。
 けれど他人と雑談などをしている姿は殆ど目撃されていない。
 そんな。
 静かなのか賑やかなのかわからないような図書室に――。
「魔王部の部長はどこですぅ~!?」
 近代分化研究部部長のオウルニィトがガラッと扉を開けて部屋に入ってきた。
 部室(テリトリー)にこもって近代分化(ゲーム)の研究に励むのに飽――じゃなくて他部の交流も大事にしにきたオウルニィトである。
「まおー! 焼きそばパンダースで買ってきましたー! ゲーム機のケーブル返して! 買ってきてくれたら10分だけゲームやっていいって約束でしょ!」
 別の扉をガラッてしてくるサバーシャ。魔王部のメイドである。
「魔王部長、活動内容の訂正しないと電気代徴収するのですよ。完全にゲーム部じゃないですか……あれ? 魔王部の部長きてませんね。勇者部も」
 その後ろから身を乗り出して入ってくる憂。
 すると、すやすや寝ていたAzathdoがむっくりと身体を起こした。
「部長……? 部費を手に入れるとか言っ――スヤァ」
 そこへ演劇部のライアが同じ演劇部の仲間をつれ、仮面をつけて現われた。
「困ったねえ。今度の演劇に魔王ぽい人が必要だったんだけど……」
 ふと振り返ると、踊り子の衣装を着た演劇部のティスルが『健全部』のはちまきをつけた生徒たちにどちゃくそ追いかけられていた。
「貴様サキュバス部の部員だな!?」
「これファンタジーモノ向けの踊り子衣装だから!
 だからー! わー、ヘルプー!
 冤罪はんたーい! 暴力はんにゃわああ!?」
「推測。この不可解な現象は何らかの世界的悪意、策意である」  そして身につけていた衣装がぼろぼろになっていくミュル。
 演劇部やべーやつしかいねえな。
「仕方ないでごわす。彼にやらせるわ」
 そういって引っ張ってきたのは魔王だった。魔王っていうあだ名の人だった。
「またか……」
 色々諦めて魔王を受け入れつつある魔王。定期公演で『魔王』を演じた折、それがあまりにもそれらしかったためそれから『魔王』と呼ばれるようになったらしい。知っている人は少ないが本名はエルシレイサ。
 おっと視聴者の皆、さっき出てきたサキュバス部ってワードが気になるんだね?
「女の子たるもの際どい服着て彼氏と不純異性交遊の一度は経験しときなさい!」
 PPP学園のサキュバスつったらそう、サキュバス部部長の利香である。
 不健全マックスの格好で青い肌を晒す利香(リカ)。
 生徒会健全部の連中が反省棒を振りかざして襲いかかるが……。
「お姉様に褒められるために……戦いますわよ!」
 同じく肌色ブルーのアマリアがサキュバス棒(なんかうぃんうぃんするやつ)を振りかざして反撃する。
「サキュバス部、後に続け!」
「うおー! 理事長を酔いつぶしてお姉様に捧げるのです!」
 クーアも一緒にサキュバス棒二刀流で飛びかかる。
 サキュバス部の部員となったクーアはもうどすけべな格好をした肌色ブルーのド淫魔である。ファ○マで働いてないのが不思議なほどに。
「新入り、サキュバス棒ダースで持ってくるのです! あと理事長を酔いつぶして連れてくるのです!」
「はーい! 健全部のみなさんも一緒に楽しみましょうねーえへへへへえ」
 肌色グリーン(半透明)のライムがサキュバス棒を箱で担いでダッシュしてくる。
「え? 胸が大きすぎる? 肌が緑? 気のせいですよ! 気のせい! それにすぐに気になりますからえへへえ」
 ええいなにが全年齢向けだ少年誌がギリギリを責めるようにエロピンつくりてえんだよっていう気持ちを武器に、サキュバス部は今日も健全部と不健全に戦い続けるのだ!
 そして、図書室の静寂を守るべく図書委員たちが銃を乱射しながら飛び出してくるのだ!

●みんなのレオパル!
「私はヴィルヘルミナ。授業態度は真面目で校則違反もしたことがない、成績そこそこの一般生徒だ」
 モノローグでいうことをあえて口で言う一般生徒ヴィルヘルミナ。
 影に隠れて見つめるは、廊下に引かれる赤い絨毯であった。
「おはようございますレオパル生徒会長様!」
 モーニングソングを歌うアイドル部の面々の先頭にたって重箱弁当と花束を突き出すリゲルお嬢様。
 みんなのレオパル生徒会長はそれをむんずと掴むと、『うむ!』とかいってのしのし校舎へ歩いて行った。
 きゃーうけとってもらえたー天義依頼はいります! といってぴょんぴょん跳ねるリゲル子ちゃん。
 ちなみにアイドル部のメンバーはリゲル子とクロバ子とアオイ子とウィリアム子である。キャラがだぶる? 知らんな! メンバーの百合写真はよ!
「レオパル生徒会長。マイクスタンドを修理したぞ。今月でもう何本目だろうな……?」
 少し遅れて鍛冶部のエリシルがマイクスタンドを突きだしてやるとまた『うむ!』つって掴んでいくレオパル。
 余談だがエリシルの他の鍛冶部員は部長のサイズひとりであり彼(?)は今校章バッジ大量受注により死ぬおもいをしている。翌日あたりからエリシルも同じ運命をたどる。
 生徒会室に入ってみると、机にだらーんとした生徒会副会長ヨルムンガンドが座っていた。ポテチをパーティー開きにしてぽりぽり食べていた。
「とっても暑苦しくて堅苦しい素晴らしい演説、ご苦労様だったなぁ。まぁまぁ怒るな。折角の巨乳が台無しだぞ~?」
 といってレオパルの乳(?)をもみ始めるヨルムンガンド。
 次の瞬間には窓から捨てられた。
「やれ、やれ、レオパル先輩は今日も熱いっすねー。  真似したくとも橘にはとてもとても……。
 さてさて、愛しの会長の為に仕事、仕事っすなぁ」
 手をぱしぱしやって窓を閉める生徒会四天王零。
 ちなみに四天王は零しかいない。四天王とは?
 強いて言うなら今から言う他のメンバーたちのことだろう。
(普通の学園生活なんて楽しくないでしょう? これくらいの刺激がなきゃ)
 といってお茶に睡眠薬をざらざら入れていくのは生徒会お茶くみ係オリヴィア。
(お側で仕事をしていても先輩は私の気持ちになんて気付いてくれない。だから私決心したの! レオパル様を私だけのものにするって!)
 とかいってナイフを毎日握りしめてるのが生徒会書記サクラ。
(諦めて私の物になったら良いと思うんだサクラちゃん。その方が絶対に幸せになれるとはず……。さあ私だけを見て!!)
 とかいって縄をほぐしてるのが生徒会庶務スティア。
 なんだこの生徒会ヤベーやつしかいねえのか。
「…面倒は嫌いなんだけど…ま、良いんじゃない…? 自分は生徒会の仕事、別に嫌いじゃないしね」  そういって書記補佐を務める美少女征斗(男)は生徒会の癒やしである。他がヤベーから。
 と、そんな生徒会室に窓をがらっと開けて突入してくるレッド。
「ボクは彩りある様々なおぱんつを賄賂にダーティなルートで生徒のハートキャッチをしてきたっす! 生徒会長の座はボクのものっす!」
 アンブッシュである!
「俺は風巻。何でも屋だ。悪いが仕事なんでな、死んで貰う」
 またもアンブッシュである!
 必要があれば学園長やレオパルと斬り合いも辞さないと評判の何でも屋である。
「学園最強女番長ニーニア参上! レェェェェオパァァァル!! アンタをブッ倒して、アタイが学園のてっぺん取ってやるよぉ!!」
 またもまたもアンブッシュである!
 真紅の特攻服に愛用の木刀片手にカチコミしてきたニーニアである。
「邪魔するヤツは、生徒会だろうが風紀委員だろうが、纏めてブッ飛ばしやるからかかってきなぁ! オラオラオラァ!!」
 やべーやつしかいない生徒会、まさかのピンチである。
 と、そこへ。
「純白正義的絶対教導委員会四天王が一人――ウィリアム参上。純白不覚悟の者を粛正しにきたよ」
「純白正義的絶対教導委員会四天王が一人――百合子参上。秘密のお茶会を始めようぞ……!」
 更にやべーやつがガラッと窓開けて乱入した。
「「純白正義的絶対教導主義の名の下に!」」
「「ラーシア・フェリル!!(概念の合い言葉)」」
 キエーという声と共に始まる死闘。
 そんな風景の中で、レオパルはフツーにお弁当を食べ始めた。

●クラスメイトはヤベーやつら
「全員席に着け。出席をとる!」
 1年TB組、しもやけ乳首先生のホームルームが始まった。
「ニックネームを呼ばれたらキャッチフレーズを言え。1番――瓶底ガリ勉新田!」
「すま絵師にお嬢様の絵を頼むでやんす! そうすればT大に合格するでやんす!」
「留年十回目のらむね」
「超絶美少女アイドル17歳です! 17歳だっつてんだろオラァ!」
「留年七七年目のレジェンド・ザ・エクスマリア」
「今日も、平和だ……」
「聖妹結美」
「お兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃん」
「闇妹イ=モウト」
「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお呪ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお祝ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃ」
「柴山さん」
「柴山さんは柴山さんゆえに柴山さんを束ねる柴山さん会長であり柴山さん会は柴山さん一人で構成されているそう――柴山さんだぞ」
「黒ゴスナハトラーベ」
「アルバムは黒ゴスでできている
 唐揚げは塩で、心はカラス
 幾たびのシナリオを越えて
 ただの一度も愛想はなく
 ただの一度も理解されない  彼の者は常に独りリプレイでフライドチキンをムシャムシャする  故に、その役職は特になく  そのアルバムは、きっと黒ゴスで出来ていた」
「ビルドが良すぎて難易度定規にされてるセララ!」
「ボクは理事長の娘! 新しい校則を作ったよ! 理事長と一日一死合い!」
「はい死合部の小夜!」
「キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!(理事長室に凸る鳴き声)」
「背景の凪」
(背景です)
「ロザリエルの花」
(花です)
「ざんげの背後霊奏」
(守護霊です守護霊なのです。DENSETSUの木の下でKOKUHAKUするべきではないでしょうか。でもその前にSENPAIとしてあれやこれやキャッキャウフフ……)
「チラリゴケ」
(今日もいい朝だぜ……とりあえず霧吹きしてくれや……)
「校庭の石アマダス」
(ホームルームが終わったら校庭に帰ろう……)
「中二病の和一」
「俺の右目に封印された罪深きカルマが漆黒のナハトを――」
「手術魔の黄瀬」
「和一大丈夫? 手術する?」
「中二病を患っているかと思いきや患っているのは傍らにいるロバでガチで怪我をしているが中二病患者にしか見えないランドウェラ」
「うっ、腕が……うずく……!」
「\ときめけ!/」
 \ぼくらの!/
 \\\タント様!/// 「――が、朝を彩りに来たよ☆」
 一斉に立ち上がるクラスメイト。ウィンクをして星を出すタント様。
 そうここまでが日課のホームルーム。
 しもやけ乳首先生は出席簿をぱたんと閉じると、教科書を取り出した。
「はい授業はじめまーす。ゲーティア・レプリカ119ページ開いて」
「さあ、俺様が命――」

●部活動は学園の華だゾ!
「どこにも入りたくないなあ……」
 京司はPPP学園の部活リストを片手に、オリエンテーションイベントに参加していた。
「どこかに入れと言われたけど」
 リストの一番上に書いてあったのは、まさかの『帰宅部』。
 帰宅部部長鹿津也は、既にさっさと帰っていた。部長とかあるのかそれ。
 さあ、ここから始まる奇想天外な学園の部活動を部員たちの紹介と共にダイジェストで見ていこう。紹介する部、紹介する人の順だ! レディーゴー!
 まずはオーソドックスなところから弓道部、ユーリエ。
「学園の黄金時代を築いたガーンデーヴァ先輩の記録を更新する為に日々特訓してます! よかったら、朝練見ていきませんか!」
 ふわもこアニマルを愛でる会、会長のゲオルグ。
「ふわもこもふもふで可愛い動物達と今日もきゃっきゃもふふするのである! そう、これは純白正義的絶対教導主義的に見ても正しい行いなのだ」
 もふもふにゃんこに仕える部、部長のヨゾラ。 「もふもふにゃんこ(=猫)様達に仕える部活だよ。ご飯を用意して、ブラッシングして。もふもふして、あぁ幸せ……」
 ねこ部、部長のエンヴィ。
「ねこと愛し、ねこと戯れ、ねこに仕えるねこ部。ねこはいます。よろしくおねがいします」
 もうこの時点でネコが被っているが誰も気にしないのがPPP学園。
 サイバー学園運営部のナイン。
「この学園をもっとサイバーでパンクな理想郷にしないと! 壁に特に意味のないメーターをたくさんつけましょう。そうしましょう」
 彼らのせいで学園は若干サイバーだ。
 オーケストラ部のヨタカと一緒にサボってるRing。 「んん…サボるくらいなら…先に帰れば…?」 「いやいや坊ちゃん、これはサボってるんじゃなくて護衛業務です!」
 楽器の練習といって二人は授業をガンガンサボっている。Ringは普通にサボってる扱いなのでは!?
 そしてこちらは軽音部にひっぱりだこな月。と、その従順なる下僕ギルベルト。 「俺はフルートしか出来ねーっつの…俺は帰る…ヨタカに伝えといてくれ」
「我が君はお帰りになられると仰っているでしょう!!!!しっし!そこをお退きなさい!我が君は授業でお疲れになられているのですよ!?あ、ちょっと我が君!わたくしを置いて行かれないでくださいっ!!!」
 そしておにぎり部。おにぎり作ってること以外よくわからない部。
 こちらはおにぎり部の鬼斬部長、青藍。
「うちのオススメのおにぎりはー……これ! 『絶望のハバネロ練乳あんころ餅』!」
 同じく期待のエース狐太郎。
「僕の推しぎりは……これ! 『ごーとぅーへぶん!でっと(りにく)おあ(げ)おりーぶ』」
 同じく保存食のシウル。
「乙女の初めて……もらっちゃうつもりなの?」
 同じく料理人のキコ。
「うるせーぞシウル! おにぎりの中に入れてやろうか!!!!」
 花道部の咲良。
 本人は特に変わったところは無いというがこの学園で普通のことをしてるヤバい部。
「特に言うようなことは……」
 一般園芸部員のヴァイス。
 園芸委員会と合同で花壇を管理している人たちだ。
「みんな綺麗だって言ってくれるから、ちょっと張り切っちゃうわね。ただ、たまにちょっとやんちゃな人達がお庭をぐちゃぐちゃにしてしまうのが悲しいわ」
 菜園部ポテト。
 高い農業スキルで軽く農業しちゃってる部である。
「いつもお弁当をつくるんだ。一つは自分の、もう一つは恋人のぶん……と」
 願望倶楽部の部長、武器商人。
 急に世界観が変わるやばい部。
「なんでも叶えよう。キミの対価次第でね。ヒヒヒヒヒ……」
 レオンさんファンクラ部、瑞稀。
 活動内容はストーカー。……ストーカー!
「早くレオンさんをストー……尾行………えと…陰ながら応援しに行かなきゃ!!」
 未知部部長、アルーシャ。
「今日も未知を調べるために色々と調査を……ハッ、モノローグが私を解説している気がする!」
 未知のことを観察す――うわこっち来んな! 追ってくるな!
 剣道部の由貴。
 剣道といいつつ普通に殺し合ってるヤベー部。
「明日を平和に生きるために、まずは今日の一本を取ります! さあ! 死合いましょう!」
 今日も命知らずの天満が入部という名のカチコミにきた。
「それがしは天満!入部届けを持参がてら、道場破りに参った!」
 傭兵部部長、メル。
「報酬次第だがどんな仕事でも大抵請負うぜ?」
 同じく傭兵部、アンタレス。
「食堂プレゼンツ大宴会大会の始まりである! 並び立つは肉! 魚! しゅわしゅわ麦ジュース! ……ハッ、部の紹介!?」
 シュラスコ部。それは肉を鉄串で刺して塩を振り、炭火で焼く豪快なグルメ。肉の焼き加減や、お皿に削ぎ分ける手つきの芸術点を競う部!
 こちらはそのシュラスコ部副部長、ヴァトー。
「十三副部長。地位だけに固執している貴様に、部長の座を渡すわけにはいかない」
 シュラスコ部副部長、十三。
「部長、今日こそテメーのそのイチボ(牛のお尻のお肉)みたいな厚いツラの皮削ぎ落としてやりますよォ!」
 あめふらし部部長、ミカゲ。
 屋上から飴をバラまいては怒られるを繰り返している謎の部である。
「初めての依頼がコレだなんて誰が想像したでしょうか?」
 罪務部の国影。書類をまとめては生徒会に報告する部。
「はー…書類がいっぱい…。なんでこんなに多いのかなぁ…。先輩勝手に役職押し付けて卒業しちゃったからなぁ。はぁ、僕憂鬱」
 賢者部部長、レンジー。
 校内において聞かれたこと聞かれてないことをやたら詳しく解説しまくる部である。
「なんでも聞きに来るといいし、むしろ、わたしの方からいく。いやあ、学校っていいものだね!」
 放送部のハッピー。
 放送設備なしで屋上から急に放送する部っていうかハッピーである。
「ぴいいいいいいんんぽおおおおおおおおおおおおおおおんぱああああああああああああんぽおおおおおおおん!!!!!!!!!」
 裏暗躍部、ミーナ。
 皆の欲するいろんなアイテムを法スレスレの手段と価格で入荷販売している秘密の部。秘密の部つってんのにリストにのる暴挙。
「…や、まあぶっちゃけただのパシリ代わりだよなコレ」
 オフ会企画運営部の集と富士丸。
 なんのオフ会かはまーーーーったくわからないがきっとめちゃくちゃ楽しいイベントを企画する二人である。
「凄いぞ。他のPBWではまず無茶な設定とかも通るし、フレーバー改造の出来る部分も多い。それにビルドも奥が深くて、まさに破滅的面白さだ」
 イベントに出てきたPBW部のR.R.が豪快なダイレクトマーケティングをしていた。
 そしてこちらは現代視覚文化研究会部長、春樹。
 イベントに向けて薄い本作ったりアニメ見たりするちょー活発な部である。部?
「ホモの嫌いな男子なんていません!!」
 茶道部部員、平助。
 工芸茶をせっせと淹れる可愛らしい部員である。
「お湯を入れたポットの中で花を開く様はまさに芸術。もし興味を持ってくれる人がいたら、誰にでもお淹れしますニャ」
 ジビエ部部長、トカム。
「ひと狩りして食おうぜー! ジビエってのは要は、狩猟した鳥獣を美味しくいただく、狩猟から調理まで楽しむ料理の事だ」
 マッド科学部部員、ジェームズ。
「今日も今日とて神秘とかいう非科学的要素に振り回されているんだ!」
 声楽部副部長、ユゥリアリア。
 よく放送部を乗っ取ってゲリラ呪歌ライブを開くことで有名。
「本日の呪歌は、リクエストがなかったけれども『みんな目の前の人と熱い一日を過ごしたくなる』ナンバーですわー」  ドミノ部部長、アイシャ。
 体育館で終わることのないドミノを並べ続けている部。
 ただしだいたい週一で全部倒れる。
「でもめげない」
 屋上部、クロバ。
 最終下刻時間ギリギリまで屋上に忍びこみ、何をするでもなく黄昏ているだけの部である。
「今日の夕飯は何にするかな……」
 曲がり角胸キュン部、イザーク。
 『いけない!ちこくちこくー!』って呪文を唱えながら、廊下の曲がり角付近を食パンをくわえながら走る暗黒儀式をかます部である。
「僕が入ってる部活は、最先端の神秘術を扱う部活なんだ。えへん!」
 料理部、先鋒のアーネリィ。
「シチューを作ろうと思ったらお肉と野菜とミルクが無いんですよ? 会長辺りなら言いお肉くれるはずです?」
 同じく主将、カナメ。
「料理が好き、食べて貰うのが好き、『おいしい』って言ってくれるのが好き。ついでにつまみ食いも好き。悩みは体毛が入っちゃうことかな」
 料理になぜ先鋒や主将があるのかはわからないが(鉄人方式なのかな)、今日も料理をしまくる部……の和食長(鉄人式なのかな?)、ゴリョウも紹介しておこう。
「学園生の胃袋を支える学食、その一角を支えるのが料理部だ。女性陣には飾り切りの美しい繊細な懐石を……野郎どもにはドンのカツでも喰わせてろォ!」
 陸上競技部、アリス。
 弱きを助け、いじめっ子を殺……もとい、けちょんけちょん……いや、話し合いで解決しようとするアリスの所属する……ようは普通の陸上部である。
 続いて科学部。非常勤顧問ラルフ。
 科学で何してのかっていえば。
「ワタシ ロボット。学園 コワス ラーシア ヤク。エルフ ヤク! ピーガガー! アトミック テキナ サムシングデ スベテ ハカイ!」
 この非常勤顧問をけしかけたり暴走をとめたりするのが活動である。
 当て身投げ道部主将、虚之香。
 当て身からの打撃や投げ技で点数を競う武道だ。 「当て身投げ道部、新入部員大歓迎中だよ! キミ、素質あるね!一緒に極めてみないか!」
 食玩部大佐、ブリキンド大佐。
「第29回『玩具に会うお菓子探究会議』、某が選んだのはショコライモ。甘い味にイモの食感がおいしいお菓子である。ほかの参加者である中尉が持ってきたお菓子は――」
 寿司ポエム部、リーンハルト。
 寿司を握ってはポエムを詠む謎の部。
「恋は中トロ。舌の上でとろけるように儚く、甘さを残して消えてくの★」
 害獣駆除部、ロク。
「ここはね、学園内に殖えすぎ蔓延るロバを片っ端から駆除していく部なんだよ!あっ、ロバだ! はやく駆除して食べないと!」
 あと今この瞬間に学園外の人類はロバやロバロボによって滅びかけてるって設定が生えたけど気にせず先に行くよ。
 ロック研究会、クローネ。
 陰キャのクローネがステージへ突如フェンダーを持って現われる、隠れ部。
「…じゃあ……聞いて下さい…NumberGirlで透明少女」  ベリーダンス部部長、カリーナ。
「喜び勇んでせっかく作った部活も、去年は結局あたし一人だけ。……踊って注目を集めて、勧誘よ!」
 魔砲部副部長、愛。
「私達魔砲部では、一緒に魔砲を撃って撃たれる部員を募集しています。ご存知の通り、魔砲は体力と知力を同時に駆使する、新時代のエクストリームスポーツです。初心者も大歓迎、貸しZAPもあります。まずは見学から!」  魔女部(トラディッショナル)部員、クラウジア。
 伝統的なウィッチクラフトの復権を掲げる部。
「あなたも大釜で薬を煮て、箒と黒猫とカエルと一緒に世の真理を探求しませんか? 答えはハイかYESでどうぞ、なのじゃ!」
 祭り部、フェスタ!
 学園内の汎ゆる行事から学生同士の喧嘩に至るまでを(無駄に)盛り上げ、時には火に油を注ぐ事を生業とする(傍迷惑な)部である!
「みんなの幸せを盛り上げるよ!」
 ごはんをおいしく食べるの部、名誉おさかなさんことよろず。
「よろずさんは賢いおさかなさんなので、なんでもおいしく食べることができます。甘いにおいに誘われたなんだか人の言葉を話すいきものを食べ歩きしちゃいます」
 サッカー部、葵。
 部長の座をねらって部長をヤろうとしている二年のエース葵が名物。そんな普通のサッカー部である。普通の?
 ヤンキー部部長、リュカシス。
「問題集は全て答えを写しますし、給食は一足早く奪還しますし、こっそりロッカーで馬も飼います。めちゃくちゃ悪です!」
 献血部、サイモン。
 人をつかまえては献血を求める部。何に使うんだろうこの血。
「今PPP型の血液が不足してるんだ、ちょいと献血協力してくれねぇか?」
 そしてメイド部部長、アルム。
 メイドが活動内容! だよ!
「一に奉仕、二に奉仕。三、四も奉仕で五も奉仕。奉仕活動こそが我が部のモットー。お困りであればいつでもお声がけ下さいませ。荒事からお茶くみまでワタクシ共にどうぞお任せヲ」  同じく部員、ヘルモルト。
「汚物は消毒しましょうね」
 近いところでバトラー&メイド部、彼者誰。
「まずは新入生をご主人様に見立ててご接待します。迎えに行くところから始めましょう」
 紅茶愛好会会長、ラァト。
「私は私らしく。そう即ち紅茶だ。紅茶である。皆さんに紅茶を淹れて差し上げるのだ! 麦茶だの珈琲だのなんかには、絶対負けない!」  レジスタンス勧誘員、ヴァレーリヤ。
 学園に反抗する部活である。……部活?
「私達が目指す平等とは何か、ですって?良い質問ね。全然分からないわ。私達は雰囲気でレジスタンスをやっているの」
 肉まん蒸し器部部長、密使。
「来る季節に向けて、調節と磨きを忘れぬ部! 貸出期間は、それこそ購買部の横で取引をしている。美味しさは保証する。全ては美味しい肉まんのために!!」
 チア部、ミルヴィ。
 個人的な応援をしまくるひとりだけの部。イーリンの不幸な人生を応援したり、ラルフの破壊をもくろんだりする。
「タカミチをチア部として応援したりセンパイを応援するよー! 昨日部室から焼け出されたけど応援するよー! クソおやぢは自爆スイッチ押すよー!」
 こんな……みんなどっかがどうかしている部が、PPP学園のたのしい部活動である。
「真先輩!お久しぶりです!孤月です! 旅から帰ってきてたんですねっ!会いたかったですぅっ!!」
 可愛いもの綺麗なものが好きで同好者と女子より女子力が高いトークをしたい!! ……と考える真。早速オリエンテーション中に孤月の突撃を受けもくろみが頓挫していた。
「そうだ!聞いてください!先輩!私、念願の【射撃部】に入ったんですよ!真先輩に説得の仕方を相談にのって貰ったお陰です!」
「う、うん……」
 余談だが、普段はカウンセラーのジルーシャが真との女子トーク相手になっているらしい。
 一方で柔道部のカレンとシュテルン。
 乱取り稽古をしている最中に少女漫画みたいな押し倒し方をしたらしく。
「こ、これは!違うの…っ!」
「ただ道着を直そうとしただけだのぅ。やましい事は何もないのじゃ」
 と言った具合に風紀委員に弁明していた。
 だがオリエンテーションは構わず続く。
 学園を彩る係、ステファン。
 学園中をグラフティしていくクールなやつら(一人)だ!
「難しいことはわからない!とりあえず描こう!」
 料理部(別名「ポイズンクッキング部」)部長、由奈。
 謎の物体Xを生み出し続けるせいで料理部と明確に区別される部だ!
「お兄ちゃん……今日もお弁当できたよ……!」
 狐部部長、タマモ。
 今日も今日とて狐火で道行くものを驚かし、びっくりする様を見るのが主な活動である。
「妾とて狐、油揚げをくれるというのならもふもふの尻尾を触らせてやってもいいのじゃ」
 釣り部、フロウ。
 毎日平和に吊りをする、そんな部活。
「――今日も良い釣り日和です」  甘味&チアリーディング部、ミルキィ。
「今日も元気にジャンピングチアをしながら甘味と鉄アレイを投げまくってがんばる生徒を応援しちゃうぞ♪」
 サボテン愛好会会長、ラクリマ。
「サボテンを愛し愛された男ーその名もーラクリマ・イース!!! 友達はサボテン! 恋人はサボテンイエァアアアアアア!!!!!」
 異端審拳部主将、ジョセフ。
 禁じ手無し、ルール無用、無法にして秩序のマーシャルアーツ異端審拳。対戦相手を異端者と呼称する等の特徴を持つ。
「感謝をこめて――いただきます!」
 帰宅部会計係、イリスター。
 帰宅部になぜ会計があるのか誰も知らないし帰宅部が普通に部活に登録されてる理由も誰も知らない。
 伝説の木の下部、文。
「うちはその木の精なん。カップル未満の男女男男女女非生物精神体が結ばれるのを見るのが何よりの楽しみなんよ……」  『LOVE(ラ部)』部長、ナーガ。
 強そうな人を見つけてはアイを確かめに勝負を挑むやべーやつ。アイは壊すこと、殺すこと!
「アイしてあげるね……!」
 キャバクラ部主将、礼拝。
 全国大会出場経験もあるイキのいい体育会系の部だ。キャバラクが!?
「まずは同伴の素振りから! Pキャバ―ッ!ファイッ!オーッ!」
 エルフ部副部長シクリッド。
「競技AP充填で全国大会に挑むッス! 概念に昇華したラーシア先輩のためにも全国を目指し、森焼かれの修行をするッス!」
 ブラックヒストリー記録会、四音。
「かくもこの世は物語に満ちております。中でも思春期の少年少女の紡ぐ物語は格別なもの。私はただ、それを記録して残しておきたいだけなのです」
 学園警備部部長、ユー。
 学園を警備する美少女ユーによる部である。
「秩序を守るには力が必要。改造した義手で鉄拳制裁っ」

 とまあこんな具合にトンチキな部活が山ほどある学園生活を、君もエンジョイしよう!

●購買ダッシュは学園モノの基本
 校舎裏。リジアはLumiliaを待っていた。
 Sっけ強めのお嬢様と評判のLumiliaがやってくると……。
(此度の為に色々頑張ってきたのだ……爆発だろうが何が起ころうが成し遂げる)
(さて、どんなことを考えているのやら)
 見つめ合う二人。
 どちらからともなく口を開いた、その瞬間。
「メロンパアアアアアアアアアアアアアアアアン!!」
 アネモネのお言葉(命令)でベルナルドは購買めがけてダッシュしていた。
 校舎裏を駆け抜け購買のある小屋へと大量の生徒たちが走って行く。たまに飛んでいく。
 そして一方の購買部。
 スマホのガチャを回しながらパンを売るアルク。
 アクセルはスッとだしたパンをひっつかみ、高速ターンで帰って行く。
「エディ兄貴ー! 焼きそばパン買えたよー!」
「おぅらぁぁああ!! 学園生活で大切なもんはなんだぁ? そうだっ! 青春を楽しむために必要な健康な身体を維持することさっ! そう、だから、豆腐をお食べ……!」
 購買部の豆腐ちゃん(Silk)が豆腐を押し売りしてくるのを、エルがひからびたパンと一緒にスッと持って行く。
 そんな光景をよそに、ノースポール先生がお弁当箱を広げていた。横に並んでパンをかじるルチアーノ。
「先生彼氏はいるの? いないなら、僕が卒業したら先生の隣の席を予約してもいい?」
「か、彼氏はいないけど……えぇ!? もうっ、先生をからかわないの!」
 とか。どんなに背景がカオスでもアバンチュールができるのがPPP学園のすげえところである。
 このくらいすげえので、けが人やサボり魔ちゃんも相当数いるものである。

●保健室はいつも満員
「蜻蛉先生、きいてよ! 今日ね、すっごくいやなヤツにあったの!」
「あらまぁ、それはそれは…でも、サティ楽しそうやね」
 PPP学園第一保健室。サンティールは保険医の蜻蛉と昼食を共にしていた。
 保健室の前を横切るウィリアム。自分の話をしているとはつゆしらず、通り過ぎていく。
 でもその時は気付かなかった。サティがどれだけ、ウィリアムの心を揺さぶる存在になるかを……。
「なんだか、これからの一年は忙しいものになりそうだ――」

 なんていう夏のアニメ映画みたいな日常が、PPP学園の保健室では毎日繰り広げられている。
 かと思えば第二保健室ではニエルがひどい怪我をおってベッドに寝ていた。
「多分もう動けるんじゃないかな……? 私みたいに」
 はかなげな表情で言うアレクシア。
 隣のベッドの住人だ。そう、住人。
「入学初日に倒れて保健室に運ばれて以来、保健室から出られなくなったんだ。そっちもそんなケースかな?」
「わからない……」
「失礼します! イザベラ先生! 階段から転げ落ちて腕がもげました!」
 史之が(実はセルフで)もげた腕を抱えて保健室に突入してきた。
 えっちいビデオか漫画でしか見ないような格好をした保険医イザベラ女王陛下(女王陛下はあだ名)に一週間面倒を見て貰うためである。
「腕もげですか。あるあるですね」
 珠緒が首からさげたバケツにマーライオンみたく吐血しながらにっこり笑った。
「そのくらいの重傷なら七日もあれば直るのです」
「だからってそんな量の吐血はどうなの。というか、本当に身体から出てるの? 質量が確実に人体を超えてると思うんだけど……」
 保健委員の蛍が真っ赤な床をモップがけしながらため息をついた。

 そして第三保健室。
 クラリーチェがベッドでネコと戯れていた。
 保健室にネコがいることくらいでもう誰も驚かない。
 保健委員のエイド星人が八の字サインで謎のオーラとか出してる時点でもうネコとかどうでもいい。
「ここにはサボり魔しかいないのか」
「え?ええ身体が弱いのは本当ですよ? 疑うなんて悪い子ですねぇ」
「う……また胃が」
 同じく保健委員のルーカンが胃薬を取り出して青い顔をしていた。
 突然だが彼には27人の兄弟がいて恐らく全員登場している。それはもうあっちこっちにいるので探してみよう!

 はい第四保健室。ちなみに第十二保健室まである。もうそれ病棟じゃん。
「ここは通信教育で会得した看護神拳を使うとき! アータタタタタタタ!アタァ!」
 ジョージが不穏な拳法でけが人を直しているかたわら……
「抵抗は無意味だ、大人しく治療を受けてもらおう。あくまで逃走か闘争の意志があるなら鎮圧後に治療だ。……覚悟しろ」
 アクセルがまたぞろ不穏な治療行為に勤しんでいる。
 そこへやってくる、年の事をいったら容赦なく近術を死なない程度に入れてくる保健委員、遥音。前置き長っ。
「年の事は禁句だぞ!」
 と、どちゃどちゃにエロい保険医の綾女。ちなみに正式には養護教諭ってゆーらしよ。
「さて、相談にのるわよ。性的な意味でも」
 照明委員会の化霊断が上からピンクのライトを照らせばもうそこはアダルトワールド。
「その名の通り学内の担当の部屋を明るく照らすのが私どもの活動。尊敬してくれても良いのだよ!」
「外で食べちゃダメですよぉ。怒られちゃいますから。ナイショ、ネ?」  そしてそっとやってきてはお菓子をくれる保健室の嘴先生。
 いつも誰か死にかけてるPPP学園では、こんな先生たちが支えています。

●飼育委員はもはや動物園
「オサシミー、ごはんなのです」
 飼育ゲージのなかでみーみーいってるオサシミたちに酢飯をあげるミミ。
「いやぁ平和が一番なのです。カオスは御免なのですよ」
 この光景が一番カオスだけど確かに平和である。
 隣のウサギ小屋ではコゼットとブーケが……エサをもらっていた。
「プライバシーがほぼないのが難点ですが、割と快適です。いきものを育てるのは、情操教育にいいらしいです。養え」
「ようわからんなあ。あ、でも飼育委員の子ぉに手ずからニンジンやキャベツ食べさせてもろうて極楽ですわあ」
 カオス!
 ノアはそんな子らににんじんをあげつつ……。
「ロバが減ってる……減るなら骨を残しておいてくれればネクロマンシーに使えるのに……」
 とか更にカオスなことを呟いていた。
 で、そのまた隣のゲージではアンジュがエンジェルいわしに餌をやっていた。
「かわいくない?いわしたちは30センチ高度で飛ぶから他の動物みたいに踏んづけたりする心配ないし……」
 とかいいつつスカートの中を覗くエンジェルいわしを無言で踏んだりしている。
 かと思えば、池では潮ザメとポチザメがすいすい泳いでいた。
 サメくらいで驚いちゃあいけないなボーイ。その隣ではたい焼きベークくんがサメに食われないように必死に泳ぎまくっているじゃあないか。そこへ飼育係がえーいと生肉とあんこを投げ込む日々。
 もはや動物園だが、これもまた、日常。

●クラスメイトはやべーやつ、その2!
 教育実習生グレイル。
「…教育実習として来たのはいいけど…生徒の皆や先生までも…個性的過ぎて…この先やっていけるか不安だよ…」
 魔道書みたいな出席簿を手に、がらりと教室の扉を開けた。
 さあ、イカれたクラスメイトを紹介するぜ!
 出席番号一番、ブライト。
 イカれたメンバーとかいいつつ唯一まともオブまとも。真面目な生徒である。
 二番、夏子。
「僕ぁ女の子と思い出に残る青春の灯火をそこかしこにわんさか灯してぇのよ!打ち上げ花火ならぬ灯火をぉ!」
 という具合にテンションがどうかしてる生徒である。
 三番、ノゥカ。
 牛で登校する幽霊。毎日出席しているがなぜか欠席扱いになってるし机には花瓶がのっている。
 四番、アントニオ。
 寺生まれで肉好き。いき○りステーキで買い食いする姿が有名。
 五番、ニーナ。
 幻想アイドル すぴかちゃんのファンというかストーカー予備軍。
「すぴかちゃーん!LOVE!!今日も元気にすぴすぴかっ☆」
 六番、貴道。
 拳でミサイル落とせるJKボクサー。
「何故だかスコルピオの腹に拳で風穴を空けないといけない気がしてる……してくる!」
 七番、ノリア。
 毎週調理部や闇市ガチャ部や購買部に捕獲されては築地で競売にかけられている。
 そろそろ気づいたと思うが出席番号は生まれた順でも名前順でもない。『ヤベーやつ順』である。
 こっからボルテージあげてくぞ。
 八番、Va-11。
 子供が三百人いる既婚者。愛称は脚立。なぜ……。
 九番、Aldbaran。
 カルト系学内集団《黄の姉妹団》の信仰対象。愛称は邪神先輩。
「ところで触手とか宗教とかは興味無いかい?もし興味があれば是非声をかけてくれよ。――否、貴様が我を信仰することは既に定められた」
 十番、ルル家。
 スペースポリスニ○ジャスレイヤー。
 ニンジャを殺すサツバツ系ニンジャ。けどニンジャがいないのでその辺の生徒をアンブッシュしてまわっている。ナムアミダブツ。
 十一番、絵里。
 フレンドを統べし者。エアお友達を作り続けて幾年月。友達百人できたのですと虚空を見ては誰かと会話してるヤベーやつ。そのことに触れるとこうだ。
「さあ、あなたも私のお友達にしてやるのです!」
 十二番、ゴッド。
「諸君!スクゥールライフをエンジョイしているか!  ゴッドはエンジョイ&ファンだ!
 ゴッドは今世を忍ぶ仮のゴッドとして  ゴッドスチューデントしている!
 ユー達に焼きそばパンを授けようぞ!」
 十三番、リュグナー。
 伝説の留年生。
「クハハハハ!新入生の貴様――ぱんつは好きか? 園の歴史や秘密、一人でお弁当食べるポイントを教えてやっても構わぬただし……我とズッ友になればだがな!」  十四番、華鈴。
 永久名誉学園生。何時から居たのか、何時まで居るのか。気が付いた時には既に学園生だった。らしい。
「わらわを知らぬとは、さては汝、モグリじゃな?」  十五番、幻。
 学園のマスコット『Rakusenパンダ』。毎日歌って踊ってる。
「ラ、ラ、ラ、Rakusen Point貯まりやすくて、ナンバーワン~!
 Rakusen Point ワンダフル~!  貯まる、使える、Rakusen Point!」
 十六番、ビーナス。
 PPP学園が誇る最終決戦用秘密破壊兵器怪獣。週一で電車に突っ込まれてるし爆発してる。
「わーい!みんなー悪い事しちゃメッ!なんだよー!食べちゃうぞー!」  十七番、氷雨。
 ラーシア・フェリル(概念)。
 奴は概念と同化した。
 こんなヤベーやつらの集まる教室。窓から外を見ると……。
(校庭広い。楽しい。思いっきり走れる)
 アルペストゥス(犬といいはる犬じゃないやつ)が校庭に侵入。急にテンションをあげる生徒たち。
 かと思えば米造と篤も校庭に飛び込んで走り回り、教師たちは網片手にお帰り願うはめになるのだ!

 この辺りで教師陣にふれてみよう。
 ルアナは職員室へと小走りに向かっていく。
(おじさまと一緒に暮らしてるのは二人だけの秘密。…秘密っていつかばれるものだよね? 教師と生徒の禁断の愛きゃーきゃー!!!)
 とか想いながら扉を開けると、明らかにやべー魔教師と共に、グレイシアがコーヒーを飲んでいた。
(一緒に住んでいるわけではないのだが……)
 ルアナの様子と漏れてる脳内発現を読み取って不安な顔をするグレイシア。
 横で美術教師のレオナルドが教科書を見て難しい顔をした。
「この画は模造品だね。うちにある本物と違いがありすぎる……」
 そのまた横では狂信者系倫理教師ヴェルフェゴアがこれまでの教科書をスーパーシュレッダーにかけてかわりにイーゼラー教教典をどすどす積んでいる。
「これからの授業はこの教科書をもとに授業をしますわ」
 とかやっていると化学教師(?)のシウが鍋におかしなモン入れてやってきた。
 ゲテモノ喰わせて相手を観察するのが趣味というか日課の教師である。
 こんな教師たちが支えるPPP学園を、よろしくな!

●学園七不思議!
「みんな~、七不思議部のレストおばさんよ~」
 レストきゅう十七歳が女子高生制服でバスガイドさんみたいな旗をふった。
「今日は皆と一緒に、学園の七不思議を見ていくわね~」
 はい早速やってきました人形委員会。
「人形委員長は学園中の人形や像を束ねる大事な役職よ。理科室の人体模型、校庭のニノキン像、美術室の彫像、家庭科室のぬいぐるみたちが学園を練り歩きパトロールするわ」
 その委員長こそが――このはぐるま姫である!
 おいいきなり七不思議が五つくらい出たぞ。
「そして我は全長百メートルの銅像ガーグムドである」
 いきなり不思議で済まされねえ六つ目が出たぞ。
「有事の際(週一)に動き出すのだ!」
 はい続きましては2階北側女子トイレ奥から二番目の個室をノックするとヌッと出てくる成人男性ルフナである。
「トイレの精だと思うよ。まって通報しないで。なぜいるのかとか僕にもわからないんだから」
「ボクも、もともと噂になるつもりはなくて、人の波に押されるまま登校したらちがう校舎についちゃっただけなのですけど」
 といって隣の個室トイレから顔を出す幽霊さんのナキ。
 なんなのこの女子トイレ男しかいねえな。
 あと七不思議もうすでに八つ目だな。
「そして私が学園77不思議のひとつ、桜の咲く時期にのみ目撃されるという桜の精です」
 といって窓をガラッてあけてくる蜜姫。
 増えたな!!!!!
「怪我をするとぺろぺろして治します」
 えろいな!!!!!
 はいそして本日最後に見る七不思議がこちら。
「きゅーあは校歌だよ!!!!!!!!!」
 Q.U.U.A.が毎週体育館に現われては字幕と音響を担当していた。生身で。
 もう不思議じゃないじゃん! 設備じゃん!

●不良最強決定戦
 PPP学園に荒ぶる風が吹き抜ける。
 戦乱の風である。
 テッペンをめざし番長の座を奪い合うべく、今日も荒くれ者が校舎裏に集う。
「番長の座は譲れんのう」  喧嘩じゃまけない文。広島弁で喋ること以外強そうな要素がなく大体開始三分で池に沈む。
「ゲハハハッ! この学園を牛耳ってやるぜえ! 札束風呂で女をはべらすぜえ!」
 この山賊部最強のグドルフ。教室や部室に乗り込んでは略奪をして去るというのが主な活動。誰が認めたんだその部活。
「こんだけ混沌としてるなら、服装くらい見逃してくれたっていいのにねぇ?」  元ヤンのアカネ。今は更正しているが姉御っぽさから不本意にも番長決定戦に巻き込まれる女。
「喧嘩と祭りは学園の華ってな! 強そうな奴に喧嘩を吹っかけて楽しむ毎日だ!」
 喧嘩好きのアーサー。オラもっと強えやつと戦いてえとばかりに挑んではボコられのエブリデイ。
「おうあんたらかい、ここらでスジ通してない半端者ってのは」
 女番長のアーバレスタ。
 猛々しい学ランと学帽を被った正しく番長、好きなことは喧嘩、嫌いなものは軟弱。
「……」
 学園のアウトロー。派閥無所属。はぐれ巨乳純情派の焔珠
 困ったことがあるとすぐ魔砲をぶっ放す。魔砲部からの勧誘も熱い。
「くぉらぁ学園の小魚共ォ! 寝ぼけた面してんじゃないよオラぁー!」
 スケバンの姫喬。
 『カップル共はちゃんとイチャつけ! DT共は女捕まえっかカップル爆破しとけ!』が心情のスケバン。スケバンなのかそれは?
「購買で負けた事はねぇし朝のゴミ拾いも1番多く拾える。今日もヤンキーな1日を過ごしてるぜ」
 超ヤンキー、プラック。
 本人はすげーヤンキーつってんでマジよろしくっすマジ。
 さあ、今日もバトルが始まるぜ。
 そして保健室が今日も満員になるぜ!

●家から出たらそこは戦場
「私、イリス、小学校○年生!」
 とか言いながらパンを加えて家の窓からクロスアームで飛び出してくるイリス。
「急がないと遅刻しちゃう~~」
 隣の家のリリーは学校を辞めてお布団の民になっている。
 そんな光景を横目に、曲がり角へと走り出す。
「遅刻遅刻ー!」
 一方で学園農業科のライ。今日もパンにご飯をのっけたものを加えて学園にダッシュ。
 さあ曲がり角が近づくぜ。
 ここまできたらそう、お約束だね!
「「セッ!」」
 十字路で激突する男女(?)。
 パンを加えたイリスとご飯を加えたライと鉄板をくわえたマテリアと懐紙をくわえたシキが激突。
 激突の瞬間にシキは刀を抜いた。
「…今時パン咥えダッシュは古いです。武器の携帯は混沌のトレンド」 「うー遅刻遅刻」
 そこへ飛び込むために学園へ急ぐ痴女みたいな格好した女はダークネス。
 服装にふれると『パンツははいてない』と強めに主張してくる女学生だ。
「いっけなーい遅刻遅刻☆」
 更にショルダータックルの構えで突っ込んでくるキド美(キドー)。
 こいつにぶつかったら所持金が半分になるゾ。何それ強制イベントかなにか?
「いっけなーい、遅刻遅刻!」
 とかいいながらおにぎり加えて小走りに曲がり角にさしかかったてふが、ぴたりと足を止めた。
 そう、ここは魔の曲がり角。
 パン咥えダッシュをより斬新にやった奴が勝ちみたいな大喜利が毎日行なわれ時には死にかける交差点なのだ。
 普通に登校した方がマシだ……。
 てふはそう察し、おにぎりを手に取った。
 だが忘れていた。
 この学園生徒たちが登校時に起こすカオスは、曲がり角だけに留まらないことを。
「おっはよー!」
 後ろから肩を叩いてくるシグルーン。幼なじみみキャラみたいな登場をしたがこれを彼女は全員にやる。初対面でもやる。
 そう、彼女は幼なじみという概念となりかけているのだ。
「ふふ、入学式だからって早く来すぎたから、寝てたらこれだよ。新入生に笑われちゃうな。でも、もしかしたら有り得たかもしれないね、女の子の俺」
 めっちゃキラキラしながら現われる星の王子様コルク。別名星の王子様。
「まぁいいさ。僕ァただ、この日向ぼっこに最適な場所がお気に入りなだけなんだ。どんな乱入者がいようと、シエスタ、シエスタ」
 朝からでも構わず屋上のあのなんか出入り口の上ンとこで手ェ組んで寝てるランベール。別名屋上の王子様。
「美しく!華やかに!煌めいて!美しさなら僕に任せたまえ!」
 時と場所にかまわずどこでもキラキラしている学園のプリンスことクリスティアン。別名王子(プリンス)。
 彼らは知っている。今日が次なる新入生たちの入学式だということを。
 この季節感がどうかしちゃってる日常モノが知らず知らずのうちに一年回っていたことを。
「入学式、か」
 行人。学内で暗躍するヴィジランテ。彼は旧校舎のヒミツボックスから手紙を取り出し、窓の外を見た。
 校舎裏ではラスボス系先輩ムスティスラーフが子犬系後輩のジャコビニ君といちゃついている。
 掃除当番のセルウスは廊下をはきながら同じように窓の外を見上げた。
「あ、もうこんな時間ですか。日課のゴミを燃やして参りますね」
 無口な異国の美少女留学生、フィーアも一緒に掃除をしながら窓の外を見上げた。
 入学式。それは新たなカオスの幕開け。
「ん~?ニコくんと付き合ってるのか?そんなことないなの!なんかよく勘違いされるよね~?」 「『ねー!マスターと葉月ちゃんは、ただ仲良しなだけなんだよ!』って、ナッツが…」  付き合ってそうで付き合ってないと評判のニコ&葉月も、会話の流れで窓の外を見た。
「ああ愛しいお方ガブリエルお姉様……今日はクッキーを焼いてきましたの」
 愛しのお姉様(?)の家に押しか――訪問するリアもまた、ふと空を見上げる。
 入学式。それは新たな混沌の幕開け。
 裏でなんかのエージェントとしてなにかと戦っているというシルフォイデアや、運命の王子様との出会い(多分さっきでた三人)を夢見るときめきのヒロインシャルレィスも、小等部にずっといる妖怪的後輩こと閠も、みな一様に窓の外を見た。
 こういう時って大体何かのエンディングが近づいているもの。
 合唱部のエリシアが七色に光りながら音楽室で歌声をあげる。
 ざん、と校門に、新入生たちが立った。

●新たな幕開けってやつだ
 新入生の沙愛那が、突如校門に立って謎のポーズをとった。
「学園に蔓延る悪をマジ★狩るパワーでサクッと断頭! 大丈夫!慣れれば干し首も痛くないよ★」
 その様子に軽引きしつつも無視できない、同じく新入生の卵丸。
「なにもの何だろう、あの子……」
 このときめきなんだろうもしやこれが恋。
「君はアレを知ってまだ笑っていられるかな? 君が無事卒業できることを祈っているよ」
 そこへなんか急に意味深なことを言う、けど実は何も知らない新入生のどら。
「まだ見つからない……因縁の相手……」
 因縁の相手(誰だろう)を追って学園に入学したという桐椿。
 そんな彼らに早速絡んでいく先輩たち。
「今からわたしのことはお姉ちゃんって呼ぶと言いある。龍姉ちゃんとかでもOKあるよ?え?姉じゃない??全く何を言い出すあるか…わたしは貴方のお姉ちゃんあるよ??忘れてしまったあるか?」
 怖えからみをする万人の姉、龍。
 だがそんな平穏はすぐに崩れ去る。
 事務員室で缶ビールを大量にあけるオクトのおじさんが、『今年も来たか。くかかっ』と言って新たなビールを開けた。
 ちゃぶ台を挟んだ向かいでは用務員のリンアーブルが、茶をすすっている。24兄弟を探してた君、ここがゴールだぞ。
 一方で学園まえの駄菓子屋では新聞紙を広げた十夜おじさんがちらりと空を見た。
 今日の日替わりランチ『負けた学生を焼いて食うバトルロワイヤル定食』の準備に勤しんでいた学食おばちゃんことエリカもまた、空を見上げる。
 彼らが見たもの……それは……。

「母から目指すならば頂点を目指すべきですと教育されています! 頂点とは? 学園理事長に決まってるじゃないですか! そして学園を倒すには? そう!」
 天空を指さす召喚新入生夕。
「学園には学園をぶつけんだよ!」
 空から降ってきた逆さPPP学園。
「ついにこの時が来てしまったようじゃな。妾がこの学園に入学したのも全てはこの時の為! ファイナルPPP承認! 最終決戦用格闘戦闘ロボ、アカツキに変形合体じゃ!」
 校舎のどっかをぽちっとしたアカツキがジェット噴射で垂直発射。でもってあちこちのあれこれと変形合体。
「不良学生とは仮の姿……アタシの正体は、魔法少女トシマ★デスガのトシマブラックさ」
 とかいってヨランダがジェット噴射で垂直発射しあとは流れて――ってまって相方(オーガスト)どこいったの。
「わたくしは悠子、朽ちぬ華。この学園にて、乙女の道を修めさせていただいているものです。往きましょう、葵子さま」
 ちょっと別の学園の人っぽい悠子が謎の力で垂直発射し――まって葵子さまもどこいったの。
「汚れを知らない心身を包むのは、1000GOLDの制服。  残りのパンドラは減らさないように、  白いロリババアは翻さないように、  ゆっくりと歩くのが、ここでのたしなみ。
 それを乱す者は死の制裁を……ここは漢女の園PPP学園!」
 スカートの裾をつまんで垂直発射されるエレオノーラ。
 なんでみんな垂直発射されるのかわかんないけど一応こいつぁ学園の危機。
 危機に乗じてトップの座を奪おうとするレジスタンス部(?)や魔王部や不良やラーシア派の人たち。
 動き出す巨像。押される自爆スイッチ。はしゃぎだす魔砲部。遊び出す実弾サバゲー部。意味深に笑ってさるセクシーアニマル部。
 ぶち切れるレオパル。キエエエと叫ぶ理事長。親衛隊にめっちゃ守られる青薔薇の君。発射されるビューティーとユリーカ。どさまぎでお腹に穴あけられるキング。
 サキュバス部は服を脱ぎ健全部と風紀委員は鉈を振り回して追いかけまわし、図書室は立てこもり保健室はフル稼働。
 パンツ部やパンツ愛好会やパンツテロリストやパンツコレクターや闇パンツ組織たちはお宝ぱんつを鞄に詰め込み購買部や闇市はカースドアイテムを鞄に詰め込む。
 ロリババアは鳴きエンジェルいわしは跳ねゴリラは歌い犬と犬系の人たちは駆け回る。
 もう途中から学園の危機とかどうでもよくなってる彼らを見て、きっと気づくだろう。
 ああなるほど、これ……日常なんやなって。

 学園が爆発四散していく。
 どこからともなく流れる校歌『トキメキ!ケイオス☆ハイスクール!』。
 さあ皆も歌おう!
 ――目を開ければそこは


<リプレイ執筆:墨筆墨汁>

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