SS詳細
凹凸コンビ、エロトラップダンジョンにいく!
登場人物一覧
見知った女が頬を腫らし紺色の日傘を手に立っている。
「フィーネ、ちゃんと二人で来たっすよ」
中野 麻衣(p3p007753)はンクルス・クー (p3p007660)を連れ、依頼主を見つめた。
「ありがとう。あたくし、貴女にお願いしたいことがあったの。あら! 素敵な人。初めまして」
フィーネはンクルスの瞳を真っすぐ見つめ、手の甲に口づけた。
「こんにちは、フィーネさん。私はンクルス・クーだよ」
「ンクルスさん、よろしくね。あたくしのことはフィーネと呼んで」
「うん」
微笑みあう。
「ンクルスさん、騙されちゃダメっす! この人は危ない人っすから自己紹介とかそんなんいいっすよ!」
警戒心マシマシの麻衣。マイペースにきょとんとするンクルス。
「酷い言い方。悲しくなってしまうわ」
フィーネは楽しそうにンクルスの肩を抱く。
「いやいや、一ミリも傷ついてないっすよね!」
麻衣は慌ててフィーネからンクルスを取り戻す。
「まったく、すぐそうやってフィーネは手を出すっすよ! メッっす!」
「そうね、それで殴られたもの。恋愛って大変ね」
「うん、そうかも」
共感するンクルス。
「え? フィーネの場合、自業自得っすよ」
麻衣は息を吐く。じわじわとフィーネのペースに呑まれている。嫌な予感。これは依頼内容を聞く前に断るべし。
「フィーネ、私とンクルスさんは──」
依頼を断ろうとする麻衣と、それを遮るンクルス。
「フィーネさん、依頼ってどんな内容かな?」
「え、ちょっ!」
驚く麻衣。
「そうね、まずはこの写真を見て欲しいの」
一枚の写真。覗き込むと迷路のような空間。これはまさにダンジョン。汗が落ちた。もぞもぞする麻衣。そう、所謂──
「フィーネ、ストップっす! もう、気が付いてしまったっす。依頼ってエロトラップダンジョンっすか」
「……凄いわね」
「麻衣さん、名探偵みたいだね!」
ンクルスは尊敬の眼差しをみせた。
「簡単なことっすよ、フィーネの依頼は絶対にエロっすから! それこそ、百発百中っすよ! で、悪いけど断るっす」
「あら、お宝があるのに?」
「お宝っすか?」
「ええ、闇市にすらない激レア品。まぁ、別のイレギュラーズにお願いすれ──」
「待つっす! 他の人に任せるのはあまりにも危険っすよ!」
「そう?」
猫の様に目を細める依頼人。
「そうっす!」
やる気満々の麻衣。お宝、激レア品、行かないわけにはいかない。むしろ、行かせてほしい。
「あれ、行くのかな?」
困惑するンクルス。確か、どんな依頼だったとしても、フィーネの依頼には行かないはず。
「ンクルスさん」
「フィーネさん?」
「トラップダンジョンはンクルスさんにとって良い鍛錬になるはずだけど……あまりにも危険かしら?」
その瞬間、ぴくりと身体を動かすンクルス。
「ううん、鍛錬なら頑張るよ!」
「良かった。なら、此処から入ってくれない?」
フィーネはしゃがみ、こんこんと地面を叩くと、地面がバネのように跳ね、オレンジ色の階段が見えた。
「は? 地下っすよ? え、此処、何っすか?」
「わー、綺麗なオレンジ色だね!」
「行って、あと、三十秒で閉まってしまう」
「──!?」
麻衣とンクルスは何も聞けずに階段を駆け降りていった。フィーネはひらひらと手を振り、ふっと笑った。
肌に絡み付くような闇の気配。
「とっとと最終階層に行くっすよ!」
「うん! お宝をゲットするよ。でも、エロトラップダンジョンってなにかな?」
「それはあれっすよ、モンスターやトラップではずかしくも感じちゃうってことっす!」
「はずかしく……?」
そういえば、ンクルスにはずかしいと感じる能力は付与されていない。気が付いた麻衣は、「要するに快楽堕ちっすよ」と胸を張り、「あ、さっそく、何か踏んだっす」と笑った。足元には魔法陣。目映い光に目が変になったところに、甘ったるい生クリームが顔にぶっかけられる。
「麻衣さん!」
「落ち着くっすよ、ただの生クリームっす」
ぺろぺろと顔についた生クリームを舐め、ンクルスも生クリームを口に含んでみる。
「甘い。生クリームって本当だね」
「まったく、人騒がせなトラップっす、よ……?」
眩暈。麻衣はふらつき、ンクルスにもたれかかった。この感覚には覚えしかない。そう、媚薬だ。
「やばいっす……」
一瞬の刺激が命取りになる。
(た、耐えろっすよ。まだ、一歩しか進んでいないっす)
意志とは裏腹にがくがくと震える下半身。
「麻衣さん……?」
「あひやっ!?」
耳に触れた吐息。微かな刺激に麻衣は飛び上がった。その瞬間、壁のボタンをタップした。唐突に鳴り響くサイレン。視界に蠢く緑。
【触手が現れた!】
「──ッ!?」
足元からツブツブの触手が噴出する。咄嗟に身を捻るンクルス。だが、呆気なく捕まってしまう。勿論、麻衣は避けることすら出来なかった。蠢き、溶けだしていく。
「あっ、あっ……! ツブツブが当たってるっす!」
悶え、麻衣は叫んでいる。
「ええと? なんだか粘着いている……?」
ヌルヌルと身体を這いまわる触手。だが、一体、何が起きているのだろうか。ンクルスは理解出来ない。太い触手は傲慢に服の中を潜り、執拗に動き回っている。
「んあっ……?」
その度に短く声を漏らすンクルス。無意識に身体が反応してしまう。
(どうしてかな、身体が変な感じなんだよね)
「そ、そこは駄目っす……! あっ、あっ、んん……あふっ♡!」
麻衣は涎を垂れ流し、指先をきゅっとさせた。
「麻衣さん!」
ンクルスは何度も麻衣の名を呼ぶが、麻衣は聞こえていないようだ。
「あっ!」
ハッとする。触手が這い、麻衣の口内を乱暴にかき混ぜ始めた。目を見開く麻衣。
「ああ、ああッ!!!! だ、駄目っす……♡ これ以上……奥には入らないっすよおおおおッーーー♡! んおおおっほっ♡」
太い触手が喉の奥に伸び、触手の束は麻衣の服の間を這いまわる。
「おっ! お゛~~~~~~~~♡」
地下に響き渡る麻衣の絶叫と触手の動きに顔を赤くし、困惑するンクルス。
どうにか──触手から逃れ、麻衣とンクルスはのろのろと歩いている。
「はぁ……はぁ……」
乱れた呼吸。ぽたぽたと滴を垂らし、服はあちこち破れ、肌が露出している。
「み、見たところ、ンクルスさんはまだ、大丈夫そうっすね……」
「うん。でも、何だか変な感じで困ったかな。あ」
ンクルスはミミズのような触手をぐにゃりと踏み潰した。
「え?」
驚き、呆然とする麻衣とンクルス。気が付いた時には服が溶け──その身は成熟していた。
【麻衣とンクルスは大人になった!】
「これって……さっき踏んだ触手の影響かな?」
白濁した液体が麻衣とンクルスの身体にべっとり。
「そうだと思うっす。てか、胸が零れ落ちそうっすよ! これはより、揉みごたえがありそうっす!」
ちょうど、壁には大きな鏡。嬉しそうにポーズを決める麻衣。ンクルスは鏡を覗き込んだ。すると──
【鏡の中からもう一人の自分が現れた!】
「はへっ!? に、逃げるっすよ……これは絶対に足腰やられるやつっす」
麻衣はンクルスの腕を掴んだ。女の勘が働く。
「うん、麻衣さん、あっちに扉があるよ」
「おっ、ナイスっす」
走り出す。だが──やっぱり、逃げ切れなかった。瞬く間に手錠と首輪がはめられ、ピンクの液体を問答無用で流し込まれる。
「ん~~~~!!」
むせ、ぼんやりする麻衣とンクルス。口のなかが苦い。尚且つ、動けない。虚像達は笑い、ふにゃふにゃの麻衣とンクルスを簡単に組み敷き、高度なテクニックを魅せつける。
「あ、んっ? え?」
自分自身に触られ、初めは首を傾げていたンクルスだったが、生クリームを舐めたせいなのか、ツブツブ触手の影響なのか、はたまた、怪しい薬によってだろうか。身体が少しずつ反応し始める。
「あひっ……こんなのはじめてぇ……♡ あんっ!」
戸惑いを隠せない。
「あーーーッ♡! んおおおおおっ♡!!! そんなテクニック、知らないっすよぉぉん♡!」
麻衣は鏡の前でダブルピース。くすくすと笑う虚像。
「あっ、やっ! そのプロレス技は駄目だよ……♡! あっ、んひゃむッ!! だ、だめぇえ……身体、ムズムズしちゃうよおおおっーー♡!」
顔を歪め、快楽に目覚めるンクルス。出したこともない声を発し、身体をひくつかせる。
喘ぎ声がダンジョンを支配する。ンクルスと麻衣は壁に手をつきながら、よろよろと歩いている。触手のカーテン、ブルブルスライム。様々なトラップを経験した。
「麻衣さん、この道を右に曲がって階段を上がれば最終階層みたいだね」
はぁはぁする。
「そ、そうみたいっす……これで、お宝をゲットっすよ……」
互いの裸体を見ながら励ましあう。それなのに──
【突然、巨大なオークが現れた!】
「──んひゃい!?」
揃う声。目の前には、何もかも巨大なオークがそびえ立つ。
「あっ、そんなの無理っすよ♡」
「うん、そうだよ♡」
そう言いながら、オークから逸らせない。オークはふんと鼻を鳴らし、興奮で喘ぐ麻衣とンクルスを乱暴に抱き、長い舌を動かし始めた。
笑い声。最終階層では、みだらなダンスパーティーが開かれている。テーブルで絡み合う四肢。それを見つめるフィーネ。その手には真っ青なオレンジ。モニターにはオークに堕ち、乱れ続ける麻衣とンクルスの姿。フィーネはボリュームを上げ、オレンジに齧りついた。手首を伝う果汁。フィーネは舐め、笑う。オークにしがみつく麻衣とンクルス。その表情は恍惚そのもの。
「あっ、あっ! んんん~~~♡ 凄いっす、凄いっすよ~~~♡ あーーーんッ!」
「ああああああん、しゅき♡ もっと欲しいんだよ♡」
甘えるンクルス。とろとろにとけている。
「嗚呼、良いわね。全てをさらけ出し、いつまでも楽しんで頂戴」
フィーネはくすくすと笑う。しっかりと刻まれた快楽。ただ、どれだけ刻まれようと冒険に支障はないのだ。