PandoraPartyProject

SS詳細

熾烈な交わり

登場人物一覧

カレン=エマ=コンスタンティナ(p3p001996)
妖艶なる半妖
ンクルス・クー(p3p007660)
山吹の孫娘

●邂逅
「はじめまして。私はンクルス・クーだよ。貴方にも創造神様の加護がありますように」
「妾はカレンじゃ、よろしくのぅ」

 ――その縁は如何なものかと問われれば、偶然に出会い挨拶を交わしたという他ないのであるが。
 
「丁寧にありがとう。中々強そうだね……」
「ふむぅ……では、妾と模擬戦でもどうかのぅ?」
「それはとても良いね! 負けないよ!」

 ――持ち掛けられたその時の瞳の、その裏に隠れたおどろおどろしくも、どこか美しく。されど濁りには相違なき桃色めいた感情が見抜けていれば。

「お手柔らかにのぅ。……そうじゃ! 折角じゃ、負けた方は勝った方の言う事を聞く感じで良いかのぅ?」
「うんうん! マスク剥ぎデスマッチ的な奴だね!」
「……まぁ、そのようなものかのぅ」

 ――剥がされるのが、アレだと知っていれば頷くことも……あったのかもしれないが、まさかという戸惑いは幾許か和らいでいたのかもしれないが。
 
「確かに、負けたら何かする方が緊張感出るし、私は問題ないかな!」
「ほほほ……まぁ酷いことはせん、安心するがよいぞぅ……」

 ――後悔はいつだって先には立たない、その格言を思い知ることになるとはその時は知らずに。

●死闘
 いつか何処か、何処でもない平原――時は昼の下がり、人の寄りつかぬ平原。
 只、二つの人型の気配だけが誰もいないこの舞台のキャストか。祈るように両掌を合わす修道女めいた少女、陽光の中鮮やかにかつ清廉に――アルビノめいた白い肌と清潔な白い髪が、優しく揺れて、その中に鮮やかな真紅が真っ直ぐに目の前の存在を見つめる。
 対するは艶めかしき褐色の肌、其処には精緻な紋様が浮かび、恵まれた肢体を緩く覆う際どい切れ込みの入った真紅の装束は、伝承の妖魔のように人に非ざる魅力を醸し出していた。
 修道女めいた服装の少女、ンクルス・クー (p3p007660)に対して妖めいた存在モノカレン=エマ=コンスタンティナ (p3p001996)はダイクロイックアイを以て見つめ返すと。
「さて、妾も戦うのは好きだからのぅ、遠慮はいらんのぅ」
「それじゃ……行くよ!」
 ゴキゴキと骨鳴る音を手指から響かせて、修道服に似つかわしくない肉弾戦の構えを取るンクルス。
 それに対して優雅に、しなやかに――褐色の指先が一つ踊れば、鉄の香り仄かに踊る紅の刃が、修道服を裂きその下の肌に新たな紅を刻む。
 ある程度の距離を保ちながら放たれる、血液を操り刃と為す術法は正に接近を許さぬよう――されど、少女は、ンクルスは。
 刻み付けられた紅の条を一瞬で無かったかのように戻すと、嗾けられる血の刃の嵐を真っ向から立ち向かうように駆け抜けていく。
 修道服が破れ肌を晒すことになろうと、血の条を付けられた傍から治しては、その手を伸ばし――カレンの手首を掴むと、近くの木へと強引に叩きつける。
 細腕の何処にあるかも不明な剛力に叩きつけられ、僅かに呻くカレンをロープワークの要領で戻ってきたその瞬間――ンクルスはカレンの背後から脇に潜り込むと、そのまま腰部を捉え弓なりに後方へ叩き付ける。
 バックドロップ――王道のその技に身体に走る痛みに呻くカレンの肩を、体重をかけ押さえつける。
 カウントがいつ鳴るかは分からない。これはプロレスではない、どちらが音を上げて倒れ伏すかどうかがゴング。
 それでも熾烈な攻撃を真っ向から受け止めて、その上で乗り越え一撃を叩きつける。
 圧倒的な再生能力にモノを言わせながら、全力を味わいながらそれを乗り越え組み伏せる戦の恍惚――実に心躍るものと押さえつけられるカレンは笑う。
「――じゃが、これで終いじゃ」
「が、がぁぁっ……ぐ、ひぃっ……!」
 いつから接近戦に対応できないと思っていた――?
 神秘の魔術を以てカウントが鳴らされるまでにフォールを解き放たせば、カレンはしなやかに――まるで軽く少女同士の戯れのようにンクルスの胸へ強張らせた指先を伸ばす。それは即ち貫手の型で。
 釣り上げられた眼と、突き出された貫手が修道服の下、隠された秘宝コアを揺さぶり頑強な種の意識を掻き乱しながら、その瞳を徐々に濁らせて――。
 意識を失い崩れ落ちたンクルスの姿をそのかいなに受け止めながら、褐色のその肌に僅かに青白い色を伺わせながら、カレンは誰にともなく呟いた。
「……ふぅ、全く、実にしぶとかったのぅ。ほんに紙一重だったのぅ……」
 ――されど、それもまたここから始まる愉楽のスパイスか。

●敗者
 自分は確かに負けた。それは認めよう、認めるし何でも言うことを聞くと言ったのだから、それには従う。
 意識を取り戻したンクルスに「では妾の館で少し遊んでもらおうかのぅ」とカレンの館の、彼女の部屋まで連れ込まれた。それまでは良い……筈だが。
「……あの」
「ん? どうしたのかえ?」
「なんで、拘束されているのかな……?」
 一体全体、どうしてンクルスの身体は縛り上げられた――と言っても、足首を鎖で繋がれ、手首を縄でややきつく締め付けられている程度だが――挙句に、両腕を吊るされる形となっていた。
「ほっほっほ……」
 もしかしなくとも、拷問のつもりなのだろうか。そうした方面に全くといっていいほど知識のないンクルスの問いに、カレンは明確な答えを示さず、ただ口元に手を宛てて笑うことで返す。
「??? どういうこと……?」
「くっくっく、それはこれからのお楽しみだのぅ?」
 お楽しみって――その問いが投げられるよりも早く、ンクルスの唇が生暖かく、そして柔らかな反発に塞がれる。
 厚ぼったく、薄皮を隔てた血流の温もりと甘く濡れた質感と質感が重なり合い、淡く引っ張られる感覚には痛みや不快は覚えず、ただ甘美に頭の奥を重たく痺れさせるような……つまり。
「ぅ、んぅぅ……?」
「んーっ……♪」
 口づけ。口吻。接吻。キス。ヴェーゼ。
 表現は多々あれど、唇と唇が重なっていた。
「……んっ!」
 一体どうして――そんな抗議も許されることなく、重なり合った唇の温もりと柔らかさが甘く、疑念を溶かすようにンクルスの脳髄に染み渡る。
 吊るされた腕は抵抗を試みることも出来ず、敢て吊るさり脚のみを動かそうとすれば荒縄は手首に食い込み苦痛を齎す――それ以前に。
 艶めかしく、僅かな隙間に入り込む忍びのように、褐色の長い腕が白い脇腹を這うように絡めれば対照的な肌のこすれ合う内側から得体のしれない騒めきがンクルスの胎より微かな呻き声を漏らさせ、吐かれた吐息は唇の隙間より漏れて生暖かくカレンの頬を撫ぜる――。
 その吐息は吊るされた少女が頼りなく手を伸ばしてくるような錯覚さえ感じながら、カレンは身体を寄せていく。
 悩ましい肉付きがンクルスの肢体に張り付くように刺激を与え、抱擁と別離の繰り返しを経ながらンクルスの内側より薄靄のような何かを特に肥大させて行けば――。
 軽い痙攣が、ンクルスの身を駆け巡っていた。
「ほほほほ……! 良いのぅ、良いのぅ……!」
「はぁっ……ぁ?」
 どれほどの時を経たのだろうか。或いは、それほど時間というのは経っていないのかもしれない。
 それでも、視界に散る火花と身体に走る形容し難い緊張めいた強張りと、内腿を伝う嫌な温もりを味わう時間は永劫に等しく感じられたような気がして。
「……っ、え……?」


 ぼやけ始めた視界と鈍い熱が内側から肌の感覚を鈍麻させる中、白い肌が外気の冷ややかに晒され鈍りかけた感覚が鋭く覚まされる。
 吊るされたンクルスが気付いた時には、彼女の様相は下着のみを頼りなく着けるだけの恰好に――誰がどう考えても、修道服を手に恍惚と頬を染めるカレンの姿を見れば、彼女の手に依って剥がされたのだと分かるだろう。
 羞恥のようなものはンクルスには無い。
 されど、剥き出しになりかけたその身は、戦場で頼る術を失ってしまったかのような危機感を強く覚えさせた。
「何でもする約束よのぅ?」
「えと、それは……んぅ……!」
 今更嫌とは言わせない――躊躇いと戸惑いを掻き消し、続けられる言葉の全てを塞ぐように、カレンは柔らかく濡れた唇をンクルスのそれに吸い付かせた。
 一度重ねられたが故の僅かな慣れか、先ほどまでの躊躇いも抵抗もなく、為すがままに甘美な質感と張り付きが少女の脳髄を内側から痺れさせ。
 蛇の絡みつくように、口づけが躱されと肌と肌が甘く擦れる。
 何のことは無い、抱擁と口づけ。
 傍から見れば、少々仲の良過ぎる女性同士が戯れている程度――否、実際カレンからすればその程度に過ぎぬのだろうか。
 紅と翠のダイクロイックアイが悪戯っぽく、ンクルスの核へ狙いを定めれば。
 艶めいた宝玉の如き、絶え間なく打ち震える其処へ――悪魔の刻印を落すが如く、悪魔的な愉悦を匂わせながら官能的な唇を一つ、重ねてしまえばンクルスに齎されたのは。
「っ……!」
 激しい痙攣と、息が詰まり込み上げる“何か”に身体の内側から爆ぜて散っていってしまいそうな。
 生成され、消え去ることを知らない無尽蔵の熱量が強い酒精の酔いすらも凌ぎ、ンクルスの本能から拒絶という選択肢を奪い――未知なる感覚への戸惑いは状況の整理を彼女から奪い、吊るされながらも引き寄せられるようにカレンへと行ってしまう身体を抑えることも叶わず。
 それでも生来に備わった肉体の強さは、再生能力は精魂の尽き果てるという安寧を彼女に齎すことはなかった。
 だからこそ妖魔は嗤う。
 まだまだ目の前の獲物であり、玩具であるそれは暫しの飽きが訪れるまで十二分に楽しめるものだと――。
「実に粘り強いのぅ……流石の再生力といったところかのぅ」
 滑るその手が室内に籠る熱の証<汗>を輝かせ、下から上へ――しなやかな指先が駆け巡れば、“汗”の飛沫が煌めきを薄明りの中に際立たせた。
 その一瞬の擦れにどこか鼻にかかる声を漏らすンクルスの顎をカレンの指が掴めば、それを軽く上げて――。
「つまり、今夜は、寝かさぬのじゃ」
 ――射抜かれるように鋭い瞳に見下ろされれば、腹の奥より込み上げる熱量が更に引っ張り上げられて。
 吊るされたこの身は弱弱しく捩ることも叶わずに、ただ、ただ……伸ばされる半妖の文字通りの魔手が、その身体に絡みついて肌の甘い擦れを与えて往きながら。
 開き発たれていく秘宝種レガシーゼロの腹と喉より、高く甘やかな音色を奏でさせて往く。
 この夜を夢と称するならば、良きか悪か。
 いずれにせよ、夜はまだ、終わらない。

●約束
「……次は負けないよ!」
「いつでも大歓迎じゃて。試合も、御楽しみも……のぅ?」
 時は夜空の端に白が差し込み、光の時間がやってきたことを世界に示す。
 屋敷の扉の前にて、“次”があることを告げた少女の無垢な戦意に、姫君は眼を薄め、唇の端から真紅に濡れた舌先を僅かに覗かせた。
 見るだけで捕らわれそうな妖しい色気に、一瞬だけ瞳孔を収縮させるようにンクルスは目を見開けば、フラッシュバックする館での戯れの光景。
「……」
 下腹が甘く、くすぐったく煽られるような敗北の傷跡に白い肌を僅かに赤く染めながら、ンクルスは真っ直ぐに、微笑みを崩さぬカレンの眼を見据えた。
 目を逸らしてはいけない――逸らしても、逸らさなくとも湧き上がるこの疼きが収まらぬというのなら、せめて。
「それじゃ、また」
「気を付けてのぅ」
(次こそは――!)(さて、次は……)
 精一杯の笑顔と共に手を振りながら、屋敷を後にしていくンクルスの背に細められたカレンの眼は、隠し切れぬ濁った情動を向けて。
(絶対に、勝つよ)(どう楽しむかのぅ?)
 ――背筋に形容のし難い甘くもむず痒く、煽るような指先で撫ぜられているような錯覚を覚えながら。
 再戦と勝利への決意を新たに拳を握るンクルスと、その姿が視界より消えるまで次の趣向へ湿り気と熱を孕んだ息を漏らすカレン。
 その次があることだけは確信しながら、されど次の結末が如何になるか――背中に生暖かく触れる視線という名の掌に、屈する意志見せぬように歩を早めることなくンクルスは往く。
 やがてその背が消えて視界より消えるまで、カレンの眼差しは獲物を捕らえた毒蛇のように見つめていた――。

 ……果てさて、互いに次を約束しましたこの二人。少女は果たして敗北を雪ぎますか、はたまた妖の餌食となってしまいますのか。
 二人の行く末は……それはまた、別のお話に。

  • 熾烈な交わり完了
  • NM名表川プワゾン
  • 種別SS
  • 納品日2020年05月29日
  • ・カレン=エマ=コンスタンティナ(p3p001996
    ・ンクルス・クー(p3p007660

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