PandoraPartyProject

SS詳細

金髪ドリルお嬢様バトル 暁の頂上決戦

登場人物一覧

ビューティフル・ビューティー(p3n000015)
クソザコ美少女
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの

●暁の頂上決戦
 蟷螂拳みたく両手を鎌状にして振り上げる御天道・タント (p3p006204)。
 全く同じく両手を振り上げるビューティフル・ビューティー (p3n000015)。
 沈み行く夕日をバックに、二人は荒野でぶつかり合った。
「ほあーーーーーーーーーーーーー!!」
「ちょあーーーーーーーーーーーー!!」
 両者突撃。同時にパンチ。繰り出された拳はお互いの頬にぽにょんとぶつかり、そして同時に仰向けに倒れた。
 一体なぜ二人の金髪ドリルお嬢様が(弱すぎる)クロスカウンターを交わすことになったのか。
 その始まりは、約六時間前に遡る……!

●へいわなあぱーとぐらし
 小鳥のちゅんちゅんする平日昼間の幻想街。
 二階建てボロアパートあらため魔改造キャノンアパートの一室。
 開いた窓のカーテンレールには小さなピンチハンガーがかかり、赤くてちまっこい靴下がぶら下がっていた。
 窓の内側では、『ナスパカ』とかいうゆるキャラクッションを膝に抱いて、漫画本を開いているビューティー。
 その隣にはベッドの上でうつぶせから仰向けに寝返りながら漫画本を開くタントの姿があった。
 部屋は畳敷きで、明らかにビューティーのものではない怪しい置物や趣味のおかしいエプロンや、誰かが勝手に置いていったっぽい漫画本や小説本が若干綺麗に納められている。
 部屋が片付いているというより、そもそも物が少ないので散らからないといった小さくまとまった部屋であった。
 入り口から出てドアを見れば、それがビューティーの部屋であることが分かるだろう。
「次の巻ありますの?」
 ぱたんと漫画本を閉じて、仰向け姿勢のままのけぞり気味にビューティーを見やるタント。
「今読んでるのがそうですわー」
 ぼやっとした雰囲気で応え、ビューティーは指を挟みつつ本を閉じた。
「読みますの? 私もう読んだからいいですわよ」
「べつにいーですわー」
 タントはころころんと一周半転がってうつ伏せ姿勢になると、両肘で頬杖をつくようにして頭を上げた。
「ひまですわね」
「ですわね」
 沈黙三秒。
 その間にタントの脳内タントが三輪車をきゃりきゃり漕ぎ、その回転で豆電球をぺかーってさせた。
「そうですわ!」
 ぴょんと両足(というか踵)を上げ、タントは目を見開いた。
「わたくしとガチンコバトルをしましょう!」
「バトル。いいですわね!」
 シャッと振り返るビューティー。
 好戦的に目をキラッとやって見つめ合う二人。
 ノリで走る目線の火花。
 そして窓へよじ登ってくるしらないレフリーのおっさん。
「お嬢バトルの合意とみてよろしいですね!?」
 おっさんは両者の意気込みを強く感じ取ると、手刀を高く上げ、瓦でも割るように振り下ろした。
「――お嬢バトル、ファイト!」

●いくさがはじまる!
 幻想でも子供がめっちゃ遊んでることで有名な公園。
 キャッチボールが好き放題できそうな芝生の上……に木箱をあえて置いて、その上に立ったタントは指を鳴らした。
「ここであったが――三秒目!」

   \きらめけ!/
 ――キャッチボール中の子供たちが集まって両手をYの字に上げた。

   \ぼくらの!/
 ――ゲートボール中の老人たちが集まった両手をYの字に上げた。

 \\\タント様!///
 ――散歩中のカピブタとその飼い主たちが集まって両手をYの字にあげた。

「――が、永遠のライバルことビューティフル・ビューティーに決着をつけてさしあげますわー!」
 老人と子供たちに掲げられ、両手を広げる飛行機のポーズ(フライングファイティングファイヤーポーズ)で目とおでこキラキラを輝かせた。
 その一方で身構えるビューティーを、全員が一度に見た。
「あっ、あっ……そのっ……」
 軽く三頭身になってわたわたしたあと、頭を抱えて震えた。
「わたくしそういうのありませんわー!」
「心配ご無用ですわ!」
 両手の指を鳴らすタント。
 すると。

   \き゛ら゛め゛け゛!/
 ――ランニング中のラグビー部と肉体改造部が集合して両手をY字に振り上げた。

   \ぼ゛く゛ら゛の゛!/
 ――よくわかんない泥のモンスターみたいなやつが集合して両手(?)をY字に振り上げた。

 \\\ビ゛ューテ゛ィーち゛ゃん゛!///
 ――大量のカラスだかヤタガラスだがが集まってきて狂乱した。

「ひいいいいいいいいいいいいい!」
「なんか失敗しましたわ!?」
 慣れないことはやるもんじゃない。というかなぜできたのか。
 タントとビューティーは、そして野球少年とゲートボール老人とラグビー部と肉体改造部とカピブタとレフリーのおっさんは力を合わせて集まったモンスター的なやつをぼこすか殴って(あの沢山煙がでて手とか足とかハンマーとかが飛び出すやつで)やっつけた。
「ぜえっ……ぜえっ……と、とにかく真剣勝負の始まりですわ!」
「ひふー……へふー……ま、負けませんわよ!」
 服も髪も乱れて既にめっちゃ消耗してる二人の勝負が、今始まろうとしていた。

●それもあ○かつだね!
 何かのミュージックイントロが流れる舞台端。レフリーのおっさんがマイクを握った。
「出会い分かれて恋時雨。今日も袖は涙に濡れる。このたび歌って頂きますのは御天道タント様で――『パカダクラのうた』」
 ステージ裏から飛び出し逆手に握ったマイクを口元に、もういっぽうの腕を平行にして顔を挟むように構え両足を肩幅より広くとるなんか堂々としたポーズをとった。
 さっきのオトナ演歌みたいなイントロはなんだったのかってくらい童謡ミュージックが流れるなか、タントはマイクに向かって歌い出した。

 パカダクラのうた
 歌:たんと

 ぱっぱっぱー ぱかぱっぱー
 むぎがほしいか そらやるぞ
 みんなでいっしょに……えっなんですのその量はまってまってくださいまし一度に沢山あげられま……そうですの? ならいいですわ。
 というか顔恐っ! このパカダクラ様顔恐っ! 顔の模様がほとんどデスメタルですわよ! お母様に至ってはもっと恐っ! 羽根はえてますわ!?
 その顔で一体なにを……あっ、あー……案外大人しい子ですのねー?
 ぱーかだーくーらー。

 曲の終わりに片足立ちで大空に羽ばたくポーズをとるタント。
 審査員席に座った野球少年、ゲートボール老人、肉体改造部、カピブタ、泥妖怪の四人はそれぞれ悩んだ末……。
「7点、8点、6点、10点、5点――合計35点!
 それでは審査員に話を聞いてみましょう」
「元気があってよかったです」
「孫を思い出したのう」
「筋肉が足りない」
「ぶひー」
「歌に込められた突発的な感情がよく表わされていました。声の通りもよく舞台慣れしているのがとても好印象です。しかしながら音程の調整がいささか未熟なようですね。大きなお椀を口に当ててドレミを発音するといった練習方法で改善できると思います。今回はありがとうございました」
 拍手のうちに舞台袖に引いていくタント。
 すぐに別の、なんか昭和を思わせるポップなミュージックイントロがかかりはじめ、レフリーのおっさんは再びマイクを手に身を乗り出した。
「最近はネイルアートに凝っているらしくお店でチップを選ぶのに五時間かけけっきょく何も買わなかったそうです。次に歌って頂くのはビューティフル・ビューティーさんで『地獄海峡膝栗毛』」
 突如飛び出してくる法衣のデスメタルバンド。
 顔に白黒のメイクをしたビューティーがステージの上から逆さ吊りで現われた。

 地獄海峡膝栗毛
 歌:びゅーてぃー

 行きも帰りも正気の沙汰じゃ なけりゃ通れぬ地獄道
 ――わたくし生まれも育ちも幻想下町。貴族社会の波にもまれ流れ流れてローレット。気づけば実家も没落貴族。燃えて消えたわ実家の屋敷。父は工場で丸太を回し、母はいまごろ雲の上。父の訃報を枕にしいて、生きていくのよ地獄道。
 嗚呼 世に咲く 花も落ちるが定めなら
 せめて色つやその時だけは 目に物みせるわ地獄花

 ワイヤーが切られてどしゃっと顔から落ちるビューティー。
 審査員席で腕組みしていた野球少年、ゲートボール老人、肉体改造部、カピブタ、泥妖怪の四人はそれぞれもっかい悩んだ末……。
「5点、10点、7点、8点、5点――合計35点! おおっと同点です!
 審査員の皆さんに話を聞いてみましょう!」
「メイクこわい」
「しみるのぉ」
「まだ筋肉が足りない」
「ぶひひー」
「生きづらいこの世の中への悲哀を見事に歌い上げる情緒を感じました。途中の語りもテンポが良く舌の回る子なんだなあという印象も受けましたが、曲の入りで躓いた印象があり音程の取り方にもはやり未熟な点が見られました。回数をこなすことで改善できるポイントなので是非これからも頑張って欲しいです。今日は歌ってくれてありがとうございました」
「お嬢歌謡勝負本日はここまで、ありがとうございましたー!」

●いっぱいたべるきみがすき!
 白いクロスがかけられた長机に、二人の金髪ドリルお嬢様が座っていた。
 テーブルの端でマイクを握るレフリーのおっさん。
「食の頂上を決める世紀の対決がいよいよ始まりました。
 厳しい予選(ないけど)を勝ち抜いたのはこのお二方です」
 椅子を引き、そして椅子の上に立ちはるか未来を両手の人差し指でさすポーズをとるタント。
「大食い界のボンベイブラッド、御天道ぅぅぅぅぅぅぅぅぅタントぅ!」
 わき上がる声援。拍手。ブブゼラ。
 その一方で、同じく椅子を引いてその上に立ち、腕の力こぶ(ないけど)を誇示するポーズをとるビューティー。
「ブラックホールの胃袋、ビュヒフぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅル・ビューティーぃ!」
 再びわき上がる声援。拍手。ブブゼラ。ロバの悲鳴。
 二人はそれぞれお行儀良く席につきなおすと、首にお子様ナプキンをきゅっと結んだ。
「これからお二方には有名牧場から取り寄せたロバを一頭丸ごと食べて頂きます。先に全ての皿を食べきり、手前の完食ボタンを叩いた方が勝者となります。
 意気込みはよろしいですか?」
 二人にそれぞれマイクを向けると、タントとビューティーはこっくりと頷いた。
「いつでもよろしいですわ」
「何頭だって食べ尽くしてさしあげますわ」
「それではお嬢フードファイト――レディ……ゴゥ!」

 銀色のナイフをそっとステーキ肉の上に添え、フォークを柔らかく刺す。
 フォークの点線をなぞるようにナイフを滑らせ、ゆっくりと、そして肉がくずれないように優しく引くように切る。
 上流階級のテーブルナイフはギザギザがなく刃も丸いため、適切な手順をふまなければ正しく切ることできないという。
 しかしタントとビューティーは流れるようにナイフをさばきロバステーキを一口大に切ると、フォークで刺して口へと運んだ。
 頬張る瞬間に感じるどこかさっぱりとした肉の風味。遅れてくる油の不思議な甘みとコクに喉を鳴らせば、すぐに歯に触れる肉の熱さと柔らかさがわかるだろう。
 噛み千切るという動作はいらない。噛むだけで肉はほぐれ、あのコク深い肉汁を口いっぱいに広げてくれる。
「「んー……」」
 タントとビューティーは顔を(=ω=)みたいな顔文字にして味に浸った。
 もぐもぐ……もぐもぐ……もぐもぐ……もぐもぐ……。
 食が細いのかそれともお行儀がいいのか、たくさん噛んでゆっくりと味わっている。
「きっと二人とも幼少の頃からよく噛んで食べるようにしつけられていたのでしょう。良い家庭に育った、お行儀の良い子たちですね」
 (必要の無い)審査員席に座っていた泥妖怪ドロパックさんがマイクに向かって語り始めた。
 あと二人は一皿でお腹いっぱいになったので勝負は引き分けになった。

●おすなよ! ぜったいおすなよ!
 ピ、ピッ、ピー!
 ホイッスルの音がする。
 幻想行進曲(レガド・イルシオンが古き大戦時に採用した軍歌を庶民向けにアレンジしたもの。よくスーパーマーケットとかでかかってる)と共に元気よく足を上げ腕を振り、行進してくる二人の金髪お嬢様。
 両手を腰にあて、斜め四十五度から生き様を見せつけるポーズで眉尻を上げるタント。
 青いなんかふわふわのレースみたいなやつのついたビキニに長くリボンの刺繍がついたパレオを巻いた水着姿で、この五月末のビミョーな寒空に身をさらしていた。
 一方のビューティーは赤いレースがトップの裾に、リボンが胸元についたツーピースタイプの水着姿で同じように両手を腰に当ててシンメトリーなポーズをとっていた。
 マイクを手に大きなデジタル温度計の前に立つレフリーのおっさん。
「チキチキ! 金髪お嬢だらけの熱湯風呂対決~~~~!!」
 どんどん鳴らされる太鼓、そしてパフパフラッパ。
「はい今日はですね、お二人同時にこの熱湯風呂に入って頂きます。
 相手よりも長く入っていられた方の勝利。
 そしてなんと、入った時間だけコマーシャルタイムが設けられます。是非頑張ってくださ~い!」
 透明な熱投風呂の左右に立ち、縁に手をそえてぷるぷるしながらゆっくりつま先から入ろうとする二人。
「押したらダメですわよ?」
「絶対押したらダメですわよ?」
「「わかった!!」」
 野球少年とゲートボール老人が両サイドから豪快なタックル。
「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」」
 転落した二人は絶叫し……そしてうつぶせのままぷかーって浮いた。
 審査員席(まだある)の上で両手(?)を組む泥溶解ドロパック(35歳独身)。
「壮絶な戦いでしたね。両者とも意識を手放すギリギリまで耐えようというガッツが見えました。ありがとうございました。あと医者呼んで早く」

●そして冒頭に戻る
「ほあーーーーーーーーーーーーー!!」
「ちょあーーーーーーーーーーーー!!」
 ぺにょんとお互いの頬にめり込む拳。
 御天道・タントとビューティフル・ビューティーはへなーんと揺れた後、同時に仰向けに倒れた。
「ふふ……やりますわねビューティー、さすがは宿命のライバル」
「あなたこそ、私と互角ですわね……タント!」
「ビューティー!」
「タント!」
 二人は立ち上がり、お互いの手をがしりと握りあった。
「「オーッホッホッホ! オーッホッホッホッホッホ!!」」
 暁に笑い合う二人の金髪ドリルお嬢様。
 その姿に泥妖怪ドロパック(35歳独身ピザ配達員)は深く頷いた。
「戦いを等して二人はファーストネームで呼び合うほどの友情を獲得したのですね。とても胸にしみいる、良いバトルでした。二人とも本当にありがとうございました!」
「「オーッホッホッホ! オーッホッホッホッホッホ!!」」

 ――完!

  • 金髪ドリルお嬢様バトル 暁の頂上決戦 完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別SS
  • 難易度
  • 冒険終了日時2019年05月31日 21時50分
  • 登場人物2人

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