ＳＳ詳細
公演お疲れ座談会（台本）
登場人物一覧
●登場人物
地の性格はチキンだが、仕事以外でも他人との付き合いでは仮面を被りがち。
今回も役の外であるにも関わらず年下の二人相手にリードを頑張ろうとする。
一人称俺 呼び方は了→佐久くん 晴日→朝坂さん 十郎→清家さん
地の性格はめちゃめちゃ陽キャ。敬語が苦手。よく笑う。
一人称オレ 呼び方は快治→快治さん 晴日→朝坂 十郎→十郎さん
地の性格は大人しめ。
３人の共演は今回が初めて。佐久と朝坂は下積み時代にエキストラで共演あり。
一人称私 呼び方は快治→真殿さん 了→佐久くん 十郎→清家さん
おまけ（他公演中につき欠席）
地の性格はオタク。演技の幅が広い。出る作品のことは専門家レベルに調べ尽くす。
了が舞台俳優を始める前から個人的な付き合いがある。メガネ。
一人称僕 呼び方は快治→真殿さん 了→了くん 晴日→晴日さん
●台本
快治：はい、というわけで「シビュラの託宣」編、千秋楽から少し時間が経ちましたけども！
了：公演お疲れ座談会～～！！（拍手）
晴日：（拍手）
了：ロード役の十郎さんも来れたらよかったんだけど、今回はスケジュールが合わなかったんで……この３人でやってくぜ！ 収録されたの発売されたら買ってね十郎さん！
快治：佐久くんあのね、早速だけどいい？
了：どしたの快治さん。
快治：本っっっ当にごめん！！ あの心臓のシーン！！
了：またその話（大笑い） ちょっと聞いて朝坂、あれから会う度に快治さんに謝られてんのオレ！
晴日：ええ～っ！？
快治：だって初めてやった時すっごく咳き込んでたし……俺も緊張して力入っちゃったみたいで……。
了：もういいってずっと言ってんのに～！ 監督はむしろ褒めてたじゃん。
晴日：監督さんや脚本さんに直談判もされてた、って聞いたんですけど……。
快治：そりゃするって。そういう話なのはね、役者としてはわかってるの。遂行者の皆ってルストの味方だしさ、そもそも人間じゃ無かったり魔種だったりで……普通に考えたら無事では戻って来れないだろうなとは思うわけよ。
了：まあオレも自分が人間じゃなかったって知った時はびっくりしたけどさ。それこそサクと一緒で。困難は多そうだけど、もしかして……もしかしたら……とか思ってたら「聖遺物です」って言われて、「ぇえっ！？」って。
晴日：（了の言い方が面白くて噴き出すように笑う）
了：しかもそれバラすのが十郎さん（ロード）じゃん？ 十郎さんにどうしようって聞いたら、「何が？」って。「何が？」って、あの、オレ！ 人間じゃなかったんだけど！！ みたいな。それ言っても「そう。僕もだけど？」（声真似）ってほんと、淡々と。ここの皆は一緒にびっくりしてくれたのにな！
晴日：だって……聖遺物ってことは……壊すしかないし……でもトキが帰ってきて欲しかったのは、って……。
快治：マッダラーとしてもさ。絶対にサクとトキに幸せになってほしかったわけよ。それこそPPPでも何でも使ってさ、奇跡……起こしたかったんだろうなって思うんだけど……まさかそのマッダラーがトドメ役になるとか思わなくって……「あの、もうちょっと救いがある方向になりませんか」って言いに行ったの。
晴日：脚本さんにですか？
快治：そう。そしたら「それが救いです」って。「それが救いです」って、何、って。マッダラーが手を下してるんだけど、これマッダラー自身どうしたらいいのとか、どんな気持ちで演じたらいいのとか、結構悩んじゃってね……。
了：その相談をオレにしてくる快治さん面白すぎたんだけど。
快治：だって同じシーンやるの佐久くんだもん。逆に佐久くん結局どういう感じでやったの？
了：いや、それなんだけど。そもそも、サクとオレ全然性格違うじゃん。台本読めば台詞や表情の指示とかはあるけど、なかなかサクの感情理解できなくってさー。
快治：うんうん。
晴日：うん……（快治と同時）
了：自分が人間だって信じ込んでたのが、違ってて、でもトキちゃんみたいな大事な子もいて。で、マッダラーさんのPPPでトキちゃんに会えたんでしょ？ 生きたくなるじゃんあんなの。でも遂行者である限りそれは無理だってわかってるし、生きたまま遂行者を辞めることはできないわけで。だからせめて……って感じ、なのかなぁって。不器用すぎんだよサク～！
快治：そこを何とかしたかったんだよなマッダラーはさ～！
了：快治さんには言ったんだけど、台本ほんとに。ね？ 「消えたくなくなるだろ」のところさ、ト書きで「涙を堪えようとして堪えきれない。切望するように」とか書いてあんの。多分サクなりの精一杯のお願いなんだろうけどさぁ！
快治：切望するな～！！
了：（大笑い）
快治：俺の方もト書きで「なおも諦めきれない葛藤の後、目を閉じる。開いた時には覚悟を決めて謝る」ってあったの。そんな瞬きひとつで覚悟が決まるか～！！
了：快治さん監督嫌いになってない？
快治：いや……それとこれとは別。役者としてはね、素晴らしい登場人物達に出会わせてくれた、素晴らしい作品だと思うの。本当に感謝してる。この作品がなかったら清家さんもだけど、佐久くんにも朝坂さんにも会えなかったしね。感謝はするけどそれとこれとは別～～！！
了：別～～！！（快治に合わせて）
晴日：（二人が面白くて笑った後）私も、あの回は台本が気になるけど見るのが怖かった回で……もしかしたら佐久くんとこれで最後かも、って思ったら……あ、すみません、思い出したら……（泣き笑い）
了：ああ～！！（快治と一緒に慌てる）
快治：ああ～朝坂さんごめんね！ いや、やったのはマッダラーというか台本なんだけど！
晴日：いえ、でも……あの回に登場できるとは思ってなくて……最初は理想郷の住人として、でしたよね。で、マッダラーさんのPPPで実際に何が起きてたか、っていうのが次の回で明らかになるじゃないですか。
了：あの回の朝坂、やつれてる演技やばくて真面目に心配だった。今ちゃんと食ってる？ 寝てる？
晴日：サクっぽいこと言わないの！（笑って） 最近もトキとして出番があったから、その時だけは減らしてる感じ？
快治：元々軽かったと思うんだけど、どうやって減量してるの？
晴日：えっと……台本見て、行き倒れるのってどれくらいだろうって考えて……だんだん完全に感情移入しちゃって、普通に……。
了：朝坂、これ終わったら飯行こう。快治さんの奢りで。
晴日：ええ！？
快治：君たち若いんだからいっぱい食べなさいよもう……。
晴日：い、今は役の時以外は食べてますから！ えっと、どこまで話しましたっけ……。
快治：サクが消えた次の話で、マッダラーのPPPで何が起きてたかわかるって話。
晴日：あ、はい。しかも、消えちゃったはずの佐久くんがまたいるじゃないですか。でも、今までのサクくんじゃないっていう……。
快治：サクゲツくんね。俺もどんな顔して喋ろうってさぁ……。回想シーンかな？ と思ったら衣装違うんだもん。
了：設定的にはこっちがオリジナルでも、皆が今まで喋ってきたのはあっちのサクだし……ってなるよね、わかる。演じてたオレがそうだもん（笑いながら）
晴日：もうちょっと佐久くんと同じ座組でいられるー！ って意味では嬉しかったんですけど、トキにとってのサクは……って考えると……。
了：ちょっといい？ この公演さ、時々スピンオフエピソード出るじゃん。
快治：ああ、佐久くんと朝坂さんが時々やってる短いやつ。
了：あれでちょっと気に入ってる話あって。サクゲツと話してるトキを見守るサクとロード、ってのがあるんだけど。
快治：清家さんが参加してるってことは一番最近のか。
了：知ってんの！？
快治：出番終わったはずの清家さんが台本読んでるの見たから……。
了：ああ……。あ、それで。その話の台本で、サクの台詞がさー！ 「これからオレの知らないサクとトキの時間が増えていくのは悔しい」ってやつ！ 悔しいんじゃん！ 大好きじゃんお前！！ ってなった！
晴日：あの台詞かぁ～！
快治：悔しいなら生きてくれー！
了：でも自分のこと「忘れられてもいい」とも言っててさ……。
快治：忘れるかばかー！！
晴日：（堪えきれなくて笑う）
了：もう限界オタクみたいになってるじゃん快治さん！
快治：このメンバーで今日集まるって聞いた時から既に限界です俺は。
晴日：え、あ……そろそろお時間、みたいです……？
了＆快治：えー！！
了：ここからじゃん！ まだ何も話してないオレ！！
快治：横道逸れすぎたんだよ佐久くんさあ！
晴日：（笑いすぎてしばらく何も言えない）あの、あの、締めないと……！ このメンバーでまた集まれて、私とっても楽しかったです。サクと、トキと、マッダラーさんとして集まることは……ある？ ない？ ちょっとわからない……？ らしいですけど。
快治：ちょっとって何。怖いこと言わないでくれる？ プロデューサーさんどういうこと！？
了：サクゲツとトキの出番があるのはほぼ確定っぽい。稽古始まってるし。
快治：何それこわい。えっ、今日清家さんいないのと関係ある？
了：はいはい締めてくぞー。えーと、オレも今日は楽しかった！ 最近朝坂が元気ないシーンが多くてちょっと心配だけど、また座組の皆で飯とか行きたいな！
快治：この流れで俺が締め！？ えっと……突然不穏な情報を聞かされましたが俺は元気です。元気に生きますよ。飯くらい奢ってもいいから元気でいてくれよもー！
了：現実のオレらこんなに元気だってば！（晴日と一緒に大笑い）
快治：もう誰ともお別れしたくないのー！ というわけで、「シビュラの託宣」編お疲れ座談会でした！
おまけSS『楽屋にあった予告編』
●たとえばきみともういちど
めえ。めえ。
羊の声がする。あの子の声だ。
私のところによく来る子。
何度小屋にしまってもすぐ出てくるって、サクゲツが困ってたっけ。
めえ。めえ。
ごめんね。何だか体が重いの。
起きてあげたいんだけど、もう少し待ってて。
ベッドが沈み込む。
あの子の重さじゃない。
おじいさんやおばあさんでもない。サクゲツだってこんな風には。
こんな近くに、いるのは。
――トキ。
…………サク？