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アレン・ローゼンバーグ(p3p010096)
茨の棘
アレン・ローゼンバーグの関係者
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「お腹の子どもは女の子だと思う?」

 妻は夫に問う。膨らんだ腹をさすり、透き通るような赤い瞳で夫を見つめた。夫は妻の瞳を見た後その腹に手で触れて、「そうだなあ」と呟いた。月のように青い瞳が、そっと細められる。

「女の子だと良いね」

 女の子が欲しかったのは何となくで、そこに明確な理由があるわけではない。だけど女の子らしい服や女の子の遊び道具が、夫婦には可愛らしく見えた。可愛らしいもので赤子を囲んで、赤子に触れるのが、夫婦の夢だった。

 数か月後。胎から産み落とされたのは男の子だった。夫婦の瞳の特徴を一つずつ貰い受けた赤子。夫婦は女の子ではなかったと驚くも、その子の可愛らしさに、男の子で良かったと思うようになる。そうして生まれる子の性に強く望みを持ってしまったこと、女の子のための衣服や遊び道具を揃えてしまったことを悔い、クローゼットの奥深くにそれらを仕舞いこんだ。

 二人目の子には恵まれなかったが、男の子は順調に育っていった。イマジナリーフレンドとよく遊んではいたが、それは幼子の特徴である。何もおかしなことはない。そう思って精一杯の愛情を注いで、ひとりの子を育てていたのだが、ある日異変が訪れる。

「おとーさん、おかーさん。みてみて」

 幼子がクローゼットから見つけてきたのは、女の子のための服だった。フリルやレースがたっぷりあしらわれたそれを自身の側に置き、子は楽しそうに笑っていた。

「おねーちゃん、おひめさまみたいでしょ」


***


 リリアの様子が、最近おかしい。シャイネンナハトの時から異変はあったと言えばそうなのだが、話かけても返事をしてくれないことがあるのだ。帰ってきた時にはいつも玄関まで迎えてくれるのに、部屋に入って、リリアの肩に触れてやっと気が付いてくれる。そうして彼女は何でもないように笑って、あるいは慌てたように飛び跳ねて、アレンに「おかえり」と言うのだ。

 耳が悪くなっているのかと思い、小さな声で話しかけたときの反応を注意深く見守ったが、会話はきちんと繋がっている。音が聞き取れていないわけではないようだった。アレンは困り果てて、医者に診せた方が良いのだろうかと悩みはしたけれど、医者を連れてきたとしてもリリアを認識してくれないのは分かり切っている。アレンが異常者の扱いを受けることになれば、悲しむのはリリアだ。何年も前から続いている虚しさと、リリアに家の中にずっといてもらうことで覆い隠した悲しみの蓋を、開けることはしたくなかった。

 大丈夫だ、と言い聞かせる。同じ日常を何度も何度も繰り返す事で、守ってきた生活だ。新しい習慣を持ち込むこともせず、子どもの頃からずっと続いている遊びを繰り返して、そこに少しだけ大人らしさを混ぜ込んだだけの、代わり映えのない日々。リリアに誰も味方がいないのを良いことに、救いというものをアレンとアレンの持ち込むものにしか見出せないように仕向けようとしていた、「幸福」。それが崩れようとしているのではないかという予感が何となくして、気が付かないふりをして、大丈夫と鏡に向かって微笑む。鏡にはリリアにそっくりの青年がいる。青年はリリアならば持たないような影を湛えた表情で、笑っている。

 両親に相談することはできなかった。リリアと会話していたアレンを医者に真っ先に連れて行ったのが彼等だったからだ。「この子がどうも幻覚を見ているみたいで、どうか助けてやってください」と言って医者に懇願し、自分たちが女の子を望んだせいだと語る母の話を聞いた時から、アレンの心は固く閉ざされていったのだった。
 幼いアレンには、母の話は半分も理解できなかった。別室に離されていたのに関わらず母の声はよく聞こえて、ぼんやりと、男の子である自分は要らなかったのだろうと思った。それからずっと、両親に対して抱擁を求めることも、愛を乞うことも出来なくなった。どうやら愛されているらしいと分かったのは十年以上経ってからだったが、その間に両親に求めるはずだった家族愛というものは、どこかに消え失せていたのだった。

 リリアがいれば、それで良かった。

「アレン、お誕生日には何が食べたい?」

 悩んでいる間にリリアの異変は増していった。

「姉さん、驚かさないでよ」

 リリアに触れられて震えた身体を誤魔化すようにだらけさせて、ソファーに寄り掛かった。触れられると知って触れられるのと、知らずに触れられるのでは気持ちの持ちようが違う。特にリリアだと。だから触れられる時は構えていたいのに、最近のリリアは気配がない。話しかけられたり触れられたりして、初めてそこにいることに気が付く。それどころか、部屋に姿が見当たらないと思ったら突然隣の部屋から出てきたり、ソファーの影に隠れていたりすることもあって、気配がないの一言では言い表せないのだ。その異変が何なのかアレンには分からなくて、それらに出遭う度に、身を強張らせてしまう。

「そんなつもりじゃあなかったのだけれど」

 リリアはアレンの後ろに立っていた。アレンが振り返るのに合わせて、その首が傾げられる。

「うん、ごめんね」

 アレンがほんの少し眉を下げて微笑むと、リリアは「良いのよ」と言ってアレンの隣に座った。近くなるはずの体温が何だか遠くて、アレンはさりげなく距離を詰めた。

「それで、何か食べたいものはある? もう決めた?」
「そうだなあ」

 答えたメニューは代わり映えのないものだった。姉さんは何が食べたいのか問いかけると、リリアはたまには変わったものも良いのではないかと答える。その表情は知らぬものへの漠然とした憧れを表しているようで、アレンと築いてきた日常に対する慈しみとは違うものだ。
 リリアだけが、変わっている。アレンを残して、大人になっていく。そんな気がした。

「変わったものって、例えば?」
「それは私よりもアレンが詳しいでしょう」

 リリアが首を傾げる。その視線がまっすぐにこちらに注がれて、アレンはたじろいだ。

「この前ラサに行った話をしてくれたわよね。香辛料が珍しくて、って言っていたじゃない」
「そうだね。確かに、珍しかったよね」
「私にはアレンが教えてくれるものしか分からないもの」

 アレンの望み次第なのだと受け取れるようなことを、リリアは呟いた。アレンはその言葉を上手に咀嚼できなかった。
 彼女をここに置いておきたいと願ったのは、自分だ。だからリリアが己の無知や世間知らずさをこちらのせいにすることは、覚悟していたことだ。外の世界から冷たくされる苦しみをぶつけられたって、受け入れるつもりでいた。だけどそんな必要も無かったと思うくらいには、今までの生活は平穏だったのだ。リリアが外のものを望むときは、アレンに明るく優しくせがんでくる。だから今日のように、不貞腐れるような言い方をしてくることはほとんどなかった。心の内に残しておいたはずの覚悟が、はらはらと崩れていく。

「そう、だね。姉さんは外に出られなくて、辛いものね」

 リリアは辛くも思っていなければ、妬ましくも思っていないだろう。そんなこと分かっているはずなのに口にするのは、皮肉に受け取られてしまうだろうか。

「ううん、辛くないの」

 リリアの声がはっきりとしていて、アレンは吸い寄せられるように彼女の瞳を見た。自分と鏡合わせの色の光彩が確かにアレンを捉えて、薄い瞼に隠される。瞼を縁どる銀色の睫毛が淡い輝きをともすのを見て、アレンはリリアの言葉に耳を傾ける。望む言葉を囁いてほしいと思った。

「アレン、よく聞いて」

 いつもなら、「アレンが外の世界が教えてくれるから、それで良いのよ」と言ってくれるのだ。それなのに今は、何かを諭そうとしている。

「ねえさん、やめて」

 ひどく嫌な予感がして、リリアの声を遮った。自分の声が震えていることに驚いて、アレンはそれを隠すように唇を噛もうとした。だけど彼女に気が付かれてしまうと気が付いて、堪える。リリアの瞳から、目を逸らせない。
 リリアが何を言おうとしているのかは分からない。だけど彼女が淡い色の唇にのせようとしている言葉が、自分たちの関係を壊してしまう気がした。

「あのね、私は」
「やめてってば」

 リリアの手を掴む。彼女はこちらの手の震えに気が付いたようで、アレンの手に視線を落とした。ほんの少しだけ色の違う皮膚にリリアの手が重ねられて、優しく撫でられた。

「アレン。私はね、人じゃないのよ」

 からから。がらがら。世界の壊れる音がした。



 リリアの言わんとしていることが、分からなかった。どうして彼女までが他の人と同じようなことを言うようになってしまったのだろう。アレンの事を指さして、「お前は頭がおかしい」と他人に笑われた時も、両親に憐憫の籠った目で見られた時も、リリアは一緒に悲しんでくれた。ずっと傍にいてくれると、味方でいてくれるとでも言うように手を握ってくれていたのだ。触れた温もりも、声に含まれる優しさだってきちんとある。母の言うような幻覚であるはずがない。

 もし本当に幻覚だったとして。彼女と共に過ごした記憶も、与えられた優しさも、彼女を想ったことも、偽物だということになってしまうのだろうか。そんなの、認めたくない。認められるはずがなかった。

 きっと何かの冗談に決まってる。少し早いエイプリルフールの嘘だろう。明日になれば「ごめんね、嘘をついてみたの」なんて言って、リリアは頬を赤くする。そうしたら、もっと小さな嘘にしてよ、と言うだけで良いのだ。嘘で良かったと言って、心配した分甘えさせてもらおう。抱きしめてもらおう。彼女の優しくて甘い香りに触れて、安心したい。

「姉さん、ただいま」

 アレンの望みとは反対に、リリアはどんどん変わっていった。いつもはアレンが帰る時に用意されている食事が用意されなくなった。体調が悪いのかと尋ねれば、そうではないのだと彼女は首を振る。

「今までもずっと、アレンが作っていたのよ。忘れちゃった?」

 そうしてリリアはソファーに座ったまま、アレンにふわりと微笑む。その銀色の髪が照明の明かりに透けて見えて、落ち着かない。ほんのり赤み掛かった色だけ残して、どこかに消えてしまいそうだ。

「私と同じ味に出来るわ。やってみて」

 出来るはずなんかないよ。そう言いながらも作ったポトフは確かにリリアが作ったものと同じ味がして、アレンはどんな言葉を紡がなくてはいけないのかが分からなくなった。さすがアレンね、とリリアが笑っているから、美味しくないと言って誤魔化すこともできない。ただリリアに任せきりにしていたはずのことがすんなり出来てしまったことに対して、ある種の悲しみを感じただけだった。
 リリアはまだ、嘘をついていたのだと言ってくれない。

「もう私がいなくても大丈夫そうね」

 アレンが淹れた紅茶のカップを持ちながら、リリアは言う。熱い紅茶を慎重に口に運んで、リリアは寂しそうに、同時に清々しそうに笑うのだった。
 さっと身体が冷えていくような気がした。

「どうしてそんなこと言うの」

 切羽詰まったような声が、部屋に響いた。それが自分の喉から発されたものだと気が付くまでにしばらくかかって、アレンは肩を落とした。

「どうして、姉さんまでそんなこと言うの」
「どうして、って?」
「姉さんは僕と同じ人でしょ。いなくなるなんて、おかしいよ」
「言ったでしょう。私は人じゃあないのよ」
「嘘だ、信じない」

 声を荒げるつもりなんてなかったのに、リリアは一瞬驚いたようにアレンを見た。それから「分かっている」とでも言うように穏やかな笑みを浮かべて、紅茶のカップを置く。

「信じられなくても、本当なのよ」

 リリアが手を伸ばしてくる。アレンの手を掴む仕草のはずだったそれは、すり抜けた。アレンの手に、彼女の手首が埋まっている。

「ね?」

 彼女は悪戯をするようにアレンの腕に自らの手を埋めたまま、アレンの手首から肘に沿って手を動かす。身体の内側を触られる違和感もなければ、腕に異常もない。まるで、幽霊みたいだ。

「姉さん」

 怖がらないで。リリアはアレンの身体から手を引き抜いて、微笑んだ。それから慈しみを籠めた目をして、アレンを抱きしめた。今度は、触れられた。リリアらしい、甘くて優しい香りもする。

 やっぱり姉さんはここにいるじゃないか。嘘だ、人じゃないなんて嘘だ。幻なんかじゃない。

「ごめんね」

 安心したのも束の間、リリアの形が掻き消えて、彼女に寄り掛かっていたアレンはふらついた。テーブルに片手をつき、慌てて振り返るとリリアもアレンの後ろで転んでいて、すり抜けてしまったのだと分かった。

「姉さんは、消えてしまうの」

 掠れた声で問うと、リリアは困ったように頷いた。立ち上がって、アレンの正面に向かい合う。

「今までずっと居てくれたじゃない」
「そうね」
「だったらこれからも居てよ」
「それは、できないの」

 リリアが息を吐き出す。アレンにとって聞きたくない言葉を言おうとしているのだと分かるから、耳を塞ぎたくなる。だけどリリアのすり抜ける手がアレンの頬に触れようとしたから、堪えた。ちゃんと聴いてほしいと言われているような気がしたからだ。

「お母さんが言うように、私はアレンの見る幻なの」

 まぼろし。繰り返した言葉に、リリアは静かに微笑んだ。

「私はアレンの欠片なの。お父さんとお母さんが女の子を欲しいと願っているのをアレンは何となく知っていたから、私を作った。お父さんとお母さんに愛されたかった、小さいアレンがね」

 リリアがアレンの頬をそっと撫でようとする。だけどもう、その温もりは分からない。

「でも僕は、父さんと母さんにもうそんなこと願っていない」
「だから私をお姉さんに選んだのでしょう。二人に愛されないのなら、お姉さんに愛してもらいたいと思ったのよ」
「僕の言う好きは、そんな、ただの代わりじゃないよ」
「うん。知ってるよ、分かってるわ。きっかけがそれだったってだけよ」

 思い返せば、両親からの家族愛が望むように得られないと感じていたからこそ、リリアひとりだけに甘えていたのだ。リリアならアレンを要らないと思わないと知っていたから。成長していくにつれて、リリアに家族愛以外の愛を求めるようになってしまったのであって、幼いアレンが心から求めていたのは、家族愛ただひとつだった。そう分かってしまえば寂しいようで、虚しいようで、でも腑に落ちるようで、アレンはただ頷くしかなかった。

「アレンが私をお姉さんだと思ってくれたから、私はずっと人の姿でいられた」
「嫌だ。僕を、置いていかないで」
「でもアレンはもう他の世界を見ているから。友達だっている」
「だから消えるってこと?」
「そう」

 リリアの手を掴もうとして、すりぬける。代わりに触れた自分の頬は濡れていた。

「僕が姉さん以外を見てしまったから」
「それは違うわ。私はあなたに友達がいることも、たくさんのものに触れていくことも嬉しいの。後悔しないで」
「それで姉さんが消えてしまうのなら、意味なんかない」

 僕は姉さんが好きだ。好きだよ。振り絞った言葉に、リリアは静かに微笑んだ。

「私もアレンが好き。だからあなたには、真っすぐに生きていてほしい」

 私に囚われてはいけないわ。リリアの色違いの瞳に薄い水が張って、銀色の睫毛が濡れていく。瞳に留まれなくなった涙が、瞬きに合わせて零れ落ちた。

 好きの意味が違うこと。普段だったら気にするそれがどうでもよくなるくらいには、リリアの告げた「好き」は胸に迫るものがあった。痛みを訴える心臓を絡めとって離さないくせに、身体を包むような温かさがあって、アレンは彼女の瞳をじっと見つめた。
 リリアだって、消えたくないのだ。だけどリリアという存在を保てなくなるくらいに、アレンの心に広がる世界に、他の誰かが棲みついた。リリアだけを見ていたあの頃の自分ではなくなってしまった。だからリリアは己がどんな存在なのかも理解してしまって、消えることも理解してしまったのだ。だからずっと、アレンを諭そうとしていたのだろう。

 もう、認めなくてはいけないのだと思った。

「形を保てなくなってしまって、ごめんね。気が付いてしまってごめんね」
「それは僕が」
「ううん。アレンには笑っていてほしいの。笑って、私を見送って」

 リリアの頬を伝う涙を、拭ってあげたい。零れていく彼女の身体に手を伸ばすと、彼女の涙は光が舞うように散った。

「姉さん、ずっと僕の側に居てくれて、ありがとう」
「私を作ってくれてありがとう、アレン」

 リリアの身体から光が零れて、身体の輪郭が崩れていく。足先や指先が空気に攫われて、赤色の薔薇が舞う。最後に触れたいと思って抱きしめると、リリアは寂しそうに笑った。

 触れた唇。リリアは消えているはずなのにどうしてかその感触は分かって、アレンは涙を堪えて、微笑みかける。

「さようなら、姉さん」
「さようなら、アレン」

 再び唇が触れて、リリアの姿が掻き消えた。光を掴んで引き寄せるも、あっと言う間に手のひらをすり抜けてしまって、薔薇の花弁ばかりが残された。

 リリアはもう、いない。いるのはアレンだけだ。そう分かってしまうと涙が溢れて止まらなくなって、アレンは薔薇の花弁を抱きかかえた。


 その日アレンは、涙が枯れても泣き続けた。姉さんと呼び続けて。


おまけSS『鏡合わせ』

 目が覚めた時にはひどい頭痛がした。泣き疲れて眠って、そのまま朝を迎えてしまったようだった。カーテンの隙間から差し込む朝日が眩しい。そういえば今日は自分とリリアの誕生日だったと、今更思い出す。

 おはよう、と声をかけてくれる人は、いない。朝ご飯は何にする、と尋ねてくれる人もいない。静かな空間に突然放り込まれたような気持ちになって、アレンはそっと下を向いた。

 頭痛薬を飲む前に顔を洗おうとして、躊躇う。まだリリアにキスをした感触も、その時の涙の味も残っている。鏡の前で整えていない頭のまま睨めっこをして、ふと、気が付いた。自分は髪を結んでいない自分の姿からリリアを作っていたのではないのかと。だからずっと髪を伸ばしていたのだと。そう分かってしまえば瞳の色が彼女と左右で逆なのも納得してしまって、アレンはそっと鏡に顔を近づけた。

「姉さんはずっと、鏡の中にいたの?」

 返事はない。当たり前か、と呟いて。アレンは顔を洗った。その拍子に長い髪が濡れて、水滴が垂れた。

 もうリリアはいない。リリアがいなくても、自分は前を向いて生きていかなければならない。最愛の人と過ごした記憶を抱えても、囚われてはいけない。リリアはきっと、そう望んでいる。

 頭痛と目の腫れが落ち着いたら、髪を切りに行こうか。リリアなら、髪が短くなっても褒めてくれるはずだ。そう思って、アレンは鏡に向かって微笑みかけた。そこにリリアがいないと知りながら。

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