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隠れ里より踏み出して
登場人物一覧
- ニルの関係者
→ イラスト
名前:大聖寺 佑真(だいしょうじ ゆうま)
種族:鬼人種
性別:男性
外見年齢:20代
一人称:オレ
二人称:キミ、さん、呼び捨て
口調:男性的
特徴:
鬼人種による隠れ里『大聖寺郷』を表裏より支配する大聖寺組の若頭であった青年。
人となりはやや厭世的ではあるものの穏やかそのもの。
鬼人種――獄人は
大聖寺郷は迫害を逃れた鬼人種達が自然と集まって成立した隠れ里である。
細々と暮らしていた大聖寺郷は、しかし。状況が変わる。
神逐が成り霞帝による獄人差別の撤廃(緩和)が推し進められ始めたのである。
里に住まう鬼人種達はそのまま住み続ける者、俗世に降りて暮らすことを選ぶ者に別れた。
ニルとの初めましてはニルが豊穣郷の『美味しい物』探しをしている最中のことだった。
大聖寺郷を出身とする鬼人種の饅頭屋へ立ち寄ったニルは、故郷の饅頭はもっと美味いんだぞ、と。
そのような話を聞いて隠れ里へと訪れた。
「へぇ、外からの客は珍しいな。うちの特産の味、どうだ?
美味いか、そうか、そうか。はは、それは良かった」
ダウナーな雰囲気を纏いながら、そう笑ってニルの頭を嬉しそうに撫でていたことは記憶に新しい。
「うちの特産は他にも色々あるぞ。もし良かったら案内してやろう」
佑真に連れられ里の中を散策したのもその日のいい思い出だった。
里を案内してくれる佑真の顔が、どこか誇らし気に見えたのもきっと気のせいではなかった。
ごく最近、里の中でバグホールが出現。
幸いにも人的被害はなかったが、集落自体はその中に呑みこまれた。
「 辛くないのかって? そりゃあ……辛いさ。でもそんなこと誰も気にしなくていいんだよ。
人的被害が出なかったのは、幸いだったのかもな……滅びちまったのなら、オレ達は前を向くしかねぇ。
どっちにしろ、この里が無くなることは……俗世に出ることは、何よりも俺達が求めていたことなんだ。
それが自然と離れていくのか、そうじゃないのかの差でしかねぇよ。
……そうさ、この里が不要になったってんなら、それでも構わないんだ」
そう語った彼は練達へと居を移した。
練達でバグ・ホールの研究について協力している理由は言うまでもあるまい。