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とある騎士団の物語

登場人物一覧

アルム・シュタール(p3p004375)
鋼鉄冥土
アルム・シュタールの関係者
→ イラスト

■数年前
 嘗て鉄帝にとある騎士団がありました。
 ですがある日、 その騎士団は
 国に対する背信行為を働いたとして
 団員は密告者である1人を除いて全員処刑。
 団長は深手を負いながらも追っ手を逃れ逃走し、
 行方不明となったそうです。

■ルピエ・フェール
 俺は自分が嫌いだ。 自分の生まれが嫌いだ。
 貧民に生まれた。 ただそれだけで、
 蔑まれ、 虐げられて生きてきた。
 だから生きる為に何でもした。
 この掃き溜めから抜け出して、
 そして誰よりも偉くなる為に。
 ある日、 仲間達とある騎士団の兵舎に
 盗みに入って捕まった。
 完璧な計画だったはずなのに、
 誰かがチクリやがったに違いない。
 だが失敗したものは仕方ない。
 このまま暫く独房暮らしでも
 洒落こもうと思っていたが、
 そうはならかった。
 その騎士団の団長が俺達を釈放したのだ。
 そして笑顔でこう言いやがる。

「素晴らしい作戦でした。
 ただの盗人にしておくには惜しい人事です。
 そこで宜しければ私が、
 貴方達の腕を買いましょう。
 この騎士団の団員になりませんか?」

 その笑顔は俺には眩し過ぎて
 同時に憎らしかった……
 良いだろう。 俺が成り上がる為に
 お前らを利用してやる……。
 仲間と共にその日のうちに
 騎士団に入団した俺は直ぐに頭角を現し、
 2年で副団長まで上り詰めた。
 さて、 もうすぐ仕上げだ。
 悪く思うなよ? 団長。

■エーファ・ブルーメ(アルム)
 私は生まれながらの騎士では無い。
 平民の家に生を受けた私は、
 幼い頃から騎士に憧れていた。
 物語に出てくる様な強くて優しい
 そんな騎士に私もなりたい。
 必死で努力して、 
 15の頃に見習い騎士になった。
 同期や上司にも女騎士は少なく、 
 侮られたりもしたけど
 それでも喰らい付いて我武者羅に
 剣を振るい、 盾を振るって努力した。
 18で見習いを卒業する頃には、
 信頼出来る仲間も増え
 騎士団を結成出来る程になった。
 私の騎士団には生まれも育ちも関係なく
 どんな者でも受け入れよう。
 優しくて強い。いつか憧れた物語の騎士の様に。

 そうして団員を増やしつつ、
 それなりに名の知れた騎士団に
 なりつつあった頃。 私は彼に出会った。
 ギラギラと光る何かを彼。
 ルピエ・フェールに見た私は、
 彼とその仲間を騎士団に迎え入れる事にした。
 予想通り否、 予想以上の速さで頭角を現した
 ルピエを私は空席だった副団長の席に指名した。
 彼の様な切れ者が居てくれれば
 騎士団も安泰だ。 そう思っていた。

 切れ過ぎる刃は時に自身や周りすらも傷付ける。
 その時になるまで、私はそんな事すらも
 まるで分かって居なかったのだ。
 
■裏切りの日
 その日はとある地方の村で起こった小競り合いを鎮圧する
 簡単な仕事のはずだった……。
「こっ……コイツが抵抗したから!」
 取り乱した様子のルピエを諌めつつ、 状況を整理する。
 私が率いる本隊が到着する前に、
 話し合いでこの場を収めようとしたのだが
 向こうが手を出して来た。抵抗したので
 斬り捨てたと言うのが彼の言い分だったのだが、
「火事だー! 火の手が上がったぞ」
 部下の声に振り返ると既にかなりの規模で
 火が上がっていた……何かがおかしい。
 そう思った瞬間。
 背中に焼けるような痛みが走る。
「どう……して?」
「悪く思わないでくれよ? 団長。」
 不意打ちで背中を斬りつけて来たのは、
 先程まで取り乱していたはずのルピエだった。
「中々の演技派だったろう? 」
 仰向けに倒れた私の頭を踏み付けつつ、
 奴は私に話しかけて来る。
「なぜ……裏切ったのですか?」
「なぜ!? 丁度良かったからさ!
 俺は偉くなりたいんだ。
 誰よりも何よりも偉くな!
 どんな手を使ってでも成り上がって
 いつか皇帝の座に着いてやる。
 ……あんたをいや、あんたらをその足掛かりに
 利用させてもらったのさ。」

 そして剣戟と部下や村人達の断末魔が響く。

「俺の部下がお前の仲間や村人を全員殺す。
 そして俺だけが生き残って筋書きはこうだ。
 我らの騎士団が遠征先の村で略奪行為を働き
 村に火を放ち、 村人を全員殺害。
 その非道を諌めるべくこの僕、
 ルピエ・フェールとその忠臣が
 エーファ団長とそれに付き従う者共を誅し、
 その場を収めた。 どうだ? 良い脚本だろ?」
 この男は自分の野心の為に……
 ただそれだけの為に私だけでなく、
 大勢を利用して犠牲にしようとしているのか。
 後悔と怒りが私を支配する。 
 私が気付いてさえいれば
 この男を止められていたのに。
「おっと、 団長様は頑丈だからなぁ?
 どうせその傷だ。助からんだろうが、 
 念には念を入れてと……。」
 最後の力を振り絞り
 せめて一矢報いようとした時、
 両腕の感覚が無くなった。
「あっ…ああああああああぁぁぁ」
 私の腕が騎士の誇りが崩れ去って行く……。
「ははは! 自慢の腕を失ってどんな気持ちだ?
 良いざまだなぁ? 団長。」
 何もかもを奪われ踏み躙られこのまま私は……。
「団長ぉぉぉぉぉ!!」
 僅かに生き残った満身創痍の部下達が
 ルピエと私の間に割って入る
「お前達団長を連れて逃げろ!
 殿は俺が務める。」
 ボロボロになりながらも私を助けようとする
 その姿はいつか憧れた騎士の様にも見えた……。

■アルム・シュタール
 その後は重症で朦朧とした意識の中
 覚えているのは追っ手を逃れ
 落ち延びて、次第に力尽きていく団員達。
 次に意識戻った時には既に国境を越え
 とある幻想貴族の家のベッドの上。
 聞いた話では、 1人の騎士が私を託して
 そのまま事切れたとの事でした。
 結局生き残ったのは私とあの男だけ。
 いつか借りを返す日まで、
 嘗ての名は捨てましょう。
 鋼の義腕を戴いた私はその日から
 私はアルム・シュタールとなりましタ。
 そして屋敷でメイドとして
 恩を返す日々を送っていたのですガ……
 何の因果かイレギュラーズとなった
 ワタクシがあの男と再び相見えるのハ、
 もう暫く後の話でス。
 
 
 
 
 



 
 
 


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