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行ってきます
登場人物一覧
名前:メイメイ・ルー
特徴:18歳。
設定:
まじないは、彼女を幼い姿に留めたままだった。
メイメイ・ルーは故郷を追われた立場だった。故に、皆に忘れられないように人相が変わらぬように、日々、日々、願ったのだ。
混沌世界は彼女の願いに応えるようにその姿を留めた。
けれど――
「ただいま」
その言葉を継げてから、もう一度、今度は『ちゃんとした』挨拶をすることが出来た。
「行って、きます」
帰る場所がある。家族だって居る。皆が無事で居てくれただけで気持ちは晴れやかだった。
心は軽くなったはずなのに。身体は不調を訴えた。食欲が減退し、眠る時間が増え始めた。
小さな変化は誰もが気付くものではあった。眠たげな彼女は周囲に断りを入れて、部屋に籠ることが増えた。
ある日の事、少女は夢を見た。
眩い光が目の前にある。恐ろしくなどない。温かで、優しいその気配に指先をそっと伸ばした――刹那。
少女の身体は光に飲まれ、姿が変化した。
ただ、ただ、恐ろしかった。『変化』が訪れれば、家族に忘れられるかも知れない。けれど、もう心配は無いのだ。
少女の姿は変化した。18歳。それが彼女が『過ごした時間』だった。
すらりと手脚は伸び、髪はふんわりとたなびいた。
長く伸びた真白の髪は、大人になった証左のようだった。
それから、メイメイは目を覚ました。瞼を押し上げて、勢い良く身を越したときに、驚いた。
手脚はすらりと長かった。幼い少女は、大人になっていた。
「ど、どうしましょう」
その姿は年相応のものへと変化したのだ。いや、本来の姿を取り戻したと言うべきだろうか。
まだ不慣れな身体の動かし方。それでも、自らを覆っていたまじないの気配が遠離った事への歓喜の方が勝ったのだ。
145cmだった背はぐんと伸びて160cmになった。
細身ではあるが、その体つきも女性的に変化した。
本来の『メイメイ』を取り戻してから、彼女は途惑いながらも『家族』の顔を思い出した。
――成長したってメイメイの事は分かるよ。
カシュがそう言っていた。本当だろうか。
カシュに見せたら、何て言うだろう。そんなことを考えてから、少女は故郷への道を辿ったのだった。