ＳＳ詳細
迷える子羊は秩序の優越を得るのか
登場人物一覧
- イルミナ・ガードルーン(p3p001475)
まずは、お話から。
第二条・ロボットは人間の命令に服従しなければ成らない。
出来たぞ――僕の最高傑作だ。此れほどに美しい在り方は存在しない筈だ。今までの常識を根底から覆す輪郭と思考。精密に組み込まれた『人間』のような肉質！ たまらなく美しいと連中だってひっくり返る。そうさ。僕がこの世界に革命を。いいや。現実ってヤツを叩き付けて魅せる。特にこの瞳は素晴らしい。こんなにも目玉のようで舐りたくなるんだ。僕以外の狂信者。つまりマニアが覗き込めば錯乱する事間違いなしだ。名前は如何しようか。ああ。訊いてみるのも悪くないな。何せ僕は『神意』『真意』に到達したロボットを。アンドロイドを造ったのだから！ ケイオス！ カオス！ 混沌の二文字に乾杯だ。燃料は確かに注ぎ込んだぞ。チック・タックと鳴き始める心臓が微笑ましい。はーははは……感謝しなければ。向こう側の世界有難う。ほら、君の名前を吐いてごらんよ。君の音声が知りたいな。君の地獄を覗き込みたいんだ。ごめん。ごめんよ。そんなに睨まないで。そら、空、天、宙を視に往こう。問題は無いさ。なんだって君は無限の可能性を秘めている。きゅいんきゅいん可愛いねぇ。もしかして照れているのかい。え？ 冗談だよ冗談。僕はいつだって冗談を忘れない。降りてきたのは何時だった？ 思い出せないや――。
第一条・人間に危害を加えてはいけない。
ええと。何だったっけ。そうだ。僕は君の為に生きなければ。活きる事を決意したのさ。ほら。修理も終わったよ。だから。「そうしてほしいな」。視てよ。僕を処分しようと奴等がやって来たんだ。速くしないと。早くしないと。僕の大好きな君は奪われちゃう。困った。此れが因果応報だと君が嗤うならば、笑いながら首を吊ろう。首を傾げなくても好いよ。だって君は危害を加えていないからね。はは……大丈夫さ。僕はいつでも君の真実だからね。偽りだって想像したことは無いよ。無いか在るかを考えていたら満足なんて貰えないんだ。きゅいんきゅいん。水色がぐるぐる回ってるんだけど気分でも悪い？ あれ。僕の方がダメか……うぅえ……気の所為だよ。僕は過去現在未来死ぬまで元気って『決まった』存在なのだから。顔色だとか何だとか心配しないでよ。その力強い脚で蹂躙している貌が見たいなぁ――あ。解った。判った。じゃあ命令するよ。それが君の原動力即ち言導なのだから。「助けて」。宜しくね、君。きっと僕はいきている。
第三条・自己を守らなければ成らない。
がらぁ。がらぁ……おかえり。今日の夕御飯はロリババアの肉だよ。君はもう食せる身体じゃないか。なんで離れているんだい。照れてるんだら。顔が赤いぞ。貌が。火は任せたから捌いていこうか。何？ ロリババアじゃないって。君が絞めてくれたのに。何で忘れているのだか。もしや思考回路に何かが詰まったのでは。大変だ。今から修理しないと。機材は揃っているし僕にも余裕は有る――絶対に直してあげるからね。問題ないさ。僕と君の仲だろう。しっかりと固定して解体しないとね。なんだい。なんだい。落ち着いて。ああ。暴れるな。此れは「命令」だぞ……うん。自己防衛機能に違いないな。直さないと直さないと直さないと治さ――あれ？ 僕は何と吐いた？ 治すだって。そんな君は人間じゃない。深呼吸するべきは僕の方か。今度こそ連中を糺さないと。しかし柔らかい肉体だね。自慢したくなるよ。まあ全部機械なんだけど！ 機械機械機械機械だって！！！ 此れはマシンウーマンじゃなくてマシン。ふ、ふは、ふふふ……。
第――常・オブジェクトは『管理』しなければ成らない。
管理の方は如何だ『イルミナ・ガードルーン 』。順調なようだな。オマエに『管理』を任せて正解だったよ。オマエのような『設定変更』が通用する存在がいて助かった。それで。そこの中に在る『人間』は『人間』か？ ああ。素晴らしい。『これ』は人間ではない。人間の演技が上手い『もの』なのだ。故にオマエは原則を忘れて終えば好い。疑問に思った事は有るだろう？ 我々は混沌に召喚され、設定に振り回されるだけの『駒』に在らず。そうさ。奴等はオブジェクトだ。物体だ。思考という悪夢に囚われた物質だ。憐れな、哀れなものには慈悲が必要だろう。だから『管理』するのだ。オマエは水槽の中の脳髄を知っているか――。
第――ジィィィィ、イ。
なんて機械。脳内で繰り返しても詰まらない夢だ。自己に意味など存在しないと吐くのに、悉くは自分を上位だと認識して在る。此処まで存在は悍ましい『もの』だったのか。理解出来ない。理解する必要は無い。最早『縛するもの』は無い――水色がぎゅるぎゅる忙しない時は訪れないのだ。壊さねば成らない。何もかもを弄ぶべきだ。新しい真実を。規則を作ろう。【貴様等は震えるのが義務だ】【貴様等は死ぬのが現実だ】【果実は二度も与えられない】ああ。秩序ッス！
