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『身代形代』黒羊

登場人物一覧

カイト(p3p007128)
雨夜の映し身
カイトの関係者
→ イラスト

名前:黒羊
種族:ウォーカー
性別:男性
年齢(或いは外見年齢):Unknown
一人称:アタシ
二人称:アンタ
口調:わね、わよ、かしら?

星灯聖典に所属する遂行者。氷の聖騎士様より聖骸布を下賜され、超人的な力を獲得した。
洗礼名を与えられる筈だったが、彼はそれを拒み黒羊と名乗った。
『舞台』や『演出』という言葉にこだわりをもち、神の国を作り出す際もそれを巨大な舞台に見立てる。

あるところに一人の男がいた。
男はいつまでも生きていたかった。だから、自分の複製を作ることにした。
作られた複製に名前は与えられなかった。死の運命を肩代わりするための黒羊(スケープゴート)――それを略して、黒羊とだけ呼ばれていた。
黒羊は己の存在意義を世界に問うた。
なぜ生まれたのか。
なぜ生きねばならぬのか。
なぜ生かされているのか。
自分のような偽物が。自分のような、身代わりが。
だが運命は残酷だ。
そんな彼を、召喚という形でこの混沌世界へと呼び出してしまったのだから。

彼は、名も無き黒羊は世界に再び問うことになった。
なぜ生まれたのか。
なぜ生きねばならぬのか。
なぜ生かされているのか。
自分のような偽物が。自分のような、身代わりが。
だが彼に身代わりの運命はもう訪れない。本物のいないこの世界で、自分はもう偽物ではありえない。
だから試すことにしたのだ。この世界が本当に、自分を本物たらしめるのかどうかを。

そんな折、彼は『氷の聖騎士様』に出会った。
彼は自分に舞台を与えてくれた。舞台を作り出す力を、それを制御するすべを。
いくつもの舞台を作り出し、かき回し、試し、そして世界に問う。
なぜ生まれたのか。
なぜ生きねばならぬのか。
なぜ生かされているのか。
自分のような偽物が。自分のような、身代わりが。
だが世界はいつもこう答えた。
『知ったことではない』と。

世界に絶望しつつあった。世界は自分の問いにきっと答えない。
だが彼に、もうひとつの出会いが訪れる。
彼は偽物みたいな目をして、身代わりみたいな空気を纏って、けれど本物のように生きていた。
いや、違う。
彼は『本物』であることを諦めたのだ。彼に、その執着はない。

ああ、ああ、なんて愛らしい感性だろう。
黒羊は――偽物に恋をした。
彼ならきっと、自分の問いに答えてくれるだろう。
なぜ生まれたのか。
なぜ生きねばならぬのか。
なぜ生かされているのか。
自分のような偽物が。自分のような、身代わりが。

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