SS詳細
『博愛聖女』マリーン
登場人物一覧
名前:マリーン
種族:魔種
性別:女性
年齢:20台後半
一人称:私
二人称:あなた
口調:です、ます、でしょうか
特徴:聖女、博愛主義
『氷の聖騎士様』から聖骸布を下賜された遂行者。聖女と呼ばれ、優れたヒーラーとしても知られる。
誰かの特別になりたくて、間違えて、ただの他人になっていた。そんな、からっぽの聖女様。
・出生と献身
天義の寒村に位置するシナモン村の教会に生まれ、ごく普通のシスターとして生活を送ることから人生が始まっている。
そんな彼女が自分が『特別じゃない』と気付いたのは村の権力者の息子に恋をした時だった。
恋は実ったかにみえ、幸せな青い春は流れたかのように見えたが、それは一時だけの夢だった。相手の男は予め決まった婚約者と結婚し、自分は教会のシスターとして祝福する未来が待っていた。
自分は特別じゃなかった。そんな想いは彼女の深い傷となり、誰かの特別になることに執着し始めるようになる。
だがそれは彼女の大きすぎる乾きと癒えぬ傷に、いつまでも献身という名の水を注ぐだけの時間だった。
誰かの特別になるべく献身を重ねた結果、多くの人に感謝され、時に尊敬され、冠位魔種ベアトリーチェ災害を受けた首都やその周辺へのボランティアを続ける中で彼女はいつしか聖女様と呼ばれるようになる。
だがそれは、彼女の求めた特別なんかじゃなかった。
彼女は気付いてしまった。かつて恋した男の妻に、『私の息子があなたのファンなのです』と言われたその時に。
誰かの特別になろうとして、ありふれた他人に成り下がっていたという事実に。
それは彼女に二度目の傷を負わせた。
・反転
誰の特別にもなれないと絶望した彼女はその時、ある呼び声を聞いた。
傲慢なそれは彼女に新たな知見をもたらしてくれたのだ。
『神は全てを平等に愛してくれる』
全てが平等な、誰も特別じゃない世界を作り出せば、自分の傷は消えて無くなるのだと。
彼女は苦しみの中でせめて救われようと手を伸ばし、反転し魔種となることを選んでしまったのだった。
そして特別になりたかった彼女の夢と絶望は、歪んだ形で発露した。
・反転後
反転した後は『氷の聖騎士様』に出会い、聖骸布を下賜されたことで星灯聖典の遂行者となる。
それまで名乗っていたオルトリィ・クロネという名前を捨て、洗礼名マリーンを名乗って。
「神様は私たちを平等に愛してくださいます。
だから『誰かの特別になれなくても』不安に思うことなどないのですよ」