SS詳細
この身は宝飾品となりて
登場人物一覧
- 囲 飛呂の関係者
→ イラスト
名前:ビジュー
種族:晶獣(キレスファルゥ):元人間種
性別:女性
年齢(或いは外見年齢):15歳
一人称:わたくし
二人称:あなた。~さま
口調:~ですわ。~ですわね。~かしら。
特徴:紅結晶の顔と角。赤味が買った白いドレス。
設定:
ラサの宝石商の娘。ジュエリーモチーフの衣装を纏っており、美意識は高い。
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生まれた時から宝石はあふれたものだった。
店だけでなく、裏でもお父さまの好意もあっていくつもの宝石に触れていた。
宝石はそれ自体の美しさもさることながら、それは聞かざる人を彩り、飾り、引き立てる至高のアイテム。
ビジューはそう教えられ、育ってきた。
その考えを彼女が一層強く感じたのは、昨今出回り始めた出回り始めた紅血晶なる宝石だった。
「こんな美しい宝石があるのですわね……」
一目見た時からビジューはその虜となってしまった。
どの宝石もしばらく見ていれば他の宝石に目移りしてしまうが、この紅血晶はずっと……それこそ一日中みても飽きさせない何かがあることをビジューは感じていた。
「お父さま、わたくし、これが欲しいですわ」
最初は渋っていたが、お父さまも根負けしてビジューへと紅血晶を与えてくれた。
ビジューは紅血晶を肌身離さず持ち続け、夜寝る時ですら握りしめていた。
だからこそ、彼女は他の人より数段早くその兆候が……。
徐々に伸びる赤い角。そして、顔が徐々にてかり始める。
最初は何だろうと考えていたが、ある日、顔が完全に硬質化したのを感じ、ほぼ同時に顔の部位が完全に消失した。
人型を保ってこそいたが、それは己が宝飾品だということを強く意識していたからかもしれない。
「主が……女王さまが呼んでいますわ……」
この身は月の王国の主である女王を飾る為に。
ビジューは店にある紅血晶の在庫を全て持ち去り、店から去っていったのだった。
おまけSS『わたくしは宝飾品』
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しばらくして、ビジューが至ったのは常闇の砂漠。
月夜が照らす砂漠の奥にある王宮へと招かれたビジューは、女王に謁見する。
「その身をもって、私に尽くしたいと?」
「はい。わたくしはあなた様の宝飾品《ジュエル》ですわ」
ビジューの顔は完全に紅血晶へと変化していた。
頭に生える角もかなり長くなり、身体も心なしか艶めかしさが増しているようだ。
主を美しく際立たせる為に。
その一心で見つめるビジューが女王も少なからず気に入ったらしい。
「いいわ。きなさい」
「はい、喜んで……」
女王の許しを得て、ビジューはうっとりしながらその手を取るのである。