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郷田 京_第二資料
登場人物一覧
郷田 京――に対する記録。(ギルオス・ホリスによる個人資料)
郷田 京。イレギュラーズの一人である彼女は卓越した技能を宿している。
元世界での経歴が故だろう。空手を基礎とした、優れた体術の使い手。
惚れ惚れする様である。彼女の洗練された動きには。
僕、ギルオス個人としても彼女の行く末がどこにあるのか――興味が尽きない所だ。
彼女であれば達成難度の高い依頼も安心して任せられるのではないだろうか。
……だが時々、彼女の表情には暗い影が降りている気もする。
彼女には闘争か、或いは類する事象に関し、何か秘めた感情があるのではないだろうか。
問いただすべきか。そのままにしておくべきか。
ローレットの情報屋としてか。僕個人としてか。
悩ましい所がある。
判断は現在保留としている。
-----以下、個人メモ(※この部分は破られている)-----
さて。それはそれとして京だが――僕個人としては、なんというか、その、困った所もある。
――距離が近いのだ。いやそれがイヤと言う訳ではない。
イヤと言う訳ではないが、彼女の無防備たるスキンシップは、その、なんと形容すればよいのだろうか……!
この前なんて疲れて寝ていたら、いつの間にか膝枕をしてくれていた。
つい、あの柔らかな感触に熟睡してしまったのは――
いやそうじゃなくて流石に焦った!
しかしあんなにもぐっすりと眠ってしまったのは、我ながら驚いた。
彼女といるとどこか落ち着くのは――どうしてなのだろうか。
心が安らぐ。緊張が解ける。
彼女の眩しい輝きは、僕を照らしてくれる太陽の様だ。
こんなの面と向かっては言えないけれど。
……ああだけど。最近、京と接していると……なんだか『視線』を感じる事がある。
なんだか『誰か』に見られている様な――
いやそんな事はない、と思うのだけど。周囲を見渡しても誰もいないし。
だけど背筋を凍らせる様な寒気が走る事がある。
僕の気のせいなのだろうか?
……いや待てよ。或いは京を狙う、何か不遜な影が潜んでいるのではないだろうか。
それなら大変だ。彼女は実に魅力的な人物なんだ。
そんな彼女であればこそ不遜な輩に狙われる事もあるだろう。
――そうはさせない。
彼女の平穏は僕が守ろう。彼女が一時の安らぎをくれた様に。
京の……ローレットの皆の平穏は必ず守ってみせる。
今度。慎重に、影の存在に対しての調査を進めてみよう。