白いレースの奥

登場人物一覧

「いらっしゃい。ここはモミジーヌの館。迷える子羊たちの安寧と休息の場所」
　柔らかな花の香りがする紅茶が目の前に置かれる。
　エクスマリアはじっとオレンジ色の縦ロールを揺らすモミジーヌ夫人を見つめた。
「あら、そんなに見つめてどうしたの？」
「髪型似てる」
　夫人の縦ロールとエクスマリアの二つのお団子、どちらもクルクルと巻かれている。
「ふふ、確かに似ているわね。親近感が湧いてくるわ」
　こくりと頷いたエクスマリアは持って来たアルバムを開く。
　そこには褐色肌の少女の絵が沢山広がっていた。
「まあ、どれも素敵ね。あなたの肌には白いレースがとてもよく似合ってる」
　特に好きなのは……と夫人が指さしたのはウェディングドレス風の衣装である。
「この繊細なレースは素晴らしいわね。あなたの幼い体やあどけない表情がこの絵を魅力的にしているわ。神秘的な美しさもあって、私はとても好きな絵だわ」
　最初の頃の水着のイラストは幼さを残していてとても可愛いと夫人は微笑む。
「可愛さから次第に美しさへと変わっていく。その変化が見られていいわね。特に髪を切る絵なんかも物語性があって好きよ」
　エクスマリアの魅力は神秘的で美しさを内包した幼き姿なのだろう。