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PC分析表(寒櫻院・史之) ~芳董ver.~

登場人物一覧

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結

 イザベラ様を推し、かわいい妻さんを愛する男。海洋への忠義にあつく、その裏で静かなる刃を研いでいる史之くん。
 今回はその魅力を紐解いていきます。

■パラメータ
 妻さんからの愛   :★★★★★★★…∞
 ペルソナ      :★★★★☆
 イザベラ様しか勝たん!:★★★☆☆

・リア充実一生爆発してくれ!!「妻さんからの愛」
 これはもう分析云々に関わらず表面見ただけで一発で出て来る言葉ですね!(分析とは…)
 ゴールインおめでとうございます。ここから先も特異運命座標には絶望的な壁が多く立ちはだかると思いますが、二人で上手く切り抜けていく事を願っています。夫婦で頑張る姿がもう美味しいので、今後もこっそり見守らせていただきますね!
 お二人がゴールインしてからは、魅力を出すポイントのひとつとして、意識して少し「史之さんらしさ」を崩す場面を作っています。
 崩すといってもキャラ感を完全に壊すのではなく、パートナーの前であれば、普段は家事全般完璧で頼り甲斐のある姿から、ほんのちょっと弱みを見せたり、妻さんが好きで自分の我儘に素直になってみたり。信頼できる相手に対してだからこその「油断」がアクセントになるのかなと、匙加減を考えながらアドリブを入れさせていただいております。最終的に芳董が妻さんに甘いので総合的に甘々で終わってしまうのはご愛敬…!

・一方で本音を隠すのが非情にうまい。「ペルソナ」の裏にある魅力
 史之さんの魅力のうちのひとつとして、ガードが固く本音を隠すのが本当に上手い! という部分があります。
 最初にプレイングを戴いたのが『<物語の娘>ヤマネ先生は眠りたい』だったと思うのですが、プレイングの中で完全に「主人に振り回される苦労性の従者で幼馴染」を演じ切っており、この時は二人が結婚するなんて全く想像もしていませんでした。
「おや?」と思ったのは『<百石物語>ネオ・コーガ隠密戦線』頃ですね。パートナーにべたべたしていたNPCに対して、従者にしてはかなり本気で怒っている風に見えたので、ひょっとして……と当時は結構な驚きがありました。
 そんな史之くんの本音を引き出しきるにはどうしようと悩んだ結果、蒼矢が妻さんに告白するというかなり飛び道具的な手段をとった訳ですが……今も狂気を抱えていて、それを一番近い人に気取られずにいるという部分も含め、表の魅力と裏の魅力が探るほどに出てくる、向き合うほどに魅力的な人物だと思っています。

・「イザベラ様しか勝たん!」海洋への献身
 設定を見た時に二度見した後、三度見くらいした記憶があります。
 何でもそつなくこなす事ができ、妻さんの我儘にもちょっとやそっとの事じゃ動じない史之くんがイザベラ様を激推ししている……!?
 ステータスシートをぶっちぎる勢いで伸びている海洋のパラメータに、涙ぐましいほどの献身が伺えます。
 海洋の依頼さえ用意ができれば史之くんが駆け付けてくれるので、ほぼ史之くん宛みたいなシナリオを投下しても安心という点では、非情に(カジュアルノベルにピック機能はないけど)ピックしやすいという部分は、NMだけでなくGMさんやSDさんにも分かりやすい魅力のひとつではないでしょうか。

■占いで見る史之君の運命
 ワンカード・オラクル(簡単な占い)で、今月から半年の史之君と妻さんの恋愛について調べてみました。結果は『月』の逆位置。

 タロットで逆位置というと、一見ネガティブに見えがちですが、月は正位置の方が悪いキーワードが多いため、逆位置はよい結果だったと言えるでしょう。
 文字通りの「明るい兆し」があり、奥さんとの事で引っかかっていた事を解消するには非常によい時期。もやもやしていても問題が分からない時は不安の正体に気づきやすく、夫婦仲が安定しやすいです。いろんな事をして、妻さんとの仲を深めていく事をお勧めします。

 もし自分の中で抱えている事があれば、本音で語り合って歩み寄る事もできそうです。
 注意点を強いて挙げるなら、秘密や隠し事が露呈しやすい期間でもあります。何かの拍子に、心の中に秘める側面を妻さんにバレてしまう可能性も。
 ただ、妻さんの占い結果がとても良いものでしたので、互いに試練に立ち向かう意思があればハッピーエンドを迎える事ができるとも出ています。

 史之くんの分析、いかがでしたでしょうか。引き続き、お二人の旅路に花が添えられれば幸いです。

  • PC分析表(寒櫻院・史之) ~芳董ver.~完了
  • NM名芳董
  • 種別SS/IF
  • 納品日2023年04月07日
  • ・寒櫻院・史之(p3p002233
    ※ おまけSS『《マリスの棺》混沌捜査官 寒櫻院・史之』付き

おまけSS『《マリスの棺》混沌捜査官 寒櫻院・史之』


 時計はすでに23時を示している。鳴り止まないタイピングの音。
 液晶画面から反射する光が青年の顔を青白く照らしているが、肌色が悪い理由はそれだけではない様だ。

「おーい、また残業かい? まったく新婚とは思えない働きぶりだねぇ」

 瞬きの間に、液晶画面と自分との間に割って入るようにマグカップが挟み込まれる。湯気の立つ琥珀色の液体。
が変わってまず一番びっくりしたのは、部屋に置いてあるインスタントコーヒーの不味さだった。酸味どころか苦みすら薄い上に、泥のように喉にからみつく。不快感で目が覚めるので、珈琲で眠気を飛ばすという目的には合致するのだが。
 ただし、ひとつだけ例外がある。いま目の前でニコニコしている男――神郷 蒼矢が淹れると、そのクソマズ珈琲が洗練された苦みの美味しい一杯に早変わりするのだ。

「俺の残業は計画的な物だから。蒼矢先輩みたいに感覚で事件につっこんで報告書の山を積み上げたりしてる訳じゃないし」
「だよねー! さっすが新進気鋭の敏腕刑事 寒櫻院・史之くん……、……こらぁ先輩にはリスペクト!!」
「はいはい。蒼矢先輩は市民のために残業して偉いですね」

 未だ不満そうに頬を膨らむ上司に、史之は半眼で面倒くさそうに飴玉を握らせてやる。

――大帝国『混沌』 特務警察 境界犯罪対策本部。通称「対キ」。

 混沌国による厳選な審査で選ばれた「特異運命座標」と、その下支えとなる国家資格「境界案内人」で構成されたこの部署は、とにかく変人が多い。
 特に目の前で飴玉をころころ舐めている男は異端だ。特異運命座標と境界案内人はツーマンセルで活動せよと上からの指示で無理やり組まされたものの、
 初日から盛大に寝坊して遅刻して来るわ、対キと別部署で取り扱うべき事件も「目の前の人が困ってるから」とちょっかいを出すトラブルメーカー。
 もともと海洋支部の捜査一課でバリバリ仕事をしていたエリート刑事の史之でも手にあまるほどだ。

(人員不足で困ってるとかで引き抜かれたのまでは良かったけど、仕事に加えておじさんのお守りまでやる事になるなんて、聞いてない……。
 やっぱり海洋支部から出るべきじゃなかったかな。イザベラ市長の推し活する時間なくなっちゃったし)

 明日は確か、来期の市議選に向けて海洋区内で演説すると聞いている。様子を見に行く事は職務怠慢じゃない。有事の際に守るためだ。要人が守れて推しを補充できる。まさに一石二鳥という訳だ。それにしても近年の市長は美を極めている。選挙ポスターでも映えを意識しはじめたというか、色気が――

 ピロン♪ と響いた電子音に現実へと引き戻された。音の主は蒼矢のパソコンのようで、彼が慌てて駆け寄る姿を視界に入れる。

「こんな時間にどこからの連絡?」
「わからない。匿名で……待って、動画が添付されてる!」

 液晶いっぱいに映し出される監視カメラの録画データ。そこに映っているのは、猿ぐつわを噛まされた男女がいた。
 見まごう筈がない。そのうちの一人は、触覚の様な赤いアホ毛の――


「相変わらず射撃だけは化け物みたいに正確だね」
「そーぉ? わりと適当だけど」

 歩けばすぐトラブルに当たる厄介な蒼矢と、優秀な史之がバディを組まされた理由は『面倒を見る』だけじゃない。
 遠方から小さな鍵を寸分狂わず狙い撃つ銃の腕前。蒼矢は実践となると途端に頼もしいパートナーになる。

「おい、今なんか発砲音しなかったか?」
「面倒くせぇな。一応様子を……ぐあっ!」

 様子を見に現れたスーツの男達は明らかにカタギのそれとは空気が違う。史之は素早く死角へまわり、刀の峰で男達を打ちすえた。
 後ろ手にして手錠をかけつつ、倉庫から見えない位置へと引きずっていく。

「監視カメラの画像から場所を特定してみたけど、アタリだったみたいだねぇ。人質さんは無事かな」
「調査部の黄沙羅さんがすぐに応答してくれて助かった。すぐに中へ突入しよう」
「いいけど史之、ちょっと焦りすぎじゃない? 罠かもしれない訳だし、ここは慎重に……」
「時間が惜しい。頼むよ、蒼矢先輩」

 人質に取られた人物。その姿を見て心臓が凍りかけた。

『助けて、しーちゃん』

 音声データがなくとも、唇の動きでわかる。大切な人が呼んでいる――急ぐ理由は、それだけで十分だ。

 迫りくる悪漢達を鬼神の如く薙ぎ払い、しらみつぶしに部屋という部屋を開放していく。

「史之、あっちの方の部屋、なんかシューッて音がしない?」
(ちくしょう、やけに大人しく捕まってると思ったら毒ガスの類か……!)

 一刻も早くたどり着かねば。焦る思いと裏腹に、男達が執拗に道をふさぐ。

「蒼矢先輩、鍵の撃ち恐しを頼みます」
「オッケー、射線の確保は頼んだよ!」

 史之が前に出て斬り払い、蒼矢が残りを撃ち倒す。誤射を恐れず互いを信じる。普段は仲が悪い凸凹コンビも、息を合わせるべき時だけは、無類の力を発揮する――

「ぷはっ! はぁ…っ!」

 毒ガスの充満する部屋から人質を連れ出す頃には流石の二人も満身創痍。倉庫を出てすぐ身を隠せる場所を探し、息が整うまで動きを止める。

「無事…っぽいけど、この人たち病院に連れていった方がいいかなぁ?」
「いや。医療の心得があるロベリアさんを呼んで、の拠点に戻してあげよう。僕は陰から二人を見守るようにする」
「はぁ!?」

 面倒そうな提案に思わず蒼矢が目を丸くした。
 深夜に届いた謎のメール。その送り主は人質を救うために事を起こしたのかもしれないが、信用できるとは限らない。
 二人を保護せず泳がせて、黒幕を探るというのだから――史之は本気だ。

「いつも変な事件に首つっこむなって、口すっぱいほど言う癖に」
「悪かったね。今回は別なんだよ。別に蒼矢先輩は付き合わなくていいから。もうかなり遅い時間だし――」
「あのねぇ」

 人質二人を無理やり抱えようとする史之を制し、蒼矢が男の方を担ぎ上げる。

「ちゃんと捜査では頼ってよ。僕達ほら、バディじゃない」
「そういうセリフは、普段しっかりする様にしてから言ってくださいよ」
「いやぁ~、史之くん手厳しーっ!」

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