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おくりもの
おくりもの
登場人物一覧
メイメイはその日、バッグに裁縫道具を詰め込んで煌浄殿へ訪れた。
一の鳥居の前で待って居た廻と一緒に二ノ社の社務所へと向かう。
「わざわざすみません。呼び出してしまって」
「ふふ、大丈夫ですよ……廻さまは煌浄殿から出られません、から」
メイメイを呼び出した理由は裁縫を教えて欲しかったからなのだ。
お世話になっている明煌や呪物、それに寂しがっているであろう暁月に贈りたい。
「メイメイさんなら編み物とか裁縫得意かなと思って」
「はい……刺繍もできますよ」
朗らかに微笑むメイメイは牧畜や毛織物、刺繍細工を生業としている一族に産まれた。
だから、必然と編み物や裁縫も得意なのだ。
「何を、作りましょうか?」
「明煌さんには髪を纏めるシュシュとか」
「シュシュ……」
メイメイは愛らしいシュシュを着けている明煌を想像してくすりと微笑む。
「身体洗うとき髪が邪魔で大変そうだったので、サッと纏められるヤツならいいかなと思って。既製品を買うと安いですけど、自分が作ったものを使ってくれると何だか嬉しいじゃないですか」
「はい……」
その気持ちはメイメイにも覚えがある。大切な人への贈り物は特別であってほしい。
「じゃあまずは色を決めましょうか」
「明煌さんの色……」
大切な人を想い何かを選ぶ時、人は優しい表情になるのだとメイメイは廻を見つめ微笑んだ。