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ようこそモミジーヌの館へ
ようこそモミジーヌの館へ
登場人物一覧
「いらっしゃい。ここはモミジーヌの館。迷える子羊たちの安寧と休息の場所」
梅の香りを纏わせた茶菓子と緑茶が絵里の前に置かれる。
今は三月初旬、梅が見頃である。
絵里が部屋の中を見渡すと、花瓶に梅の枝が入れられ紅い小さな花が咲いていた。
「おお~」
感心したように愛らしい声を上げる絵里は目の前のモミジーヌ夫人へ視線を上げる。
今日はどんな話しをしてくれるのだろうか。
「絵里ちゃんはお友達が沢山いると言っていたけれど、どんな子が居るのかしら?」
「いっぱいです。皆お話してくれていつもたのしいのです!」
満面の笑みを浮かべる絵里にモミジーヌ夫人も同じように微笑んだ。
彼女の瞳は青と金。宝石のように美しい色彩の瞳である。
「その瞳には、お友達が沢山映っているのでしょうね。綺麗だわ……」
「そうですか?」
「ええ、コレクションに加えたいぐらいよ」
モミジーヌ夫人の言葉に絵里はこてりと首を傾げた。
「何のコレクションですか?」
「ふふ……冗談よ。絵里ちゃん」
お友達になる事だろうかと、絵里は笑顔で考える。
確かにお友達になればずっと一緒に居られると絵里は納得したようにこくこくと頷いた。
「じゃあ、モミジーヌ夫人もお友達ですね」
「ええ、そうね。私と貴女はお友達よ」
春の兆しが芽吹く中、朗らかに二人は笑い合った。