SS詳細
自分が望むものを癒す、彼は光の白子猫
登場人物一覧
「僕は癒す。僕自身が望むもの、全てを癒す。
もう誰も倒れさせない。僕の近くで、目の前で、誰も……
白く淡く、広がる光ですべてを癒して――死なせない。
生きて。死んだらもう終わりだから……二度と、会えないかもしれないから。
生きて勝って、生きて帰って、また平穏に戻れるように。
可愛い猫さんを愛でられるように。大好きな人達に、会えるように……
僕は、僕が望むもの全てを癒します。猫さんみたいに。みゃー」
おまけSS『『光の白子猫』』
祝音・猫乃見・来探という特異運命座標は、
元の世界において、特定条件を満たす人間が覚醒する超存在『けもの』……彼はある事情からそうなりかかっていたのだ。
超存在『けもの』としての通称は『光の白子猫』。文字通り、光を放つ光である白い子猫。
完全にそうなっていたなら、淡い光による癒し・浄化(強制成仏ともいう)によって、元の世界全ての命を浄化してしまっていただろう。自分自身も含めて。
しかしそうはならなかった。光で浄化してしまったのは彼の周囲の一定エリア……おおよそ
この浄化を(結果として)逃れたのは、淡い光に包まれる前に別の世界か混沌世界に召喚された存在のみ。
人間から『けもの』になりかけの途中で特異運命座標に覚醒し、混沌世界に召喚された彼は
セーブ中のゲーム機を乱暴に引っこ抜いたがごとく、『けもの』への覚醒・変化が中断されてしまったのだ。
元世界の彼を知る者は、彼の
レベルを上げ強くなり癒しの力を高め続ける祝音は、本来の変化……『光の白子猫』に近づきつつあるともいえる。
「白く淡く、広がる光ですべてを癒して――」
それは元世界の大規模人災で両親と姉達を喪った彼が泣きながら望んだ『すべてを癒したい』という思いの、しかし