SS詳細
『大作』に臨む『傑作』
登場人物一覧
名前:『パルマリウス』
一人称:わたし
二人称:あなた
口調:~です、ます、でしょう、ですか?
特徴:【いたいけ】【無表情】【長髪】【ぼうっとしている】【頭脳明晰】【無口】
設定:
ニル達を生み出す切っ掛けにもなった、然る組織による行い――通称『マグナム・オプス』の進行を取り仕切る女性。種族は秘宝種。
その外見は童女のそれであり、足元よりもさらに長い髪を整えもせず引きずっている。また言葉少なでもあり、組織の外部の人間との会話を極力避ける傾向にある。
……何も知らぬ人間が見れば少し奇異に映る人見知りの少女ではあるが、『パルマリウス』と自らが冠する呼称同様のように、その内実は『傑物』、乃至『獲得した者』と呼ぶに相応しい性能を誇っている。
組織内に於いてトップとされる彼女の役割は「全て」であり、究極的には彼女を除いた組織の構成員は彼女の計画を円滑的に進めるための手足のような存在にすぎない。
現時点においても複数進行している実験の全ての進捗、それに必要とされる道具(これには実験台となる奴隷も含まれる)や人員の手配、またそうした進行状況に於ける大小すべての障害を排除するための対策など、彼女はその全てを網羅しており、少なくとも立案や計画に於いて彼女を上回る人材は組織内には存在しない。
常人であれば間違いなく手が回らなくなるほどのプランニングを個人で成し得るその理由は、彼女個人が有する能力に起因する。
『パルマリウスの器』と呼ばれるギフト「を含めた」彼女の性質は、即ち蓄積と統合、この二つに尽きる。
彼女が生まれてから現在に至るまでに得た知識と技術は常に維持され、本人の任意によって取捨選択することができるという能力。それを一言だけで理解出来る者はそう多くはないだろう。
例に挙げれば、彼女は例え100年前に読んだ書物の内容でさえも一字たりとて逃さず諳んじることができるし、1000年前に習得した剣技でさえも何の遜色もなく扱うことができる。
……これが「記憶力がいい」というだけの話なら良かったのだが、彼女はこうして得た記憶のすべてを日々統合し、既存の知識や技術とは別系統の方向性を持った体系を生み出し続けている。
余人の知らぬ知識と技術を時と共に常に生み出し、またそれを試行することに何ら躊躇のない怪物。それが己の製造者から『パルマリウス』と名付けられた所以である。
おまけSS
わたしは毎日、夢を見ます。
安楽椅子に座って、本を読むはかせ。何かをノートに書くはかせ。それをじっと見つめるわたしを、微笑みながら手招きしてくれるはかせ。
――「世界を救う人たちの役に立ちたいんだ」。
はかせは何時もそう言っていました。特異運命座標じゃなくても、ほんの少しだけ、世界を救うチカラをあげられる、そんな方法を見つけたいのだと。
どこかの遺跡で、へんてこな単語だけ名前につけられて、眠りについていたわたしを起こしてくれたはかせ。
いつか、わたしにぴったりの、素敵な名前を付けてあげると言ってくれたはかせ。
……何処かからやって来た魔種に、嘲笑いながら殺されてしまった、はかせ。
はかせ。
はかせの願いは、わたしが代わりに果たすよ。
どんな手段を使っても。どんな方法を選んででも。
はかせを殺した、あんな気持ち悪い人たちを、この世界から一刻も早く失くすために。
だから、はかせ。
それが叶ったら。もし、わたしもはかせの元に行けたなら。
――――――その時は、今度こそわたしのための名前を、つけてくれる?