PandoraPartyProject

SS詳細

傾国の海月

登場人物一覧

ユー・コンレイ(p3p010183)
雷龍
ユー・コンレイの関係者
→ イラスト

名前:『花魚娘娘』姚・依依(ヤオ・イーイー)
種族:旅人
性別:女性
年齢(或いは外見年齢):外見10代後半。
一人称:わらわ
二人称:そなた、~殿(対コンレイも同じく)
口調:~じゃよぅ、~かのぅ?、~じゃなぁ
特徴:口調だけなら眠そうな間延びロリババ。しかし声と態度が超絶甘ったるいため周りが放っておけない。傾国のめんどくさがり。
設定:
『再現性九龍城』に住まうアイドル的娘娘。
正体は五百年毒の海を漂って人の姿を得た海月。
自分が可愛いことを利用して、いろんな人に『お願い』をしながら日々を過ごしている。
彼女に魅了された人々ファンが彼女を守り世話をする形で一派閥「花魚幇」を組織している。
ちょっと忘れっぽいのは計算の内。
数百年レベルで心の底からの感動に出会えていない。出会いたいとも思わない。喜ぶのとか疲れるんじゃよぅ。
たまに戯れでえげつない依頼を出したりする。
それに応えて彼女の気を引こうとする者は少なくないが、多くはその後が杳として知れない。
九龍城の『内側』を知るとも言われているが、真偽は謎。

ギフト:『渇きの海』
海は常に満たされていなければいけない。
彼女が『お願い』を口にすると、それを聞いた人間は彼女に協力したくなる(個人差あり)

「わらわ、菓子が欲しいかもじゃ」
「コンレイ殿、コンレイ殿や。もう行ってしまうのか……?」
「好きで……大好きで……うたもなみだも朽ち果てて。もう、疲れてしまったんじゃよぅ」

おまけSS『きっと最初で最後の』

●昨日と同じ今日
 今日もほどほどに治安の悪い再現性九龍城。
「わらわのために争うのはいやじゃよぅ~」
 鈴の鳴るような心地良い声。しかし、どこか棒読みの台詞では今この時は届かない。
「先に娘娘からお願い受けたのはこっちなんだが!?」
「娘娘がテメェみていなロクデナシにもの頼むかアァン!?」
「すっぞコラァテメエ!?」
 依依からの「花が欲しい」というお願いをどちらが受けたのか。そんな他愛もないことで、男達はそれぞれの取り巻きも引き連れての喧嘩に発展しているのである。
 ちなみに依依本人はよく思い出せないとのこと。というか、本人にとってはどっちでもいい。
 何なら花も別にどうでもいい。
 そんな依依を誰も責めない。依依は存在するだけで何もかもが可愛いからだ。
 ここまでが彼女を取り巻く日常である。

 *

 結局、争いは何も解決しなかった。それぞれが用意したという花も、喧嘩の間にすっかり萎れてしまっていた。
 また次の機会に、今度はもっと立派な花を用意してみせる――そう言って男達が勝手に解散したのがつい先程だ。

(なんでもいい……どうでもいい……)
 元は海月だった依依がこの姿になって、随分な年月になる。
 初めはどこぞの飯屋に看板娘として拾われたような気がする。その後は花屋だったか。マフィアに浚われ囲われていた時期もあった。浚われたマフィアも一つ二つではない。
 陸に上がっても海月のように寄る辺なく、流れ、流れて――今は『娘娘』などと祀り上げられている始末だ。数百年変わらず美しい姿を保っている、あれは仙女に違いない、などと好き勝手。
 今は頼まずとも衣食住や娯楽、その他の様々な情報も勝手に用意してくれる人々がいる。特定の誰かに囲われている……というわけでもないので、恐らく自分が集団の中心なのかもしれない。
 その辺りよくわかっていないのだが、まあどうでもいい。楽ではあるので。
 ただ――あまりに変化も障害も無さ過ぎて、飽きている面は否めない。かと言って、変化を望みもしないのだが。
 変わることは、身も心も疲れるのだ。面倒なのだ。海月から人になった時が、まさにそうだった。
(あんな激しい気持ちは、あれきりで十分)
 よろこびも、かなしみも。いかりも、こうかいも。いとしさもこいしさも。一千年分を味わった。
 もう、疲れたくない。傷付きたくない。
(……んー?)
 表が騒がしい。また自分を巡って喧嘩でも始まったのだろうか。面倒な。
 適当に無理難題を押し付けて、どこへなりとんでもらおう。

「ねえ……わらわ、この世で一番かわいい生き物、見てみたいのじゃよぅ。
 わらわのお願い……叶えてくれるかのぅ?」

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