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徘徊さん
登場人物一覧
- 古木・文の関係者
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名前:徘徊さん
種族:悪性怪異 夜妖<ヨル>
特徴:再現性東京202X希望ヶ浜地区に存在している噂の一種。
設定:
さて、怪談の話しを致しましょうか。ええ、ええ、葛籠 うつしよがお相手致しましょう。
どうぞ、聞いていって下さいましな。
徘徊さん、という名前と噂は聞いたことありますやろうか?
徘徊さんは夜に一人で歩いていると後ろからぺたぺたと足音を立てて着いてくるらしいんですわ。
これは聞いた話ですよ。当時女子大生だったAさんがね、暗い住宅街を一人で歩いてたんですって。もう終電も終った時間。空気がひんやりしてましたわ。
そんな道をAさんは慌てて歩いて行く。いやだなあ、君が悪いなあなんてねえ。
すると、後ろからぺたぺた、と足音が聞こえてくる。不審者か、それとも。Aさんは振り向こうとしたらしいんですが唐突に嫌な感じがして無視して走り出したらしいですわ。
そしたらねえ、足音が着いてくる。ぺたぺた、足音を立てて『重なってくる』
足音まで完璧に揃うのだから、これは人間じゃあないとAさんは慌てて近くのコンビニに入りました。
リズミカルな音楽がして、コンビニの入店ミュージックが安心させてくれます。よかったとため息を吐いてから何となく軽食を購入したんですって。
ええ、不審者なら諦めるだろうという時間をちょっとだけ稼いでね。
店から出る前に硝子張りのそこから外をそっと覗いたんですわ。……するとね、居たんですよ。
まるで大輪の花のようなものを持った何かがそこで待ってたんですね。Aさんは思わず驚いて店を出るのを少しばかり遅らせました。
後から入店し、直ぐに煙草を買って出て行った男の人が居たんですが、『それ』は男の人に着いていきました。
Aさんは何が起るんだろうかと追掛けたんですね。
そうするとね、男の人はくるっと振り返って『それ』を見たんだそうです。『それ』はいきなり笑い始め――頭から――……
それから? それからの話しは分かりませんなあ。
話してくれた人がそれ以上は教えて呉れなかったんですもんねえ。
ああ、知っていますか。徘徊さんはね、外だけじゃあないんですよ。丁度こんな暗いサークル棟なんかでも――……ほら、ね?