SS詳細
荒御鋒
登場人物一覧
名前:『陰陽師』ツイナ
種族:鬼人種
性別:不明
年齢:unknown(外見年齢30代半ば)
一人称:私
二人称:お前、貴殿
口調:だ、だろう、である
特徴:『陰陽師』となのる旅の者、和の装束に身を包む
設定:
ツイナと名乗る鬼人種(獄人)。特徴的な角を隠し、豊穣各地を歩き回っている。
荒御鋒・陵鳴にとっては眠っている間に死したと人伝に聞いた存在ではあるが現実には行方知らずとなっている。
陵鳴の生まれ故郷である御山は『御峯の山』と呼ばれており、豊穣でも旧くから存在する集落と共に信仰の中心になっていた。
陰陽師は御峯の山へと訪れその地より取られた鋼により矛を打った。その矛を駆使し、儀式を行なう事で地の安寧を願ったのだ。
だが、陰陽師は人に手を貸すが人を好むことはない。何故ならば彼は獄人であるからだ。獄人は豊穣では差別の対象であった。
即ち、獄人でありながら彼は『鬼(獄人)を追う猟犬』を用意したのである。
長らくの差別の下で陰陽師はそれでも尚も、人のために力を行使した。誰も彼を獄人であるとは疑わず、高天京よりやってきた素晴らしき八百万だと考えた。
陰陽師はこの地に庇護を与える代わりに定住し、不自由ない地位を得たかったようだが、在る時、人知れず去って行ったという。
その正体や古くから八扇に勤め上げる『畝傍家』の産まれである。母は獄人の使用人であり貴族の畝傍家からすると不義の子でもあった。
畝傍・終名(うねび・ついな)と名を付けられた青年は豊穣では罪人の檻として使用される自凝島の門番でもあった。
獄人としての特徴的な角を隠し、自身を八百万であると身分を偽り旅へと訪れた。
その際にツイナが出会った『矛』――精霊種こそが陵鳴なのである。鋼の精霊種であるその人に語ったのは信仰である。
生まれ落ちた理由は即ち、『御峯の山』の鋼より出でた精霊に混沌泰平の地たる『御峯の山』で行なうべき鬼遣の儀を執り行わす為であった。
ツイナは陵鳴には語ることはない。だが、時の帝の命により訪れたという陰陽師の言葉は民草にはよく響いた。
彼がこの地を去ったのは畝傍家のお勤めに戻っただけに過ぎない。半ば家を捨てると同然の動きをしながらも結局は勤めを捨てきれなかったのである。
……今、彼が何処に居るのかを陵鳴は知らず、死したとさえ言われたツイナの行く先が交わる事があらば平穏は崩れさるであろう。