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遂行者、グウェナエル
登場人物一覧
「彼らが教えてくれた。
この歴史は間違っていると。
そうだとも。
あの魔女が、世界を救うものだと、世界が選んだのならば――。
そんな世界は、間違っているんだ。
そうだろう、マルセル」
名前:グウェナエル・クーベルタン
種族:魔種(元人間種)
性別:男性
年齢(或いは外見年齢):三十代後半
一人称:私
二人称:きみ、あなた、(マリエッタに対してのみ)魔女
口調:だ、だろう、だな等。柔らかい男性口調。
特徴:白き衣の遂行者。正しき復讐の権利者。
設定:
現天義にあだなす謎の集団、『遂行者』が一人である。特に仮面の遂行者『サマエル』に従うようで、彼のサポートなどを行う姿が目撃されている。
その正体は、魔種である。そして、【死血の魔女】マリエッタ・エーレインに己が娘を殺された被害者でもあった。
それは、いつかの昔。娘であるマルセルが14歳になった誕生日に、マルセルは突如として姿をくらませた。決死の捜索の末に発見されたマルセルは、あまりにも恐ろしい死にざまを見せていた。全身を赤に染め、その血を何者かに利用された形跡があった。若き、乙女の血。それを採取するために殺されたことは、明らかであった――。
必死の捜査によって、下手人は【死血の魔女】と呼ばれた『マリエッタ』であることが導き出された。彼らは魔女に挑み、そして、敗北した。
グウェナエルの薄れゆく意識のうちに残ったのは、残酷な笑みを浮かべる魔女の姿。
そして、「あなたの娘など覚えていないわ。興味もないもの」という、嘲笑めいた言葉であった。
辛くも生き延びたグウェナエルは、失意のままに余生を過ごした。愛する娘を追うように、妻は病に倒れた。グウェナエルの家庭は崩壊した。再建する気力もなかった。
そんな絶望の中で、グウェナエルは世界の残酷な選別を目の当たりにする。
世界を救うイレギュラーズとして、あの魔女が活動している姿を。
ここにきて彼は壊れた。すべての罪を覆い隠し、あの魔女は救世主として今も生きている。許されるはずがなかった。絶望のうちにあった彼の心に、活力の炎が燃え上がった。復讐心という名の炎。そして彼は魔に堕ちた。
前述したとおり、彼は『正しき歴史を取り戻す』ことを是とする遂行者たちの一員となった。
正しき歴史。
それは、あの魔女が正しき裁きを受け、磔刑のもとに死を迎える世界に間違いないのだ。