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おとうさま

登場人物一覧

ニエ(p3p010945)
羊の仔
ニエの関係者
→ イラスト

名前:レミ・ル・コント
種族:人間種
性別:男性
年齢:30代
一人称:私
二人称:君、~さん、ニエ
口調:~だろう、だろうね、なのかな?
特徴:盲目、身長180cm、物静か、厭世家
設定:
 レミはかつて、海洋で商売をしていた。
 父の代に築かれた貿易を主とする会社はレミの代で大きく成長し、いくつもの商船を持つこととなった。
 信頼できる部下に恵まれ、そして最愛の妻との間には可愛い男児をもうけた。
 レミの人生は、全てが順調だった。可愛い我が子の成長を美しい妻と喜び合い、子供の賢さは「我が商会も安泰ですね」等と部下たちに褒められるほどだった。
 ――全てが順調だった。それがいけなかったのかもしれない。

 息子が九歳の誕生日の祝いに、「父様の船に乗せてください」とねだった。
 仕事で暫く会えなくとも、我が侭らしい我が侭も言わぬ、良い子だった。だからレミは、「折角だから家族旅行をしよう」と妻に提案した。寂しい思いをさせている妻子と、商売のついでに異国の地へと行こう、と。妻も息子も喜び、特に荷造りの際の息子の姿などは鮮明に心の奥に焼き付いた。
 船旅は順調だった。
 しかし――悲劇は訪れた。
 嵐に見舞われ、船は座礁し、愛しい妻子と有能な部下たちは海の底へと消えたのだった。

 運良く浜まで流れ着いたレミも、視力を失っていた。
 顔にも身体にも、いたるところに船の破片でついた傷がある。
 包帯だらけの姿で病院で目覚めたレミは嘆いた。
 海神よ、何故ともに沈めてくれなかったのか――。

 世界を呪った。
 けれども呪ったところで妻子も部下も帰ってこない。
 子守唄であった波の音は心を乱す音となり、会社を売り払い、海から遠い地へと移り住んだ。
 一生働かずとも生きていける財はある。されども不自由な身であったことから、信頼できる知人の紹介で奴隷をひとり買うことにした。雇うことも考えたが、目が見えぬ身。相手の容姿も解らず、不正も正せないからだ。
 買った子は、ニエと名乗った。
 息子の――ノエルに似た名であった。

 ――これは、運命かもしれない。
 神がこの出会いを授けてくださったのだ。

 レミはニエに『養父様』と呼ばせ、我が子のように接した。
 けれどニエに血の繋がりはない。繋がっていなければ、いずれ自分の元を離れてしまうだろう。
 考えたレミはニエに血を飲ませることにした。
 こうする事で血の繋がりを得られるのだと、レミは安堵したのだ。

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