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おとうさま
登場人物一覧
- ニエの関係者
→ イラスト
名前:レミ・ル・コント
種族:人間種
性別:男性
年齢:30代
一人称:私
二人称:君、~さん、ニエ
口調:~だろう、だろうね、なのかな?
特徴:盲目、身長180cm、物静か、厭世家
設定:
レミはかつて、海洋で商売をしていた。
父の代に築かれた貿易を主とする会社はレミの代で大きく成長し、いくつもの商船を持つこととなった。
信頼できる部下に恵まれ、そして最愛の妻との間には可愛い男児をもうけた。
レミの人生は、全てが順調だった。可愛い我が子の成長を美しい妻と喜び合い、子供の賢さは「我が商会も安泰ですね」等と部下たちに褒められるほどだった。
――全てが順調だった。それがいけなかったのかもしれない。
息子が九歳の誕生日の祝いに、「父様の船に乗せてください」とねだった。
仕事で暫く会えなくとも、我が侭らしい我が侭も言わぬ、良い子だった。だからレミは、「折角だから家族旅行をしよう」と妻に提案した。寂しい思いをさせている妻子と、商売のついでに異国の地へと行こう、と。妻も息子も喜び、特に荷造りの際の息子の姿などは鮮明に心の奥に焼き付いた。
船旅は順調だった。
しかし――悲劇は訪れた。
嵐に見舞われ、船は座礁し、愛しい妻子と有能な部下たちは海の底へと消えたのだった。
運良く浜まで流れ着いたレミも、視力を失っていた。
顔にも身体にも、いたるところに船の破片でついた傷がある。
包帯だらけの姿で病院で目覚めたレミは嘆いた。
海神よ、何故ともに沈めてくれなかったのか――。
世界を呪った。
けれども呪ったところで妻子も部下も帰ってこない。
子守唄であった波の音は心を乱す音となり、会社を売り払い、海から遠い地へと移り住んだ。
一生働かずとも生きていける財はある。されども不自由な身であったことから、信頼できる知人の紹介で奴隷をひとり買うことにした。雇うことも考えたが、目が見えぬ身。相手の容姿も解らず、不正も正せないからだ。
買った子は、ニエと名乗った。
息子の――ノエルに似た名であった。
――これは、運命かもしれない。
神がこの出会いを授けてくださったのだ。
レミはニエに『養父様』と呼ばせ、我が子のように接した。
けれどニエに血の繋がりはない。繋がっていなければ、いずれ自分の元を離れてしまうだろう。
考えたレミはニエに血を飲ませることにした。
こうする事で血の繋がりを得られるのだと、レミは安堵したのだ。