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なくなってしまったひと
登場人物一覧
- 柊木 涼花の関係者
→ イラスト
名前:柊木・涼花
種族:人間種(推定)
性別:女性
年齢(或いは外見年齢):22
一人称:『無し』
二人称:『無し』
口調:『無し』
特徴:
『ギフト(推定):彼の者に非ず』
「柊木 涼花 (p3p010038)」と異なる身体的特徴であることを強制される。髪や瞳等の体色に始まり、体型や身長など、傍目から見てもすぐに「彼女とは違う」と分かる程度には差異を求められ続ける。
設定:
記憶を喪う以前の『柊木 涼花』の幼馴染にして親友――だった存在。
現在に於いて彼女は混沌の各国に頻繁に姿を現しては何処かへと消えていく幽鬼のような存在に成り果てている。
元は良き友人であった彼女ら二人は、しかしある日、人さらいたちによってその身を売り飛ばされた過去を持つ。
無論、本来再現性東京は練達の中でも殊に治安のよい場所として知られてはいるが、それでも例外はある。夜妖による被害も絶えないこの地にて、一種の「火事場泥棒」として悪事を働く人間も少数ながら存在はしているのだ。
結果として、その身柄を抑えられた涼花たちではあるが……両者がその後に辿った運命は大きく異なる。
売り飛ばされる直前に特異運命座標として空中庭園に召喚され、寸でのところで自由を取り戻した『涼花』に対し、涼花はそのまま心無い主に引き取られ、凄惨な運命を辿ることとなったのだ。
――それでも、涼花は生き延びた。
尊厳を踏みにじられ、生命を脅かされながらも。もう一度だけ故郷に帰ることを願って、只管に耐え続けた果てに。
自らの「飼い主」を欺き、必死の思いで住処から逃げ出し。日銭を稼ぎながら一日、また一日と、少しずつ故郷へ歩を進めながら。
そうして、漸く辿り着いた再現性東京に於いて……涼花の居場所は、既に無くなっていたのだ。
其処には、『涼花』が居た。
自分の名を騙り、自分の愛した音楽を奏で、特異運命座標として多くの人の羨望と賞賛に囲まれる、嘗ての親友の姿が。
……「奪われたのだ」と。
『涼花』がその在り様となった本来の理由――亡き親友の想いを受け継ぐため――を知らなかった彼女にとって、『涼花』はその時から、人さらいから単身逃げ果し、軈て自らの存在全てを奪った簒奪者としか映らなくなった。
涼花は、その『涼花』の姿を知った後、静かに故郷を離れ、一人で生きていくことを決意した。
奪われた音楽を、声を。二度と自らが奏でるまいと、その声帯を自ら切り捨てながら。
おまけSS
注意点として、涼花は『涼花』に対する復讐を望んではいない。
正確には、「そう在れるほどの気力を有してはいない」と言うべきか。自らの存在を奪われ、誰でもない存在となった(正確には「そのように思い込んでいる」だが)涼花が望むことは、「自らを裏切った嘗ての親友」である『涼花』にもう二度と関わらないこと、ただ其れだけなのである。
……重要なのは、その心に在る失意が余りにも深く、大きいと言うこと。
涼花の一人称や口調などが不明である理由は、彼女が声を使っての会話が出来ないこと、また筆談などを拒むことが主たる理由ではあるのだが。ならば種族やギフト等が推定である理由は何か。
――即ち。
柊木・涼花は、既に魔種となっている可能性が高いということだ。