PandoraPartyProject

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ボリス・シング。或いは、ある男の哀しい旅路…。

儚く小さな愛しき星々

登場人物一覧

ガイアドニス(p3p010327)
小さな命に大きな愛
ガイアドニスの関係者
→ イラスト

名前:ボリス・シング
種族:オールドワン
性別:男性
年齢:享年74歳
一人称:僕
二人称:君
口調:~だね、~だよ
特徴:愛に生きて、愛に死んだ
設定:
医者の家系に生まれたボリスは、しかし両親の期待を他所に機械技師の道へと進んだ。18歳の誕生日に生家を出奔し、その後、生涯の愛を誓い合うシェリーという名の女性に出逢う。
4年に渡る交際を経てシェリーと結婚し、自分の機械工場を開いた彼の人生はまさに“幸福”だっただろう。
けれど、ボリスの幸福は長く続かなかった。
結婚して2年、妻のシェリーは腹の中の子供ともども強盗に襲われ命を落としたのだから。
以来、ボリスの生涯は一変した。それまでの彼を知る者からは「まるで別人になったみたいだ」とまで言われるほどに……。
まず、彼は一切、笑わなくなった。いつも眉間に皺を寄せ、何かに怒っているような顔をするようになった。
次に、彼は機械工場を閉じ、医療に関する本を買い漁るようになった。幼いころに学んだ知識をベースに、彼は人体についての研究を進めた。それから数年後、ある嵐の夜に彼はとうとう禁忌に手を染めることになった。
彼は亡くなった妻の蘇生に手を染めたのだ。妻の遺体を機械の部品で補強し、さらに魔術的な処置を施した禁術の類だ。彼の思惑通り、妻は確かに蘇生した……生前の記憶も失った、赤子のように無知で無邪気で、そして無慈悲な怪物として。

誕生と同時に暴走したシェリーは、ボリスに大怪我を負わせたうえでどこかへ消えた。怪我が癒えたボリスは、僅かな手掛かりを頼りにシェリーの追走を開始する。
「もう1度、君の手を握ると約束したから」
シェリーを追う度の途中、偶然知り合いになったガイアドニス(p3p010327)へ、彼はそう告げた。ボリスがシェリーの追走を始めてから、40年が経ったころのことである。
それから数年、ボリスとガイアドニスはシェリーを追って共に旅をした。
そうして2人は、鉄帝国の辺境にある凍り付いた大地へ辿り着く。長い年月の果てに再開したシェリーの姿は、すっかり変わり果てていた。皮膚は腐敗し、金属部品は錆び付いて、もはや満足に動くことも出来ないといった有様だ。
地面に這いつくばったまま、軋んだ音を鳴らすシェリーに近づくと、ボリスは迷うことなくその手を握って、微笑んだ。
それから、僅かな時間を2人は共に過ごした。
2人の死後、遺体はガイアドニスの手により土中深くへ埋められた。

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