SS詳細
『驚異の書』、その嘗ての語り手。
登場人物一覧
名前:ミラベル
種族:秘宝種
性別:不明
年齢(或いは外見年齢):Unknown
一人称:ミラベル
二人称:あなた、~様
口調:です、ます、なのです!
特徴:
『ミラビリス・リベルの朗読』
疑似的な予知能力。厳密には自身が観測しうる情報を基に、それらがどのような『結果』を齎すかと言う予測を行う情報処理能力と言える。
この能力の都合上、処理の前提となる情報は多ければ多いほどその精度を高める。が、その反面過剰に集積された情報からの予測は当人の脳へ非常に大きな負担をかけるデメリットも存在する。
「身を削る」という比喩をそのまま体現したような能力であり、またその行使を彼女の製作者たちも幾度となく強制し続けたため、彼女は能力による負荷に耐え切れず死亡してしまった。
設定:
外見年齢10代半ばの秘宝種。性別も不明だが、本人は女性的な装いを好んでいた。(その為便宜上の呼び名を『彼女』とする)
ミラベルはニル達の製作者が、その前身として作り上げた比較的初期の『作品』である。コアはアメトリンであり、その位置は頭部に極めて近しい箇所に在った。現在では故人。
彼女はニルたちが受けていた『プロセス』の概案、またそのプロトコルを設計するためのサポーターとして生み出された存在である。
その用途ゆえに高い知性のみを目的とされて生み出されたミラベルは、『プロセス』を行うために必要なもの、またその手順、得られるであろうデータを活かす方法などを次々に予測、考案した。現在まで行われている『プロセス』のほぼ全ては彼女によって確立されたものである。
が、生み出された直後から酷使し続けた影響もあり、彼女自身の命は長くなかった。
稼働から一年と経たぬうちにその命は尽き、その身体はコアを摘出された後に処分された。
問題は、そのコアの行く末に在る。
後々の再利用の為に彼女のコアは厳重に保管され続けていたが、『ある実験体』がニルを逃す際に研究施設で暴走した際、トラブルに巻き込まれて失われてしまった。
彼女の製作者たちはそのコアがどこに消えたかを探したものの、現在までその存在は明らかになっていない。
――その数年後。ニルの元へと、何某かから贈り物が届けられた。
アメトリンを宝飾としてあしらわれた短杖はニルのコアとの親和性が高く、その魔力の生成や循環効率に大きく寄与しており、その利便性の高さゆえ、ニルはその杖を多用するようになる。
おまけSS
――使い捨てられることは分かっていました。
抗ったとて、逃げようとしたとて無駄なことも。生まれつき備えた『予知』の能力は「私」にそうした可能性すらないと言う絶望すらも寄越してくれて。だから「私」は諦念と共に生き、言われるがままに使われ、酷使の後に使い捨てられる未来を良しとするしか無かったのです。
……それでも。
「往きたいですか?」
死した後。物言う身体すら無くし、魂と言う概念に似た思念だけを残す「私」と定義されたコアに、声をかけてくれる誰かが居ました。
「それとも、此処に在り続けたいですか?」
――「いきたい」。
生きたい。行きたい。活きたい。思いを表す声も作れぬ「私」を、秘宝種の男性はその手にとって、外の世界へと連れ出してくれました。
……軈て、その数年後。
行き先を共にした男性に見送られ、「私」はその日、新しい『弟』の元に辿り着いたのです。
術具として突如現れた「私」に首を傾げるその人へ、「私」はたとえ伝わらなかったとしても、声高に想いを発したのでした。
「初めまして、ミラベルをよろしくお願いしますね!」