PandoraPartyProject

SS詳細

鳥籠の呪い/Princess cosmetic

登場人物一覧

トール=アシェンプテル(p3p010816)
つれないシンデレラ

・言霊

「なんだかとんでもないものを貰ってしまいました……」
 
 ここは深夜の街角。可愛いらしい軍服を纏う女――ではなく男(だがこれ以降も彼女と呼称する)は、突然に贈られたとあるものに大変驚いていた。彼女の名はトール。トール=アシェンプテル。異界の王女の近衛騎士にして、彼女のいた国一番の女性の称号である"シンデレラ"を得てしまうほどの美丈夫。
 
 そんな彼女は"シンデレラ"への褒賞としてかの国の国宝である、輝剣『プリンセス・シンデレラ』を賜らんとした折に、この無垢なる混沌へと新たな特異運命座標イレギュラーズとして強制召喚されてしまったのである。
 
 ただ、ここまではよくある話。非常に間の悪い場面で召喚されたり、死と同時に召喚されたり、或いは召喚された事で意思を持ったと、多様な経歴せっていを持つ特異運命座標達にとっては。しかし、こんなにも闇鍋が似合う彼らにも、能力にはとある共通点がある。
 
 それは『ギフト』と呼ばれている。特異運命座標一人一人が持つ特殊能力オリジン。世界から与えられた文字通りの贈り物。持ち主の冒険を"助ける"もの。
 
 もちろんそれは例外なくトールにも与えられた。彼女は近衛騎士だったのだから人々を守る心の支え? 或いは護るための盾? ああ、もしかして悪を赦さぬ刃かもしれない!
 
 ……いいや、彼女に与えられたのはそのどれでもない。それよりももっと"ひどい"ものだ。
 
 彼女に与えられたギフトは在り方を『定め』、『崩れる』事を『許さない』。
 
 正式名称[知られてはいけない、知ってはいけないのろい]。 彼女が男である事を知られてしまったら、彼女自身だけでなくその周囲に不幸が齎される、ただそれだけのギフト。
 
 そこで彼女は街角で出会った他者のギフトを羨んだところ、当の本人から『ロスト・メモリー』――新たなギフトを得る為のアイテムをテロられたというわけだ。以上、経歴と状況説明終わり。
 
「これを使えば……私も、もっとカッコよくなれるんでしょうか」

 トールも男。 人並みに英雄やヒーローといった格好いいものには大変憧れている。 彼女が騎士となったのももちろんカッコ良い男になる為だった(過去形)。
 
 『ロスト・メモリー』を握りしめ、"もしこんなギフトがなかったら"とつい夢想した彼女は、幾ばくかの間を置いて、それを……使ってしまった。
 
 最初は、想定通りに。使用された『ロスト・メモリー』は光となって、トールの周りに現れる――が。
 
「え、えっ何が――っ!?」
 
 突然トールの頭上の空間がひび割れて、紫の渦穴が洗われる。 そして何故か金縛りにあったようにトールは動けない。 しかもどこか懐かしい感覚が記憶を弄られ上手く現実を認識できない。
 
 そうしている間にも渦は大きくなり、トールを囲うよう紫の女の腕が現れてトールを覆い隠し、遠い、遠い過去が彼女の頭を奔る。
 
『あら、貴女が新しい近衛騎士ちゃん?ふぅん…あなたの名前は?』

 これは、初めてトールが近衛騎士として任を受けた日の記録。彼女がショックのあまり忘れてしまった混沌では知りえない記憶。
 
『そう、トールちゃんっていうのね。でも、どうして男の制服を……え、本当に男なの?』

『いいこと? 今から貴女の制服は"コレ"よ。 分かったら早く着替えてらっしゃい』

 そう言われてトールを"女"として見せる為の衣装化粧せられた。 鏡を見て震えるトールに、王女は残酷な優しい言葉を投げかけた。

『ダメよ、貴女は――――――のだから』

 それは玩具が壊れぬように。

『どうしても、よ。 だって貴女はこんなにも――――――だもの』

 それは芸術が汚れぬように。

『なら、私が今一つ貴女に命令するわ。この先、何があったとしても』

 それは宝石が砕けぬように。

『"女装がバレたら極刑"よ』

 "トール・アシェンプテル"という特異運命座標キャラクターを象る言葉オリジンは、こうして投げかけられたのだった。

『それが嫌なら────────────────なさい。トール』

 勿論、ショックで本人トールは覚えていないのだけれど。

『おーい、起きてる? 起きてるわよね』

 そう言い放った王女の顔は。

『それじゃあ早速、城下のスイーツ店まで出かけるわよ! だって、今日は貴女の記念すべき日なんだから!』

 酷く、期待やさしさに満ち溢れていたのだった。

「っ……う……ここは……」

 そして、トールは過去から目を覚まし今に戻った。『ロスト・メモリー』は未使用状態で地面に転がり、周囲は何も無かったかのように元に戻っている。

「さっきのは、もしかして……王女様?」

 トールにとって恐怖の象徴王女様の言葉は絶対。 それは、言霊のようにトールを女という殻に縛りつけた。 その殻を破るには――

「……ギフトの変更はやっぱりダメだったみたいですね」

 今のトールでは、"力不足"だったようだ。

  • 鳥籠の呪い/Princess cosmetic完了
  • NM名わけ わかめ
  • 種別SS
  • 納品日2022年12月08日
  • ・トール=アシェンプテル(p3p010816
    ※ おまけSS『王女のヒミツ/Status of master』付き

おまけSS『王女のヒミツ/Status of master』

※描いてる時に浮かんできた王女のスペックの話なので採用の是非はお任せします


好きなもの
-強い人
-可愛いもの
-スイーツ
嫌いなもの
-弱い人
-汚いもの
-激辛料理

戦闘能力
-人類最強クラス
-ステゴロでドラゴンをも倒す

性格
-自由奔放おてんば
-王族思考しゅごしゃ
-世話焼きはなしきかない

備考
"近衛騎士"が王女につけられたのは王女を保護する為……ではなく、王女のお目付役をするため。また、王女が上のような性格なので"話し相手おともだち"がなかなかできないのを心配した王の計らいが理由。

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