SS詳細
鳥籠の呪い/Princess cosmetic
登場人物一覧
・言霊
「なんだかとんでもないものを貰ってしまいました……」
ここは深夜の街角。可愛いらしい軍服を纏う女――ではなく男(だがこれ以降も彼女と呼称する)は、突然に贈られたとあるものに大変驚いていた。彼女の名はトール。トール=アシェンプテル。異界の王女の近衛騎士にして、彼女のいた国一番の女性の称号である"シンデレラ"を得てしまうほどの美丈夫。
そんな彼女は"シンデレラ"への褒賞としてかの国の国宝である、輝剣『プリンセス・シンデレラ』を賜らんとした折に、この無垢なる混沌へと新たな
ただ、ここまではよくある話。非常に間の悪い場面で召喚されたり、死と同時に召喚されたり、或いは召喚された事で意思を持ったと、多様な
それは『ギフト』と呼ばれている。特異運命座標一人一人が持つ
もちろんそれは例外なくトールにも与えられた。彼女は近衛騎士だったのだから人々を守る心の支え? 或いは護るための盾? ああ、もしかして悪を赦さぬ刃かもしれない!
……いいや、彼女に与えられたのはそのどれでもない。それよりももっと"ひどい"ものだ。
彼女に与えられたギフトは在り方を『定め』、『崩れる』事を『許さない』。
正式名称[
そこで彼女は街角で出会った他者のギフトを羨んだところ、当の本人から『ロスト・メモリー』――新たなギフトを得る為のアイテムをテロられたというわけだ。以上、経歴と状況説明終わり。
「これを使えば……私も、もっとカッコよくなれるんでしょうか」
トールも男。 人並みに英雄やヒーローといった格好いいものには大変憧れている。 彼女が騎士となったのももちろんカッコ良い男になる為だった(過去形)。
『ロスト・メモリー』を握りしめ、"もしこんなギフトがなかったら"とつい夢想した彼女は、幾ばくかの間を置いて、それを……使ってしまった。
最初は、想定通りに。使用された『ロスト・メモリー』は光となって、トールの周りに現れる――が。
「え、えっ何が――っ!?」
突然トールの頭上の空間がひび割れて、紫の渦穴が洗われる。 そして何故か金縛りにあったようにトールは動けない。 しかもどこか懐かしい感覚が記憶を弄られ上手く現実を認識できない。
そうしている間にも渦は大きくなり、トールを囲うよう紫の女の腕が現れてトールを覆い隠し、遠い、遠い過去が彼女の頭を奔る。
『あら、貴女が新しい近衛騎士ちゃん?ふぅん…あなたの名前は?』
これは、初めてトールが近衛騎士として任を受けた日の記録。彼女がショックのあまり忘れてしまった混沌では知りえない記憶。
『そう、トールちゃんっていうのね。でも、どうして男の制服を……え、本当に男なの?』
『いいこと? 今から貴女の制服は"コレ"よ。 分かったら早く着替えてらっしゃい』
そう言われてトールを"女"として見せる為の
『ダメよ、貴女は――――――のだから』
それは玩具が壊れぬように。
『どうしても、よ。 だって貴女はこんなにも――――――だもの』
それは芸術が汚れぬように。
『なら、私が今一つ貴女に命令するわ。この先、何があったとしても』
それは宝石が砕けぬように。
『"女装がバレたら極刑"よ』
"トール・アシェンプテル"という
『それが嫌なら────────────────なさい。トール』
勿論、ショックで
『おーい、起きてる? 起きてるわよね』
そう言い放った王女の顔は。
『それじゃあ早速、城下のスイーツ店まで出かけるわよ! だって、今日は貴女の記念すべき日なんだから!』
酷く、
「っ……う……ここは……」
そして、トールは
「さっきのは、もしかして……王女様?」
トールにとって
「……ギフトの変更はやっぱりダメだったみたいですね」
今のトールでは、"力不足"だったようだ。
おまけSS『王女のヒミツ/Status of master』
※描いてる時に浮かんできた王女のスペックの話なので採用の是非はお任せします
好きなもの
-強い人
-可愛いもの
-スイーツ
嫌いなもの
-弱い人
-汚いもの
-激辛料理
戦闘能力
-人類最強クラス
-ステゴロでドラゴンをも倒す
性格
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備考
"近衛騎士"が王女につけられたのは王女を保護する為……ではなく、王女のお目付役をするため。また、王女が上のような性格なので"