PandoraPartyProject

SS詳細

もうじき召喚3周年

登場人物一覧

オウェード=ランドマスター(p3p009184)
黒鉄守護


 そこは、幻想内のとあるカフェ。
「大量召還五周年、そしてもうすぐオウェード召喚されてからもうすぐ三年おめでとう!」
「おめでとうございます!」
 『黒鉄守護』オウェード=ランドマスター(p3p009184)は『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)が杯を突き合わせる。
 オウェードはメロンサイダーを、アクアベルはカフェオレを口にする。2人とも酒を飲まないということで、軽食と合わせてソフトドリンクが飲めるカフェで語らうことになったのだ。
「ワシって全盛期より強くなったのかね?」
 喉を潤し、オウェードが問う。
 残念ながら、召喚される前のオウェードを知らないアクアベルだが、情報屋として彼の各所での活躍は耳にしていて。
「ええ、この3年で大きく活躍の場を広げられたのではないでしょうか」
「ふむ……」
 そこから、彼が参加した依頼について思い返す。
 まず2020年の年末、漁村を襲うノーザンキングス所属の若者を掃討した依頼。
 その頃、オウェードは混沌への召喚後とあって、戦いでの成果は奮わなかった。
「三年間戦闘の腕が鈍っていた分、敵に倒されかけたのう……。まあ筋肉維持で筋トレは鈍らなかったが……」
 敵に倒されかけながらも勝利したオウェードは、この依頼の最中でヴィーザル地方の領地を得ようと考えて。
「……それが今の自領じゃな……」
 続き、2ヵ月後、年は明けて2021年。海洋近海にある島のキノコを求め、その近海、砂浜、そして、丘のそれぞれを縄張りとしていた魔物討伐の依頼。
 オウェードが思い返すのは、丘にいたダンゴ虫、ローリィポリィとの一戦だ。
「あのダンゴ虫に油断して致命傷を負ったのう……」
 相手の触手がオウェードの鎧を貫いたのは、彼にとって一瞬の油断だった。
 季節は春、幻想各地に現れた巨人、古代獣の討伐。<ヴァーリの裁決>と呼ばれる一連の事件。
 この時、オウェードはいくつかの依頼に加わったが、思い返すのは怪王種エンシェントタートルとの戦いだ。
 この巨大亀を相手にするまで他の敵を相手にして疲弊していたからとはいえ、敵の甲羅を叩き割ろうとした直後、体当たりを喰らって卒倒してしまったことはオウェードにとって忘れられない。
「叩き割ってやろうと思ったが……卒倒された。それはワシの汚名じゃな……」
 少なからず、依頼に対する向き合い方等にも思うことがあったらしいオウェード。
 アクアベルは相槌を打ちつつ、彼の思い出に耳を傾ける。
 オウェードにとってはふがいない思い出かもしれない。それでも、彼の歩んだこの3年を語る上では大事なことなのだ。

 その後、オウェードは<フィンブルの春>、<ナグルファルの兆し>、<ヴィーグリーズ会戦>、<ダブルフォルト・エンバーミング>と数々の争乱を乗り越える。
 その間に幾度か果ての迷宮の探索にも臨んだのだが、翌年、2022年初頭。オウェードは果ての迷宮28階層の攻略に臨んだ。
 この階層では、メンバー全員が虚構の自分と対し、打ち破る必要があった。
 もちろん、オウェードも対し、その相手は全盛期の姿をした自分自身だった。
「昔のワシと戦って、何か目覚めた様な気がしたかも知れぬ」
 何かが乗り移ったように、相手を切り伏せたオウェードは、見事虚構の自分を打ち破った。
「亀に卒倒された汚名を返上できた気がする」
 オウェードは前向きに依頼へと当たり続ける。その話にアクアベルも微笑みながら頷く。
 その後、オウェードは天義内にある独立都市アドラステイアで赤毛の聖獣とそれを率いるニコラ小隊と対する。
 アドラステイアは今なお内部の実態全てを掴むことができず、蝶さが続いている状況。そんな中、都市内部の大人に付き従う子供達が武装して排除に当たってくるのだ。
 このタイミングはオウェード達が撃退できたが……。
「ニコラ殿は大丈夫かね?」
「現状は調査中ですね……」
 依然として解決には至っておらず、続報が待たれる状況だ。
 初夏、鉄帝上空にある浮遊島アーカーシュに至った直後とあって、オウェードは仲間ととある湖近辺の探索を行った。
 彼は仲間と襲ってきた古代獣を討伐し、キャンプをして一夜を過ごす。
「辛いカレーと甘いコーラ。これこそ贅沢じゃな」
 その日の夕食は仲間達が作ったカレーに香辛料をかけて自分好みにした。
 キャンプを満喫したオウェードだったが、実のところ、幻想貴族リーゼロッテの為に何かアーカーシュ生息の新種を探していた。
 残念ながら発見できずじまいだったが、そのことは触れずに次の話に移る。
 夏、覇竜の地では、亜竜種をベースとした蟻帝種第一世代との戦いに臨んだ。
 当時、フリアノンを中心として、巨大アリ、アダマンアントが大量に発生して亜竜種の里に攻め込んでいた。
 オウェードとイレギュラーズは覇竜轟雷拳を修めた門下生と共に、小集落を襲うアダマンアント討伐に受かった。
「武術と言い、ちょうどワシに良い感じな依頼じゃったのう……」
 多数現れる蟻帝種の対処もあり、現地へと立ち会えなかった師範の代わりとなり、オウェードは覇竜轟雷拳の門下生だった亜竜種の姿をとった蟻帝種に立ち向かい、撃破した。
 その直後、アーカーシュの争乱<Stahl Eroberung>において、エピトゥシ城内にて半魚人の姿をした古代獣マーマディアンと対する。
 先のキャンプの際にも痕跡を残していた半魚人だが、この依頼に当たるまで、別チームから何度か同種との交戦報告があった。
「報告書で普通に氷が効いたからそれに賭けたら……まさかここまでうまく行くとは……」
 城内の床に設置された凍結トラップへと誘導するオウェードの策は見事に功を奏し、討伐。チーム1の成果を上げることができた。
「そういえば、半魚人が沢山居たと聞いているが……」
 後の依頼でも、その掃討が行われたという報告があったことを、オウェードは思い出していた。
 そして、夏の終わり、覇竜で先述の依頼と同じ姿をした蟻帝種第二世代と交戦する。
 第二世代は第一世代と違い、亜竜種の特色がないこともあると言うが、彼と対したのは亜竜種の姿だけを残した完全なる別人であった。
「本物の王殿は亡くなったのは残念じゃった……。徐殿の無念も分かる……」
 第二世代も強かったと振り返るオウェード。本物の遺体も調査しているが、果たして発見されるかどうか……。
 そこまで自分の参加した依頼を振り返るオウェードは、再びメロンサイダーで喉を潤し、さらに続ける。
「これからもイレギュラーズとして動く。リーゼロッテ様にもじゃな……」
 途中に名前が挙がったが、オウェードにとってリーゼロッテは特別な存在。イレギュラーズとして結果を出すのはもちろんだが、彼女の為に頑張りたいと語った。
「はい、楽しみにしていますね」
 そこまで彼の話を聞いていたアクアベルは笑顔で返す。彼の更なる活躍を願って。

  • もうじき召喚3周年完了
  • GM名なちゅい
  • 種別SS
  • 納品日2022年11月07日
  • ・オウェード=ランドマスター(p3p009184
    ※ おまけSS『目下の課題は……』付き

おまけSS『目下の課題は……』


 ある時、鉄帝国内の牢獄にて。
「さあ、どうぞ。貴方達は釈放です」
「いいのかよ。俺はただ奪うことしか能のないガキだぜ?」
 釈放されたのはノーザンキングス所属の若者、トラヴィスだ。
「新皇帝バルナバス・スティージレッド様の勅命ですよ。気兼ねなくどうぞ。ああ……」
 その男は含みをもたせ、トラヴィスへとこう話す。
「新皇帝の発した法はただ一つ、『強ぇ奴は勝手に生きろ。弱い奴は勝手に死ね』。……これだけです」
 それを耳にし、トラヴィスの中で何かが芽生える。
 ――今こそ、名をあげるチャンスなのではないか。
「ああ、思う存分暴れてやる」
 意気揚々と外に向かう背中を見つめていた男はほくそ笑み、次なる囚人の元へと向かうのである。


 なお、オウェードは政変によって混乱する鉄帝国内の事件解決にも身を投じている。
 ここで、ノーザンキングス所属の若者と再戦することとなるのだが、彼は見事に敵を討ちとってみせた。
 あの時の雪辱を果たすことができたオウェードだが、彼にとっては通過点でしかない。
「まだ、鉄帝の混乱は収まることを知らぬのでな」
「そうですね……」
 まだまだ、解決すべき課題は多い。
 それでも、2人はしばしの休息をとり、新たな事件に向けて英気を養うのである。

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