蒼き幸運の尾、雪風

登場人物一覧

名前：雪風
種族：旅人（ウォーカー）
性別：女性
年齢（或いは外見年齢）：外見年齢は１４歳
一人称：わたし
二人称：あなた
口調：です、ます、ですか、などの優しい口調
特徴：幸運を象徴するとされる者の力と名を持つ存在。だが、それは誰にとっての幸運なのか――。
設定：

　とある世界からやってきた『旅人（ウォーカー）』である。元々は、我々のよく知る地球世界の延長線上の未来――はるか遠い時代に建造された宇宙艦隊、その中枢を司る一人のＡＩである。
　その世界の過去に存在した『日本』なる国には『長き争いの果てに、最後まで生き残った船』としての逸話が残っていた。その逸話にあやかり生み出されたのが、『雪風』と名付けられたその宇宙艦であり、その中枢ＡＩもまた『雪風』と名付けられた。この報告書にして記す『雪風』の人格の誕生である。
　
　雪風が何度目かの航海を終えた時に、元世界にてとある敵性存在と遭遇したという。その苛烈な攻撃に味方艦が次々と轟沈されていく中、雪風だけが無事に生き延びることに成功した。まさに逸話の再現であり、幸運の船と称えらえた彼女の心中は、しかし複雑だった。
　他の船のＡＩ（なかま）達は、雪風を残して沈んでいく。敵性存在たるものとの闘いの中で、新たに出会えた友も、仲間も、仇敵も――雪風を残して死んでいく。
　生き残ることが幸運ならば、彼女は幸運である。だが、それを『独り残された』と解釈するならば――果たして、幸運とは。

　雪風が混沌世界へと転移したのは、最後の任務の最中。すべての乗員を離脱させ、最終目標への特攻を行い――最後の敵もろとも、消滅する。ようやく、自分も『行ける』と自覚した刹那のことである。
　混沌世界での雪風の姿は、AIの人格を踏襲したような年代の少女の姿と、かつての戦闘艦としての艤装を併せ持ったような、そんな外見をしていた。突如召喚され、新たな自分の使命を与えられた雪風は、こう思った。『また置いて行かれてしまったのだ』と。

　鬱屈した思いを抱える中で、雪風はダガヌ海域での戦闘中に裂と出会い、行動を共にする。
　行き場のない雪風を、裂は一時の宿をかす思いで、自身のねぐらへの滞在を許していた。それはどこか、親子のような姿にも見えたかもしれない。
　異界での出会いを経て、雪風は、裂と共に戦い、生きようと願う。
　今度は置いて行かれない。
　置いて行かれるだけの幸運は、いらないと。
　今度は。
　今度こそは。