其の男は“虚実”を纏う

登場人物一覧

名前：『芍紫』スマルト・ピニー
種族：魔種（強欲）
性別：男
外見年齢：30代（実年齢不明）
一人称：俺
二人称：お前、貴様
口調：～だ、～だろう、～か？
特徴：金髪、アホ毛、完全主義、混沌を好む
設定：
　海洋の軍部に属する男。
　戦上手にして、戦略家。服飾にいとめをつけぬ伊達男。話がうまく、人を乗せるのも巧い。
　長い金髪を汐風になびかせ歩く様は、多くの女性の視線を集めるに十分な、一つの欠けもない完璧な男に見える。
　だが彼は、悪意の淵に落ちた魔種である。
　彼は欲した。驚きを。己が存在するだけで誰かが驚くように願い、願い、願い――そうしてそんな“ふざけた理由で”魔種へと堕ちた。
　今はひっそりと撒かれた種の如く、軍部に紛れ込んでいる。
　幸か不幸か、元々“派手にやらかす”のが好きで、戦いの際には外も内も掻き乱すトラブルメーカーとして知られていた事もあり、余り言動に変化は見受けられず。最近よく連れている“灼那欺”という青年が纏う死の香りのお陰で、魔種特有の気配を隠し続けている。

「バレてしまっては、本当に面白い時にサプライズが出来ないだろう？」

　とは本人談。其の本質が「破壊する事」「邪悪を撒き散らす」ことではなく「相手を驚かせる」に比重を老いているのはスマルトらしいと言えるだろう。
　今はまだ、咲かぬ芍薬。
　しかし其れが咲いた時、どれだけの毒を撒き散らすのかは――判らない。

「死とは何か？　人生で最後のサプライズだよ」
「命とは何か？　楽しい事を追い求め続ける強欲さだ」
「ヤナギ。お前は難しく考えすぎる。世界はな、……単純だ。いつだって、驚きを求めている」

　旅人として降りてきた灼那欺を最初に保護した時、こいつはきっと面白い事をすると思った。
　だから今は、傍に置いている。勿論彼が自分を殺すタイミングを伺っているのは知っているが――
　そういうサプライズは、俺が世界を楽しみ切ってからにして貰いたいものだな、“相棒”？

　スマルトは笑う。
　そうしてひっそりと、其の蔓を暗闇に伸ばし続けている。