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『旦那様』
登場人物一覧
名前:『旦那様』
一人称・二人称・口調:No Data
特徴:澄恋の装備品(現状)
設定:
花嫁に憧れ、愛し愛される事こそが幸福であると認識している澄恋が希望ヶ浜のイマドキガール達の「彼ピ作らないのぉ~?」「合コンしようよ~」等という楽しげな会話から着想した恐ろしき錬金術。
混沌に存在する様々な技術を駆使して造りあげられる成果物を澄恋は『旦那様』と呼ぶ。
びちびちと蠢きパーツそれぞれが呻き声を発しているがそれはとても完全な人体ではなく、澄恋は人体錬成をしているつもりだが、実際は混沌モンスターを人っぽく整形しているだけである。
だが、それでも良いのである。夫婦はいつも一緒。旦那様を『装備』する事も良妻の役目なのだから。
母の不貞により生まれた澄恋にとって、己の存在が家庭崩壊へと繋がり露命を繋ぐためにとその身を商品としていた過去は酷くその心を傷付けた。
『愛情』への理解欠如と飢餓は彼女の精神を構築する上で最早重要なパーツとなっている。獄人は塵同然に扱われていた事もあり、塵芥と己は同様であると言う自己認識は『己は穢れた存在』だと定義するに至った。
恋だの愛だの、他者へと心を酌み交わす行為は穢れた自身が相手に不利益を押し付けることになると人を愛することも出来ず、そもそも愛するとは何かさえも澄恋は理解出来ない。
愛し方は分からないが、それでも憧れた花嫁という清らかで幸せな理想を体現した姿となるためには愛する相手が必要だった。
愛し、愛され女は花嫁になるのだと澄恋は理解している。故に、過去も何もかもを含め澄恋を肯定してくれる存在、逃げ場、花嫁の概念を形成する道具として彼女は『旦那様』を作成することに決めた。
恋情ではなく友愛ならば有する澄恋は友や好意的な存在の部位を模倣し旦那様に取り入れる。『沢山の好きな人のパーツを一箇所に集めて濃縮すれば最強』という発想認識で作成されている。
よって旦那様(完全体)であれば、好意の量だけではなく質も高まり「人を心の底から愛せる」と澄恋は認識しているが、そもそも愛情は量り売りではない為にその思想は叶うことはないだろう。
澄恋自身も錬金術士ても魔術師でもないため人間の形に成形された肉人形を旦那様と呼んでいるだけでそれが人と為る未来は存在しない。
……つまり、彼女が『旦那様』を作り上げたとて、彼女の理想は永遠に叶うことはないのだ。