SS詳細
寄り添わず、ただ、傍らに残る星
登場人物一覧
- エルナの関係者
→ イラスト
名前:カペル
種族:人間種
性別:男性
年齢:25歳
一人称:俺
二人称:アンタ、呼び捨て
口調:だな、だろ、かよ、じゃねぇの
特徴:長く伸ばされた灰色の髪、紫の瞳、聖職者風、無表情
設定:
然る少数民族が暮らす村にて住まう男性。父から継いだ牧師を生業としているが、自らの職責と相反して神に対する信仰心は無いに等しい。
彼は元々何事に対しても興味や関心を抱くことがなく、今の牧師としての仕事も病に伏した父の代わりに仕方なく継いだだけだと常日頃から語っている。
とは言え、その人格と職務は切り離すべきものであるということも彼は十分承知している。
教会における定期的な祭儀の際や、教会の教育者足る牧師として村の子供たちに薫陶する様は誰の目から見ても立派な聖職者のそれであり、ゆえに混沌では一個の存在として認められていない『神』に対する信仰がこの村では殊に厚い。
彼とエルナの関係は長くも短い。矛盾する言い方ではあるが、これが真実である。
カペルは幼いころからエルナと言う名の存在が『星神様』と言う名を以て村に在ることを知ってはいたが、その本人と実際に関わったのは彼が成年となって以降、ここ数年の事だったためだ。
……幼いころのカペルは、姿も知らぬエルナを嫌悪していた。
それは自らが子供なりに為すべきこと――母親の家事の手伝いや、当時健在であった牧師の父親による教育など――を為しながらそれを当然と思われていたのに対し、ただ『特別』であるということから無条件の信愛を与えられたエルナへの嫉妬が理由である。
その想いが変わったのは、正に彼が実際にエルナと関わった時からだ。
ヒトとの差異が数多く、しかしヒトと同じか、それ以上に悩める『特別な存在』の姿を視て、識り、カペルは以降エルナに対する態度を改め、自らが良き理解者足らんと相談役を務めるまでに至る。
――或いは。それは世界の全てに飽いた自身の代わりに、世界を愛してほしいという願いを込めてのものかもしれない。
エルナが特異運命座標となって以来、両者の関係は前ほど親密ではないものの、それでも時々エルナがカペルの村を訪れることは今でもある。
「人を救える者になりたい」。その言葉を元に、今日までエルナが癒し手を目指すよう導いたカペル。
今やその異能という一点に於いては追い越されたものの、未だ教えられることがある限り、彼がこの小さな『星神様』から離れることは無いだろう。
おまけSS
万事に頓着しないカペルではあるものの、実は衣服や装飾品などの些細な好みは実のところ存在する(それを明確に態度にしたことは一度もないが)。
天性の審美眼とでも言おうか。現在エルナが着ている白衣なども彼がプレゼントしたものであり、珍しくも「腰を据えて」選定したうえで贈られたそれはエルナにとってもお気に入りの一着だったりする。
カペルのこうした一面――『al-cayyūq』を知っているのは、今のところエルナ一人だけである。