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暖かな子へ
登場人物一覧
名前:ハリエット
種族:ウォーカー
性別:女性
年齢:17
設定:
彼女を表現するのならば、なんという言葉を使えば適切なのだろうか――
初めて会った時は路地裏だったね。
あの時はなんだか放っておけないな――なんて。そんな雰囲気をなんとなく感じ取ったんだ。
路地裏で座り込む君が一人ぼっちに見えたから。
何処か。周りをずっと警戒する猫の様な……うん、第一印象は『そう』だったかな。
あの時は、それだけだった。
いつからだっただろうか。君の姿が常にどこか、視界に映っていたのは。
段々と。君に対する感情が異なって来た気はする。
ある日――そう。
『暖かな子だな』と思った。
体温とかの話じゃない。君といると、どこか心が落ち着く……から。
困ったものだ。あぁ困ったものだ。こういう感情は厄介なんだ。
一緒にいたい、などと思うのは非常にまずい。
僕の近くにいた親しい者達は皆――死んでしまうから。
だから、これ以上は親しくならない方がいいのに。
でも。君の暖かさがどこか心地よくて。
それを手放したくないと思うのは――僕の甘えなのかもしれない。
……そうだ。彼女は情報屋を目指したい、と言っていたか。
ひたむきに前に進もうとする彼女は、眩しいものだ。
彼女は日々成長している。
読み書きを覚える仕草は可愛らしいし。
僕の話に耳を傾けてくれる事は――うん。嬉しいね。
そんな君が情報屋を目指すというなら、僕はその手伝いをしよう。
いつか僕が誰からの前からいなくなったとしても。
君の目の前からいなくなったとしても。
問題ない様に。
僕が持てる数多を君に教えよう。
……こんな事を言ったら彼女に怒られるだろうか。悲しまれるだろうか。
昔から僕は誰かと接するのが苦手で仕方ないのかもしれない。
でも。君は、僕と同じ間違いはしてほしくないから。
まっすぐな瞳を宿した君には、きっと最上の幸福が宿ってほしいから。
――うん。そうだ。
僕はきっと、君を護りたいんだろう。
いつも近くにいてくれる君が、いつかどこかで躓いたりなんてしてほしくない。
初めて出逢った日の様な瞳に戻ってほしくはない。
君は――僕には勿体ないぐらいの、輝かしい人なんだから。
おまけSS
大変お待たせしました。リクエスト、ありがとうございました。
ギルオスは、ハリエットさんの事は「庇護対象」の様に見ています。
それは別の物事で例えれば「自分に懐いてくれている小動物」に対する感情に近しいものかもしれません。
ただそれは(もしかしたらお気づきかもしれませんが)ギルオスは他人とある一定以上の距離を詰める事に、ブレーキを掛ける事がある為です。シナリオなどで語っていますが、彼は昔の親しかった知り合いがほぼ全て亡くなっているので「親しい知り合い=死ぬ」的な式を頭のどこかに、持っています。
だから他人から(種類に限らず)好意を寄せられているとしても、彼は意図してか、せずか……気付かないようにするでしょう。
ハリエットさんに対する感情も、その一環に近しいです。
これが解消されるかは、その内ギルオスの個人的なシナリオ(恐らく小規模長編的なのを)を行う予定がありますので、それ次第だと思います。