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SS詳細

ヴィヴィアンヌ・ヴィクトワール。或いは、“マァト”の旗印…。

登場人物一覧

エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
エクスマリア=カリブルヌスの関係者
→ イラスト

名前:ヴィヴィアンヌ・ヴィクトワール
種族:人間種
性別:女性
年齢:27歳
一人称:アタシ
二人称:アナタ、アンタ
口調:~だわ、~なのよ、~ね
特徴:冷静沈着、リアリスト
設定:
自治集団“マァト”の指導者を務める女性。
仲間たちからは“ヴィヴィ”の愛称で呼ばれている。
彼女の率いる“マァト”の始まりは、故郷を失った難民たちによる自警団だった。初めはほんの数人によるグループだった“マァト”だが、いくつもの村や集落を転々としながら活動を続けていくうちに次第に規模の大きな大集団となっていった。現在では自治集団と呼ばれるほどの規模となったが、発足時のメンバーはヴィヴィ以外残っていない。
“マァト”という集団は「法」「真理」「正義」の3つを特に重視し、声高に叫ぶ。大勢の人間を1つに纏めるためには分かりやすいお題目が必要だからだ。
ヴィヴィが所有する巨大な天秤が“マァト”の旗印となっている。

現在はバルナバスの勅令に対応し、鉄帝の各地に散って自治活動を続けている。鉄帝が無法地帯にならないよう戦闘行動や難民支援に駆けまわっているが、思うように結果は出ていないようだ。それでも“マァト”の活動に賛同の意を示す者は多く、現在も集団の規模は拡大中。部下たちをなるべく死なせないための食糧調達や、戦闘能力、自衛能力の向上がヴィヴィの悩みの種となっていることを、仲間たちのほとんどは知らないでいる。

ヴィヴィは決して善人ではない。敵対者には容赦なく牙を剝くし、庇護の対象や助けた難民たちにもきっちりと報酬を求める性質だ。それは彼女の掲げる「与えられ、守られるだけで生きていけるほどこの世界は優しくない」という信条が関係しているらしい。

彼女がいつ頃、エクスマリア=カリブルヌスと関係を持ったのかは定かではないが、情報の共有や、鉄帝各地におけるコネクションの構築などといった方向での協力関係を結んでいる。もっとも、お互いに完全に信頼し合っているわけではなく、状況次第では敵対する可能性もあるだろう。

「強いものは勝手に生きて、弱いものは勝手に死ぬ」
「でも。強いものが勝手に生かすのも、弱いものを勝手に死なさないのも自由でしょ」

彼女はきっと、弱者を嫌っているのだろう。より正確に言うなら“弱者であり続けることを容認している者”を嫌悪している。
それはきっと、彼女自身がかつては搾取されるだけの“弱者”であったことが関係していると思われる。

  • ヴィヴィアンヌ・ヴィクトワール。或いは、“マァト”の旗印…。完了
  • GM名病み月
  • 種別設定委託
  • 納品日2022年09月08日
  • ・エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787
    エクスマリア=カリブルヌスの関係者
    ※ おまけSS『鼓舞するヴィヴィ。或いは、新たなる“マァト”…。』付き

おまけSS『鼓舞するヴィヴィ。或いは、新たなる“マァト”…。』

 業火が村を焼いていく。
 牛や馬は奪われて、女や子供は攫われた。
 若い男は殺されて、年よりばかりが残された。
 収獲を目前に、業火に飲まれた麦畑を前にして、老爺が肩を震わせている。握りしめた手からは血が滲み、食いしばった歯の間からは唾液とともに嗚咽が零れる。とめどなく零れる涙を、拭うことさえ忘れたままに、彼はただただ泣いていた。
 娘と孫が攫われた。
 家族を守るべく立ち上がった娘の夫は、盗賊たちの刃に倒れた。
 目の前で家族の命が奪われて、悲鳴をあげた老爺の妻は盗賊たちに嘲りながら川へと投げ捨てられたのだ。
 その光景の一部始終を、老爺は見ていることしかできなかった。
 盗賊たちに押さえつけられ、助けに行くことさえできなかった。
 老爺が今も生きているのは、盗賊たちの気紛れだ。家族の仇を討ちに来るのか、それとも失意のままにどこかへ姿を消すのか、或いは悔しさを胸に自害するのか……老爺がどんな行動を取るかを、賭けの対象としているのだ。
「……弱者のままで老い先短い生にしがみつくつもり?」
 老爺の前に、1本のナイフが投げ落とされる。
 粗末な造りの、錆び付いたナイフだ。
 こんなものでどうしろと言うのか。老爺は顔をあげて、声の主へ視線を向けた。
 そこにいたのは、すらりとした体格の若い女だ。長い髪を熱波に躍らせ、獣のような激しい怒りの宿る瞳で老爺を見やる。
「奪われたままでいるつもりなら、それでもいいわ。家族の無念から目を逸らして生きることを良しとするなら、なるほどアナタは“奪われる”に相応しい弱者だわ」
「……俺のような年寄りに何が出来るって言うんだ? こんな錆び付いたナイフ1本が、何の役に立つ?」
 震える声で老爺は問うた。
 若い女は、苛立ち混じりに鼻を鳴らして、自分の胸を拳で叩く。
「ナイフ1本を手にもって、自分の命を炎の薪とするがいいわ。復讐したい相手がいるなら、取り戻したい家族がいるなら、守り抜きたい誇りがあるなら……弱者であり続けることを、今日で終わりとするのなら」
 燃える麦畑の向こうに、何人もの人影が見えた。
 手に手に武器を携えた、粗末な身なりの男女の集団。
 きっと彼らは、目の前に立つ苛烈な女の仲間なのだろう。
「武器を取れ。吠え猛けりなさい。自分が強者と奢り高ぶるクズどもに、弱者の意地と矜持を示す覚悟があるというのなら、アタシたちは手を取り合える」
 反撃の狼煙を上げるのだ。
 そう告げた女の視線に促され、老爺はナイフを手に取った。

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