SS詳細
零れた命の、水たまり
登場人物一覧
名前:
ルジュカ
一人称:
「オレ」。年若いが故に快活な言葉であり、それを煙たがる者は少ないだろう。
二人称:
同年代か年下に対しては呼び捨て。年上に対しては「~さん」といった敬称を付ける。
口調:
「だ、だな、だろう、なのか?」。この口調に於いては誰に対しても変わりない。
尤も、自身がそれまで暮らしてきた世界とは違う場所に降り立った以上、この口調も含めて多くの事柄を彼は改善しようとしている。……それが自己流ゆえ、実を結ぶまでに時間がかかるのはご愛敬である。
特徴:
ギフト「命の水」を有する。自身の血液約100mlを対象に摂取させることで、対象に24時間分の栄養を補填させる。
このギフトは彼と同時期に無辜なる混沌へと降り立った旅人の少女も有しているが、ルジュカは彼女と元世界に於ける面識なども無いと言う。
この世界を訪れた時期を除き、接点を持たない彼らが同じギフトを有しているのは偶然か、若しくは何らかの符号が在るのか。それは誰にも解っていない。
設定:
異世界からの旅人(ウォーカー)。年齢は14歳。
元々、彼は自身のほかにも複数名の子供達と一緒にこの世界に現れたのだが、折悪くも彼らのギフトに目を付け、利用しようとした者たちによって多くの仲間が死亡してしまった。
彼自身も、そのギフトを介して命を永らえようとする者たちの犠牲となり、一時は命すら危うかったものの、現在は意識を取り戻し、固まってしまった身体を回復させるためのリハビリを行うまでに至っている。
現在、彼は自身を保護した女性――エルスが領主を務める土地での療養院にて暮らしている。
身体面は兎も角、自身の周りに起こった出来事とその犠牲についてはやはり少なからぬショックを受けた様子であり、この件に関する会話は当分の間伏せておく、と言うのが暗黙の了解となっている。
その一点を除けば、彼は基本的には快活で優しく、また何事にも真摯に臨める人間であるため、院でも大きな問題は起こっていないと報告されている。
……諦観ゆえに我が身の周りの一切の現実を受け入れた『もう一人の生き残り』とは違い、彼は今ある現実を受け止め、けれども自らの願いの為に邁進することを止めないと自らに誓ったのだろう。
己が元居た世界に戻ると言う、単純な、そして遠い願いを。
おまけSS
ルジュカはごく最近に至るまで昏睡状態が続いていたわけだが、それが突然目を覚ましたのには療養院の人間も驚いていた。
また、これに付随してもう一つ、小さくない事件も起きている。
それは前述したように、彼と同時期にこの世界に降り立ち、悪意ある人間の犠牲となった果てに生き残ったもう一人の少女――金橋・沙月の失踪である。
沙月はルジュカよりも早く回復し、最近では領主であるエルスの元を離れ、『ローレット』関連の商店にて下働きとして働いていたが、ルジュカが目を覚ました時期と同じころに彼女との連絡が取れなくなっていた。
これに対して、商店の人間は彼女に関する情報収集を呼びかけているが……現在までに手掛かりは見つかっていない。
「だって、あなたのような覚めない眠りを、私こそ欲しかったんだもの」