親愛なるコニーへ

登場人物一覧

　すまないな、コニー。全く、俺って奴は死ぬほど格好悪い。でも、どうしても、どうしても――我慢ならなかったのさ。

名前：ヴェルンヘル＝クンツ
種族：魔種（元カオスシード）
性別：男
年齢：28（『あの日』までの状況。現時点では不明。外見的にも当時を保っている）
一人称：俺
二人称：君、あんた
口調：〜だ。〜だろ？

　コニーが部屋を去っていく。あの部屋。俺たちが決定的に断絶した、あの部屋を。俺はと言えば――かろうじて生きていた。君の腕は完璧だった。心臓に一発、眉間に一発。今までもそうしてきただろう。でも、あの時は違った。君は俺の胸を撃って、僅かにそれは心臓をそれた。ま、普通はそれでも致命傷さ。即死するはずの命が数分も伸びたに過ぎない。そして君は、俺の眉間に銃弾を撃ち込むことを忘れた。だから虫の息って奴で、俺はまどろみの中で死神の手を取ろうとしていた。

　俺はそのまま死んでいくはずだったんだ。それでよかった。でもさ、少しだけ思ってしまったんだ。君が俺の横を通った時に、こぼれた温かい液体に触れた時。
　ああ、どうして世界は、どうしようもないまでに、君を泣かせてしまうのだろう、と。
　それは――怒りだった。俺自身への、世界への、怒りだった。それから、俺は声を聴いた。物好きな神様がいるもんだな。そいつは、俺の怒りの声を聞いて、俺に声をかけたんだ。
　言葉は単純。その怒りに身を任せろ。
　それだけでよかったんだ。それだけで、俺は生まれ変われた。世界の敵に。

　オーライ、コニー。俺は世界の敵になるよ。お前を泣かせた世界を、この手で粉々にするために。
　圧倒的な怒りと力で、この世界を平らにするんだ。お前が泣くような世界に、俺たちが撃ち合うような世界に、きっと存在する価値なんてなかったんだ。
　きっとこの世界は間違っていて、俺たちも間違っていた。今も間違ってるんだと思う。でも、どうしても――この燃え盛るような静かな怒りを、今は止められない。

　コニー、愛しいコニー。これは忠告で、お願いだ。
　鉄帝の事件には関わるな。俺はきっと、そこにいるんだろう。
　俺は――今は、君には会えない。
　どうか、コニー、世界の終りの日まで、君には静かに暮らしてほしい。そうして、すっかり世界を平らにする算段がついたときに――世界の最後の日に、君に会いに行くよ。
　一緒に世界の終わりを見よう。

　愛しいコニーへ。
　世界の敵、魔種より。