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エヴァンジェリスタ・グリマルディ。或いは、教授と呼ばれた男…

登場人物一覧

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
ラダ・ジグリの関係者
→ イラスト

名前:エヴァンジェリスタ・グリマルディ
種族:人間種
性別:男性
年齢:49
一人称:私
二人称:貴方
口調:~です、ます、ですね
特徴:長身痩躯、理知的、合理主義、勤勉
設定:
ラサ出身の物理学者。
また、一流とまでは呼べないものの、それなりの“水銀魔術師”であるという。中でも水銀を弾丸として飛ばしたり、水銀ゴーレムを使役したりといった術式を好む。
アスクル学者団の幹部に相当する立場の人物で、仲間からは“エヴァン教授”と呼ばれ敬われている。

裕福な家庭に生まれた彼は、幼い頃から読書や勉学に親しみながら生活していた。同年代の者に比べると体が弱く、運動神経も良くない自分が、ラサという乾いた土地で生き残るためには、知識を豊富に得る必要があると考えたからだ。
実際に彼は幼い頃から成績優秀な優等生として評価を積み重ね、20歳を迎えるころにラサの研究機関へ入職した。それから39歳までを研究機関で研究者兼講師として勤務するが、ある時、彼は突然に研究機関を退職した。
真偽のほどは定かではないが、退職したのは所属していた研究機関が倫理に反した研究・実験に手を染めたからだ、とも言われている。
そのことをエヴァン教授に問うと、決まって苦い笑みを浮かべて以下のような言葉を口にするという。

「世界には、我々が触れてはいけない領域というものがあるのです。その領域が何か……となると、これは言葉にするのも難しい。ある瞬間、その“線”を超えた時になって初めて人は、それが触れてはいけない領域であると気付くのです。もしも今後、そういった“線”を超えた時は、すぐに忘れることをおススメしておきます。あまり深入りし過ぎると、戻って来られなくなりますからね」

その言葉の真意を知る者は、幸いなことに未だ1人たりとも現れていないようだ。

研究機関を退職後、彼は数年間を放浪についやした。
その後、同じように各地を旅する“アスクル学者団”に合流すると、これまで蓄えた知識でもってあっという間に幹部の地位を手に入れた。
幹部とはいえ、基本的に彼が自分の持つ権力を振りかざすことは少ない。それどころか、年下の未熟な学者たちに対しても、丁寧に接し、学問について語り合うことを好むそうだ。
現在はとある港町の開拓事業に従事し、大気圧と水銀の関係や、それを応用した機器の研究を進めているらしい。

  • エヴァンジェリスタ・グリマルディ。或いは、教授と呼ばれた男…完了
  • GM名病み月
  • 種別設定委託
  • 納品日2022年09月05日
  • ・ラダ・ジグリ(p3p000271
    ラダ・ジグリの関係者
    ※ おまけSS『月の明るい夜のこと。或いは、海と月と教授の研究…。』付き

おまけSS『月の明るい夜のこと。或いは、海と月と教授の研究…。』

●エヴァン教授の隙間話
 ある満月の夜のことだ。
 エヴァン教授は海岸に立つと、長い木の棒を海へとまっすぐに突き刺した。
 ゆっくりと木の棒を水中に沈め、その先端が海底に着いたところでピタと手を止めた。
 それから、海面の位置にペンで印を書き込むと、再びゆっくりと棒を海から引き抜いた。
「それは何をしているんだ?」
 ラダ・ジグリがそう問うと、エヴァン教授は笑みを浮かべて数字を記した紙面を彼女へ手渡した。
 どうやら、ここ1カ月ほどの天候と、海面の位置を記録したものであるらしい。
「……これは? 貴方のことだ。意味が無い行為ではないのだろうが……生憎と私には意味が分からない」
 紙を返して、ラダは再び問いを重ねた。
 エヴァン教授は丁寧に紙を折りたたみ、それを懐へと仕舞う。
「意味がある研究とは言い切れませんね。ですが、意味が無いとも言い切れない」
「うん?」
「この記録がいつか役に立つかもしれないし、立たないかもしれないということです。では、どうしてそんなことを調べているのか、と、きっとラダさんはそう思っていることでしょう」
 それでいい、と。
 エヴァン教授は、一層、笑みを深くする。
「意味の無いことの積み重ねて行けば、いつかそれが意味を持つかもしれないのですな。いつかは明日かもしれないし、来年かも知れないし、100年後や1000年後かも知れない」
 そう言ってエヴァン教授は、空に浮かぶ丸い月へと視線を向ける。
「月が欠けたり、満ちたり、大きくなったり、小さくなったり……例えばそれと、未知の海域で起きる異常な現象が、関係していたとしたらどうでしょう?」
「……関係と言うと? 例えば、深海に住む怪物が満月の夜にだけ目を覚ますとか、そういう話か?」
「えぇ、そう言う話ですよ。もしかすると、その怪物は“満月の夜”にしか、その場所に存在していないのかもしれない」
「怪物が、突然その場に現れるとでも?」
「可能性の話です。そう言うこともあるかも知れない。怪物がその場に現れたことで、海の水位が少し上がったのかもしれない。もっとも……もしかしたらそれは、人の踏み込んではいけない領域の話かもしれませんが」
 なんて。
 そんなことを言い捨てて、エヴァン教授は研究室へ帰って行った。

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