SS詳細
芳しき薫
登場人物一覧
名前:カオル
種族:夜妖
性別:男性
外見年齢:22歳ほど(実年齢は不明)
一人称:俺
二人称:お前、呼び捨て、明煌、廻
口調:だろ、だよな、なのか?
特徴:美しい女性と見紛う程の美形。黄金の髪に赤い瞳。
設定:
煌浄殿の呪物の一人。
美しき『扇子』に魂が宿った夜妖。
そよぐ芳しき<薫>の名で呼ばれている。
見た目は美しい女性にしか見えない。それ故に男っぽい言葉で話す。
扇子であったカオルは美しいことが価値の基準である。
己の見目を整えるのはカオルにとって息をするのと同じぐらい当たり前であったのだ。
けれど、大切に仕舞われ誰にも見て貰えない日々はカオルに悲しみを与えた。
その悲しみは積り、やがて悪霊となってカオル自身にも手に負えない程になってしまった。
此処に居ると叫ぶカオルに明煌は「分かってる」と短く答えた。
其れだけで、カオルは救われた。
明煌が自分の為だけに助けに来てくれたというだけで積もった怨嗟が消えたのだ。
そして、煌浄殿には『鎖枷』の概念であるヤツカが居た。
明煌もヤツカもカオルに居場所を与えてくれた。
誰にも見て貰えなかった悲しい日々は終わりを告げたのだ。
世界から要らないと言われ忘れられた存在を、居ていいのだと抱きしめてくれた。
だから、カオルはこの煌浄殿を愛している。
「ほら、明煌。こっちの方が良い色だって。廻にも似合ってるし」
「……」
久々の同行の許しにカオルははしゃいでいた。
何故なら、廻の服を選べるのだから。
それは明煌が自分の能力を認めてくれている証拠だ。
甥っ子からの『大切な預かり物』には高い服を買ってあげるなんてとカオルは微笑む。
「なあ、廻。これからも明煌の傍に居てあげてくれないか? お前が居ると明煌が楽しそうだ」
「……カオル。廻は預かってるだけだから」
カオルの言葉を嗜めた明煌は不機嫌そうにそっぽを向いた。
「でも、明煌だって廻が傍に居たら楽しいと思ってるだろ? 俺達と全然態度違うし」
返答の代わりにカオルの頭上に大きな手が振り下ろされた。
「ぎゃ!」
「……チッ」