SS詳細
燐葉の竜
登場人物一覧
- 煉・朱華の関係者
→ イラスト
名前:フォス
種族:亜竜種(……魔種?)
性別:女性
年齢:unknown
一人称:私
二人称:君
口調:ね、よ、よね、だわ
特徴:ピュニシオンの森の元守人、竜覇(雷)、亜竜集落ウェスタ出身
設定:
亜竜集落ウェスタ出身の少女。名前は通称であり、ピュニシオンの森の入り口に存在する関所の守人を担う『志遠』の家系。
危険地帯であるピュニシオンの森に踏み入る同胞に忠告を与え、迫り来る脅威を押し止める事を目的とした家系であり、他の亜竜種達からは『使い捨ての一族』とも揶揄される。
志遠の一族は本来の名ではなく死を除ける為に仮初めの名を宝石や植物から得る。それは一種の願掛けである。
使い捨てとも揶揄されるだけあり、志遠の一族は孤児や孤独な者の寄せ集めである。フォスはその中でも志遠の直系の娘であった。
故に、最も危険であるピュニシオンの森の入り口に住まい、進む者達の名を管理簿に記名してきた。『二度とは帰らぬ者』を見届ける役目でもある。
「どうか、無事でありますように」
そう告げれども戻る者が居ないことをフォスはよく知っていた――ある例外を除いて。
その例外こそが冠位魔種のベルゼーであった。彼は度々ピュニシオンの森の奥地に踏み込んでは帰還する。フォスにとっては唯一、安心して見送れる相手であった。
彼と彼の連れる幾人もの亜竜種らしき者達にフォスは憧れていた。
「いつか私のことも連れて行ってよ。君達の冒険に。きっと、こんな場所で誰かが死にゆく事を見届けるより幸せでしょ?」
人を見送ることに疲れてしまったフォスにベルゼーは機会があればと微笑んだそうだ。
亜竜集落フリアノンにベルゼーが冠位魔種であるという情報が入った時に、同様にピュニシオンの森の関所からフォスが姿を消したのだと言う。
他の志遠の家系の者達はフォスはベルゼーに憧れていたから彼について言ったのではないかと告げた。
屹度、ベルゼーはピュニシオンの森を越えた場所に居所を構えていることだろう。彼女が『亜竜種のまま』であったならば森を一人で越えることは出来まい。
最悪な未来が其処には存在している予感をさせながら、フォスは最期に管理簿に己の本来の名前を書いた。
礼良、と。彼女がフォスになってから二度とは呼ばれなかった孤独な少女の名前を。