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傍食のおもかげ

登場人物一覧

ルーキス・ファウン(p3p008870)
蒼光双閃
ルーキス・ファウンの関係者
→ イラスト

名前:リーベル・ファウン
種族:人間種カオスシード
性別:女
年齢:20代(行方不明時の年齢)
一人称:私
二人称:あなた、呼び捨て、(年上や身分の高い相手には)○○さん、○○様
口調:〜ね、〜かしら? ハキハキした口調
特徴:【凛としている】【世話好き】【情が深い】
設定:
 幼少時に召喚バグによってカムイグラに渡った人間種で、ルーキスの実母。現在は行方生死、共に不明。
 生まれは幻想、実家は洋服店。裁縫をする両親の元に生まれた為、型紙に落書きをしてはよく叱られて育った。裁縫や刺繍が得意で和洋折衷の服装を自ら仕立てられるのも、そうした両親の元で育ち、自然と型紙を目にしていたせいだろう。
 家族と離れ離れになってしまった少女に棲み家をくれたのは、同じ境遇の人々だった。突然の環境の変化に戸惑いながらも少女は彼等が興した提灯百合が沢山咲く小さくも美しい集落に根を張り、豊穣この地幻想故郷を愛し、自らの出自に誇りを持ち、慎ましく生活を送ってきた。
 集落に咲く望郷の花言葉を持つ花は、集落を興した人が大陸から偶然持ち込んでいた種を故郷を思い植えたのだそうだ。

 ある年、リーベルは子を授かった。
 仕事で集落を訪れていた鬼人種の男との子であったが、身籠ったと解った時には男は既に集落を離れており、リーベルはひとりで子を産む決意をした。彼女を思って集落の人々は色々と言ったが、膨らみつつある腹を愛おしげに撫でるリーベルの気持ちは変わらなかった。この子はひとりでも育てる、と。
 しかしリーベルは、ルーキスを産んでからいくらも経たぬ内に行方不明となった。
 子供をあやしながらでも山菜摘みは出来るからと集落傍の森に入り――昼をとうに過ぎても戻らぬリーベルを案じて探しに向かえば、泣いているルーキスのみが見つかった。茂みの中、まるで隠されるように、カタバミを寝床として。
 集落の人々はルーキスに母のことを語らない。
 ルーキスは、母のことを知らない。
 けれどただ一度、ぽつりと聞いたことがある。
『お前と同じ色を持ち、地に根を張り生きる、強い心の子だった』

 ルーキス自身は知らぬことだが、冒険者に憧れた幼少時の彼が初めてマントにした布は、タンスの中に仕舞われていた瑠璃雛菊に似た色に染められた『おくるみ』であった。
『るぅきす・ふぁうん ――かわいいあなたに、幸福と幸運を』
 母からの愛が刺繍されたその布は、今、どこにあるのだろうか――。

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