SS詳細
卜占の娘
登場人物一覧
名前:『初代の巫女』
種族:獣種(蛇)
性別:女
年齢:unknown
一人称:私
二人称:お前様
口調:です、ます、でしょう
特徴:有柄島に流れ着いていた蛇の獣種。卜占の巫女。初代『有柄の巫女』
設定:
――その日、檻は振られてしまったと感じていた。
視界の端にチラつくように見えるのは逢坂地区有柄島で封じられた真性怪異を呼び出す切欠となった初代の巫女であった。
そうだというのは直感的に感じた事だ。彼女は常に檻の傍に居る。視界の端にチラついて、瞬きをすれば消えてしまう程度の存在ではあるのだが。
本来の檻は元世界で別種の神を祀ってはいたが混沌世界では唯一の神を見付けることは出来ていない。
彼はアリエこそを己の唯一無二とすることを願ったが、イレギュラーズの活躍により彼女は封じられてしまった。
だが
取り憑いていると呼ぶべきであろうが、逢蛇にはその様な力はない。あくまでも、彼女は檻の背後霊と呼ぶべき存在だ。
蛇の鱗を有し、割れた舌を持った巫女装束の女は鴉の濡れ羽を思わせる美しい黒髪を有していた。
蛇の獣種であったという逢蛇は卜占の能力を有し、真性怪異を呼び出す初代の贄だ。贄となった形跡があるのかその肉体には蛇の這いずり回った痕が刻まれていた。
巫女装束をその身に纏ってはおり、おどろおどろしい雰囲気を有しているが、美しい女であったことは確かである。
彼女は霊魂ではない。真性怪異の力の一端だ。
故に、彼女は檻の信仰心と呼ぶべき『望み』そのものでその存在を真の空間に少しばかりでも引き出せる。
その時間も僅かな間ではあり、彼女は対話を行う以外に何かを有することは出来ないが檻にとっては傍に存在してくれる神様の欠片であることには変わりはない。
真性怪異の欠片でしかない彼女は卜占を行う事は出来ないが、強い真性怪異の気配を察知すれば檻へと危機を伝える事があるだろう。
檻がその信仰心を他に傾ければ逢蛇は直ぐさまに消え去りアリエと共に眠ることになるだろう。あくまでも彼の強い信仰心の賜なのだ。
……普段はどこに居るのか。さて、お前様。雨が降っているその日に、背後を見てはならんとあれほど言われていたでしょうに。