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深覗・阿真の肖像

登場人物一覧

裂(p3p009967)
大海を知るもの
裂の関係者
→ イラスト

名前:深覗・阿真(ふかみ・あま)
種族:魔種の眷属
性別:女
年齢(或いは外見年齢):38(20代後半に見える)
一人称:あたし(または我々)
二人称:あんた・呼び捨て(またはそなたら)
口調:~だよ、~だね、~じゃん、~じゃない?
特徴:空色の髪、瑠璃色の鱗、サメの牙で作った首飾り、見た目が若い、やや天然、大酒飲み、意外とロマンチスト
設定:

「ねえ裂、あたしら海法師はどこまでだって泳いでいける、あの夕日だって追い越して泳いでいける、それってとってもすてきなことじゃない?」

 デバスズメダイの海種。だった。

 裂の妻であった女。裂と同じ豊穣の古い漁師村の出身で、海種であることをさっぴいても人並み外れた潜水能力を有していた。そのため素潜りの達人で、一日に並の男でもかなわない量を採ることもしばしばだった。生まれとしてはほどほどに潤っていた漁師の家の出で、両親は阿真が海へ出てばかりで行き遅れるのではと心配していた。しかし18を過ぎたときに本人から「あたしは海の女になる」と宣言されてからというもの、いっぱしの漁師になることを応援するようになった。

 裂とは幼なじみで、家格の違いから最初は敬語をつかっていたものの、自前の明るさ(天然ともいう)と、なにより裂自身から請われて以来、敬語をつけずに語り合う仲になった。月日は流れ、しだいに友達ではなく異性として裂を意識しはじめてからは、村の子どもたちに囃されるほどの赤面症になり、一時期距離を置く間柄になった。しかしその間も、うせるどころかますます燃え盛る裂への想いにけじめをつけるべく阿真は裂へ告白。
 裂の回答は「しばらく待ってほしい」とのことだった。その後裂はひとりで沖へ向けて船を漕ぎだし、一週間もの間行方知れずになった。ぼろぼろになって帰ってきた裂は阿真へ獲物であるサメの最も大きく美しい牙をよりすぐって作った首飾りをさしだした。それは裂の村において「どんな脅威からもお前を守る」という意味であり、結婚の約束を誓うものであった。

 しかし幸せな時は長くは続かなかった。
 阿真は魔種イヴォンの操る寄生虫に感染し、帰らぬ人となってしまったのだ。やがて疑似生命体として黄泉がえった阿真を、裂はイヴォンの眷属と見抜く。だがどうしても斬ることはできなかった。

 生前の特技は真珠を見つけることだった。彼女の形をした肉の塊が、深海の底で何を思っているのかは今は誰にもわからない。

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