SS詳細
未来目指して
登場人物一覧
名前:
種族:
性別:男
年齢:(初遭遇時)10歳
一人称:僕
二人称:きみ、呼び捨て(弟妹)、~さん(目上の人)/お姉ちゃん(澄恋)
口調:~だよ、~だ
特徴:晴れ渡る青空のような空色の角(額に一本)、淡い水色の髪、まだ短めの狼牙(二本)、獄色:掉挙、育ち盛り
設定:
小笠原・弘鳳邸で保護された少年。
刑部省に保護され、現在は郊外の寺に預けられている。生まれ育った場所では同年代の子と遊んだこともなかったようだが、様々な理由によって寺に預けられた子たちと打ち解け、現在は元気に過ごしている。
文字の読み書きは苦手だが、将来必要になるものだからと努力を重ねているようだ。
澄恋を始めとしたイレギュラーズたちに救出されたことから、将来的には弱きを守る者になりたいと思っている。
出身は、高天京からかなり離れた寒村。兄と姉、年の離れた弟妹からなる五人兄弟の三番目で、兄と姉は奉公に出ている。そのため両親も、蒼太は普通に奉公に出たものだと思っている。
寒村ではあるが、両親は小さな面積で小作農をしており、鬼人種であるためか小作料が多く取られているような気はしつつも、兄と姉が奉公に出たことから家には僅かながらの蓄えがあった。蒼太自身も、もう少し大きくなったら奉公に出るつもりだった。
しかし、その未来は『虫』によって閉ざされた。
蒼太九歳の秋、
それでも、来年になればと食べる量を減らし、蓄えを切り崩し、蒼太の家族は耐えていた。
――しかし、蝗害は発生すると対処をせねば
両親はやつれていた。子どもたちに自分たちの食事を譲って。
弟妹は骨と皮のようだった。成長するための栄養が足りているわけがなかった。
妙に羽振りよく金銭をチラつかせた『仲介人』の前で悩む両親の背を押したのは、蒼太自身だった。
「ほうこうにでれば、僕も弟たちも、白いごはんをおなかいっぱい食べれるよ」
蒼太の夢は『一時』叶った。
叶いはしたが――……。
おまけSS『習字』
「裏紙はある?」
「蒼太、また字の練習かい?」
「うん。だって、書けるようになりたいんだ」
書き損じた半紙等は、字の練習をしたい子供たちが使用していいことになっている。
寺男から裏紙を受け取った蒼太はありがとうと頭を下げ、先程擦ったばかりの墨の入った硯の前に座った。紙を伸ばして文鎮を置き、蒼太の手にはまだ大きい太筆を握りしめる。
墨に筆を浸し、そろりと筆を運ぶが、これがなかなか難しい。
「蒼太、自分の名前は書けるようになったのかい?」
「まだだよ」
「そうか……って、練習しているのはお前の名前じゃないね」
「うん。僕をたすけてくれた人の名前」
忘れないように、ちゃんと覚えておきたいんだ。
漢字はまだ難しいから、平仮名で。
けれどいつかは、漢字で書けるようになりたいな。
鼻の上を墨で汚した少年は、紙が真っ黒になるまで練習を続けていた。