ＳＳ詳細
幻想概念都市：再現性秋葉原【concept】
登場人物一覧
- 佐藤 美咲(p3p009818)
無職
再現性秋葉原【concept】は、練達に存在する再現性都市の一つだ。
再現性秋葉原は、一言で言えば、『秋葉原という幻想』を詰め込んだ都市である。
この都市は、『誰かが想像した秋葉原』が『いつでも味わえる』ことを主目的として作成された。この都市はエリアごとに様々な時代の秋葉原の姿が見られる都市となっている。
秋葉原は変化の都市である。その時々の文化やあり方によって、何度も姿を変えてきた。
例えば、青果市場や闇市などの、雑然としたマーケットが存在した時代。
ディープな電気部品や家電製品を販売していた、電気街としての時代。
サブカル、いわゆるディープなオタク文化の発祥の地であった、オタクの街としての時代。
そして、現代日本のような、オフィス街と大手量販店による『観光地化』した、新時代の秋葉原。
そう言った、その時々で姿を変え、時に失われた秋葉原の光景と概念を保存し、再現し続けるこの都市は、ある意味では、秋原場という歴史を収蔵した巨大な博物館ともいえる。
実際のところ、秋葉原という幻想の集合体なので、駅前にバスケットコートがありつつ大型駅ビルが有ったり、ジャンク屋の隣で青空市場のようなものがひらかれていたり、メイド喫茶の隣に本格的な純喫茶が有ったり、大手家電屋の隣に怪しい個人の電気屋が残っていたり、歩行者天国が平気で残っていたりもする。
秋葉原は、その時代を生きる人々にっての、幻想と憧れの都市としての側面も備えている。そう言った
……と、高尚な事を言っているが、そこは流石秋葉原の精神というか。住民たちの殆どは「うるせぇ、俺はここで好きなことをするんだ」というノリで過ごしている。存在する店舗や施設も、「それが好きだからある」。皆自由なのだ。それもなんだか秋葉原らしいと言える。
ちなみに、秋葉原という概念都市なので――大体のものは再現収蔵されている。
具体的には、夜な夜な悪しき夜妖を倒すために魔法少女が活動していたり、異様に力を持った謎の企業がオフィスビルを作っていたり。悪の能力者役と正義の能力者役が世界の命運をかけて戦っていたり……なのだが、大体の場合は、さほど大事にはならないまま、平和裏にこの都市は運営されている。
なぜなら彼らも、秋葉原を愛する者たちの一人であるのだからだ。
