PandoraPartyProject

SS詳細

闇より出でし。或いは、山口さんはそこにいる…。

登場人物一覧

ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
ユーフォニーの関係者
→ イラスト

名前:山口さん
種族:不明
性別:不明(外見は男性のようだ)
年齢:不明(外見は20歳前後といったところか…)
一人称:ボク、オレ、私(相手によって変わる)
二人称:君、貴方、お前(相手によって変わる)
口調:~だよ、~だ、~です(相手によって変わる)
特徴:薄茶の髪に、エメラルドの瞳、テックウェアにスニーカーといった現代的な服装。いつの間にかそこにいて、いつの間にか消えている。
設定:
いつの間にかそこにいた。
ある日、ユーフォニー(p3p010323)が闇市を回していたところ、気づいたら隣に立っていたのだ。
彼とは初めて会ったはずだ。けれど、どうしてか初対面の気がしない。
ともすると、ずっと昔からいつも一緒にいるような。
幼いころに、ともに遊んだ親友のような。
或いは、胸のうちを吐露できる何者にも代えがたい相棒のような。
または、憎き天敵のような。
様々な感情が入り混じった、なんとも形容しがたい感覚を抱かずにはいられない。
整えられた薄茶の髪にサングラス、テックウェアにスニーカー、エメラルド色の瞳に合わせた服装から、彼が身だしなみに気を使っていることは分かる。しかし、ユーフォニーは彼がそういった洋服店や小物を手に取り、眺めているところを見たことは無い。
いったい、彼はどこで身なりに関する知識を学んだのだろうか。
また、ユーフォニーは各国の幾つかの街で“山口さん”を見たことがある。どの“山口さん”も、ひと目でそれが“山口さん”であることは分かるのだが、外見や口調、時には性別さえもユーフォニーの知る“山口さん”とは異なっているのだ。
まるで、ユーフォニーを含めた多くの人間の脳内に、無意識のうちに刷り込まれた共通認識として“山口さん”が存在しているかのようだ。
その考えに至った時、ユーフォニーの心臓は締め付けられるような感覚に陥り、背筋が冷えた。だが、すぐにその感覚は霧散する。
“山口さん”は“山口さん”だ。何人いても、どんな姿をしていても、それら全てが“山口さん”であることに変わりはない。ならばそれでいいではないか。
“山口さん”がそこにいることが何よりも重要なのだ。
「やぁ、ユーフォニーさん。お出かけ? 今日は暑くなるからね。これを持っていくといい」
家を出たユーフォニーへと、自然な態度で山口さんは水筒を差し出す。
ユーフォニーが好む冷えた果実水だ。
流石は“山口さん”だ。
ユーフォニーのことをよく理解してくれている。

  • 闇より出でし。或いは、山口さんはそこにいる…。完了
  • GM名病み月
  • 種別設定委託
  • 納品日2022年06月12日
  • ・ユーフォニー(p3p010323
    ユーフォニーの関係者
    ※ おまけSS『山口さんの日常。或いは、闇より来たりて、何処かへ消える…。』付き

おまけSS『山口さんの日常。或いは、闇より来たりて、何処かへ消える…。』

●ある日、闇市で
 最初の記憶は、市場の真ん中。
 茶色い髪に、水色の目をした線の細い女性の後ろ姿。
 彼女の名前はユーフォニー。
 ローレットという組織に所属するイレギュラーズの一員で、別の世界からやって来た記憶喪失の女性。その水色の目は、音や文字から色を読み取る。
 好きなものはドラネコとチョコミント。それからスケート。
 今日も7匹のドラネコを共に連れている。
 ミーフィア。
 クローディア。
 ハーミア。
 リディア。
 エイミア。
 シルフィア。
 ソア。
 ドラネコたちの名前も分かる。
 知っている。
「……えっと、どうしてまた人が」
 いつの間にか傍に立っていた自分を見やって、ユーフォニーは驚いたように目を見開いた。
「うん? 何が? それよりもう買い物はいいのかな? だったら向こうで休憩しよう。最近、新作のチョコミントアイスを売り出したんだよ」
「どうして私の好みを……いえ、闇市に疑問を持ってはいけないんですね」
「うん?」
 彼女は何を言っているのか。
 自分は……山口さんは、ユーフォニーのことなら何だって知っている。
 いつだって、彼女の傍にいる。
 彼女が自分を呼べば、例えばそこが空の上でも、砂漠の真ん中でも、極寒の平野でも、死体の積み重なる地獄のような戦場でも、自分はそこに立っている。
 それが“山口さん”だからだ。
 自分たち“山口さん”とは、そういうものなのだ。
 だから“今日も”自分はユーフォニーの傍にいて、彼女の話し相手になろう。彼女が助けを必要とすれば、微力ながらも力になろう。
「さぁ、行こう」
 ユーフォニーの肩に乗る1匹の猫……ミーフィアの顎を擽って“いつものように”彼女を案内するべく、人混みの中へと歩き始めた。
 いつも通り。
 いつも通り。
 これが“山口さん”の日常なのだから。

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